お薦め名画「愛と青春の旅立ち」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
「愛と青春の旅立ち」です。
1982年に公開された愛と青春の旅立ちは
80年代を代表する恋愛映画と言われ
多くの女性や、カップルが劇場に足を運びました。
勿論、作品は名作ですけども
これほどハリウッドらしい作品も
珍しいくらいの、良い意味でも「落差」のある作品です。
■An Officer and a Gentleman
タイトルの「An Officer and a Gentleman」は
そのまま直訳すると「将校と紳士」と言う日本語になります。
将校と紳士と言うタイトルでは…
日本では、ヒットしなかったかもしれませんね(^^:
この言葉は、アメリカでは軍法用語
つまり、日本的に言えば専門用語とか
業界用語の類の略語のような言葉になります。
紳士とか、ジェントル(マン)な
行いと言うのも、日米で認識に差が少なからず…あるかと思いますが
日本だと「武士は食わねど高楊枝」
と言うような「侍」の行いを表現した言葉を略して
「武士は食わねど~」て言うだろ?
などと使う感じでの「略」でもあります。
なので、略さないタイトルは
アメリカの軍事裁判法の条文の一部133条
なので、さすがに映画のタイトルとしては
固いのと長いので、略していますが
An Officer and a Gentleman
を、略さないと
Conduct unbecoming an officer and a gentleman
「士官や紳士に相応しくない行為」
と言うのが、このタイトルの意味です。
これを、映画全体に解釈するか?
1シーンの行動に重なるか?は観客の自由ですけども・・・
士官と紳士に相応しい人間に成長していく話と言うような意味です。
紳士や、士官に対するイメージの
根底が違い、133条を知らない人にはシックリくるタイトルでは無いので
「愛と青春の旅立ち」と言うタイトルは日本的で素晴らしい訳だと思います。
■アカデミー歌曲賞受賞
この映画の最大の功績の1つは
日本的には「愛と青春の旅立ちのテーマ」です。
ジョー・コッカーとジェニファー・ウォーンズ歌
「Up Where We Belong」
は、今でもテレビやラジオから
他のメディアが使う名曲なので
映画を見て無くても知って居る人が多い歌です。
当然、映画の公開後に
ビルボードヒットチャートでNo.1
アカデミー歌曲賞を受賞に輝いた映画の主題歌で
大ヒット曲でありながら名曲と言われ
この映画には欠かせない素材になっています。
ジョー・コッカーは、この歌の影響で
ミュージシャンとして、多くの人に
愛される歌を歌うように、自身のカラ―を変貌(旅立ち)しています。
■ジョン・トラボルタの話題
愛と青春の旅立ちは、大ヒットした後
プロモーション活動としても
当初は、リチャード・ギア では無く
ジョン・トラボルタを起用する予定だった言う話題を提供しています。
ですが、その前に歌手でもあった
ジョン・デンバーを起用予定で
ラストショーや、キングコングの
ジェフ・ブリッジスも候補でしたが
スケジュールがマッチせず外れています。
その次の候補が、ジョン・トラボルタで
エリック・ロバーツやカート・ラッセルも候補でした。
ヒロインのポーラの役も
シガ二ー・ウィーバーが候補でした。
アンジェリカ・ヒューストンや
ブルック・シールズ、メグ・ライアン
ジーナ・デイビス、レベッカ・デ・モネー
などが、スケジュールのマッチングや
オーディション、オファを出した方に
NOと言われ、最終的にデボラ・ウィンガーに決定しています。
■名シーンとマネー
リチャード・ギアは、当初は脚本に共感してなかった。
お金の為に出演した。と公言しています。
勿論プロなので、そういう作品があっても当然です。
ラストの名シーンも、本人は好きな
展開のラストでは無いままに
演じたそうですが、試写で見たら
音楽が流れて、リアクションが
カットインされているフィルムに
自分が出ているのに、感動してしまった。
と、語っています。
結果的には、リチャードギアには
プリティーウーマンと並ぶ自身の
代表作にまでなる作品に観客が成長させてしまいます。
これも、また商業映画の実情です。
■ヌードと契約
ヒロインのデボラ・ウィンガーは、ヌードは演じたくなかったのですが・・・
これもハリウッドらしく、契約書が
優先で、ある意味全てに近い為に
脚本通リに演じないとならずに…演じています。
日本だと、クチ約束(信頼)だったり
現場や脚本家、監督などと微妙なボーダーラインを決める事が、まだあります。
ですが、契約社会でもある
アメリカでは、分厚い契約書に
記載されていない事は、逆にOKと判断されます。
ただ、そこはプロなので
今回の契約の不備は、仕方ないので演じきっています。
これも、アメリカ映画の1面です。
■まとめ
映画と言うのは、勿論スタッフや俳優が製作するものなのですが
実は「観客が見て感じたモノが全て」と言う法則があります。
俳優さんの演技には、様々な様式があり
スタニスフラスキー・システムなども
その有名な1つですが、極端な話で言えば
笑いをこらえて肩をゆすっている
を、俳優を背中から撮影して
暗いライトで暗い音楽を流すと
悲しみの中で肩をゆらして泣くように見えて感動するかもしれません。
このように、俳優さんがノリ気でなく
入った作品でも、契約通りに仕方なく
演じたとしても、監督の料理の仕方で
大勢の人の心を揺さぶる大きな感動を産み出す事も出来ます。
ほんの少し眉毛を動かす。
ほんの少し目線を下げる。
そっとキスをする。
などの1つのアクションを
無心で行ったとしても、観客が
其れで感動したり、笑ったり
号泣することもあるのが、また映画です。
この愛と青春の旅立ちは
そういう意味でも、ハリウッドらしい映画ですので
是非、未見の方も、1度見た事ある方も
貴方の見て感じるように、見て欲しいと思います。
![]() JAN: 4988102774172 時間: 124 分 詳しく見る。 |
■作品データ
監督 テイラー・ハックフォード
脚本 ダグラス・デイ・スチュアート
製作 マーティン・エルファンド音楽 ジャック・ニッチェ
撮影 ドナルド・ソーリン
編集 ピーター・ツィンナー
配給 パラマウント映画=CIC公開
アメリカ合衆国 1982年8月13日
日本 1982年12月18日上映時間 124分
製作国 アメリカ合衆国 配給収入 10億8700万円
■キャスト
ザック・メイヨ リチャード・ギア
ポーラ・ポクリフキ デブラ・ウィンガーシド・ウォーリー デヴィッド・キース
バイロン・メイヨ ロバート・ロッジア
リネット・ポメロイ リサ・ブロント
ケイシー・シーガー リサ・アイルバッハーエミール・フォーリー軍曹 ルイス・ゴセット・ジュニア
エミリオ・デラ・セラ トニー・プラナ
ライオネル・ペリーマン ハロルド・シルヴェスター
トッパー・ダニエルス デヴィッド・カルーソ