雨に濡れる女優の涙の凄さ【5】

映画銀幕パークジョージ松田です。

スタッフ的には、当たり前になっている
ような事でも、映画ファンの方との
やりとりで、驚かれたり、疑問・に
思われるような

現場でのシチューエーション
交えて、現場の様子から映画作りの
メイキングをピンポイントで書いてみます。

今回は

「雨に濡れる女優の涙の凄さ」です。

一般的に言われる事でしかないですが

基本的には、男性女性「涙」に弱いです。(^^:

そんなに泣く事かな?と言う時でも
弱いもので

それを解って武器にしている女性います。

なんで、嘘泣きと解かっていても
弱いのは何故なのか?

科学的なことでは、多分解明できない
感情的な事です。

映画「涙」なんて100%創られた
なのは解っていますけども
観客は、其のに感動したり
心揺さぶられます。

そんも辺りについて今回は書いて見たいと思います。

■スタートとキューの違いとは?

用意~スタート!で、芝居を始め
カットで、カメラが止まり芝居をやめる。

と、言うのは御存知かと思います。

最近、動画サイトなどで一般の方が
レポートしたりする時に
「3.2.1、キュー」とかと言う言葉
で喋り出してるのを見聞きします。

「キュー」というのは英語で「CUE」と書きます。

ラジオのブースなどでの合図
用意~スタート!よりも、「キュー」
を使う事が多いようです。

ただ、映画の現場では両方使います。

同時に言うのではありません(^^:

と、言うか本番「キュー」自体は
出しますが言いません。

つまり2人の俳優が口論をしている
シーンで、熱くなりケンカになりそう
な所に、ヒロインが入って来たら
急に2人が仲良くしだす。

と、言うような流れでのヒロイン
1歩踏み出して行くタイミング
ヒロインの俳優にキューを出します。

用意~スタート!は、勿論2人が
口論する始めです。

刑事犯人のクルマを追う途中で
横から大きなトラックが出て来て
犯人のクルマを取り逃がしてしまう。

なんていうシーンも、トラック
キューを出します。

ヒロイン愛犬が走り寄ってきて
抱きしめると言うシーンでも、
ドックトレーナーさんキューを出します。

このように、映画はカメラが廻った
後のキッカケの合図に、キュー
出して「タイミング」を合わせます。

なので、本番の3.2.1、キュー
キューとか台本を丸めて
フリ降ろすなどのアクションだけで言葉にはしません。

ただ、打ち合わせでは俳優さん
あの茂みや、建物の影から助監督
キューを出します。と言うように
説明時には言葉として使います。

■天気と感情

映画の天気は…インチキです(^^:

良い意味で、インチキです♪

例えばロッキーが階段を駆け上がり
両手を広げて叫ぶシーンが、
どんよりした曇り空だと…

ロッキー感情がマッチしません。

それでは、美味しいそうな料理
ゴミダメを背景に撮影するのと
同じで、観客は…なんか違うだろ…てなります。

少女が難関の試験の合格の知らせを
受けて走り出すは、晴れ晴れした
青い空に、ピーカンの太陽少女
顔を更に明るく照らします。

現実の人生では、そういうタイミング
に、天候が合わせてくれる事はありません。

恐ろしい古びた洋館に迷い込んだ
ヒロインに、待ち受けるのは…

窓の外に光るカミナリです。
轟音を響かせ落ちるカミナリ
ヒロイン悲鳴が、ホラー映画
鉄板アイテムです。

12月24日が降る事も、積る事も
なかなかの確率です。

でも、サンタクロースが登場する
背景には、真っ白な背景の銀世界
良い感じにフルです。

ラクダと共にを求めて歩く俳優
さんには、サンサンとした太陽
照り付け、女優の顔にもが滴り流れ落ちます。

スプレーのですけども…

でも、現実の砂漠は曇りもあれば
究極の状態ではも出ません。

なので、良い意味で、インチキです♪

■「涙」

ヒロインの女性が失恋し打ちのめされ
街を裸足で歩くと…

が降ってきます。

ポッ、ポッ、ポッ、からの~ザーーーーです。

勿論、特効さんキューを出すと
降ってくるインチキの雨です。
*特効・特殊効果班

その天候の中、ヒロインの感情は
雨量も感情にシンクロマッチして、高ぶりを見せます。

そこで、もう1つのキュー

女優さんは、ポロッと流します。

なんど見ても、この素晴らしい
タイミングで流せるインチキの涙
凄いさには、言葉がありません。

でも、このシーンに素晴らしい照明
音楽が加わると、多くの観客が映画館
本物のを流したり、ウルウルしたり
ハンカチをにあてます。

なんで、この0.5秒速くても、遅くても
ダメなようなタイミングで、ポロッ
出来るのか?

本当に不思議ですし、凄い演「技」です。

これは、あまり男優さんには求められない
場面で、女優さんだから使える「技」です。

ですが、現場のはなしとして書くと

こういうシーンは、ダラダラは続けられません。

編集上必要な秒数を廻したら、まず
監督「カット~!」と言いながら
ロケバスや、控室に去ります。

カメラクルーも、後ろを向いて次の
準備などをします。…またはしてるフリ…

そう…に斬られた(カット女優さん
人にもよりますが、けっこう其の
ポロッ」に使った感情のしまつをします。

つまり、感情の流れは簡単には切れないんです。

ペットの死だったり、身近な方との別れ
など、自身の過去などからを創りだす
ので、その人としての感情が…まだ続いています。

だから、しばらくはマネージャーさん
メイクさん付き人などがテッシュや
ハンカチを持って寄り添います。

人に寄っては、少しスタジオの隅
ロケ地の外れで、大声で泣いて
嗚咽する女優さんもいます。…もうカメラは廻ってないのですけども。

その大声で泣く声は、現場のスタッフ
しか聴きませんし、こうなると解っている
女優さんの場合、最低限のスタッフしか
スタジオに入れません。

その時間は、照明さんもうつむいて
女優さんの居る場所は暗くしてます。

撮影部は、高価なカメラから離れる事は
絶対にないので、女優さんは自身の側の
区切りカット)が済むと、カメラマン
に目で合図したりします。

そこで、やっと監督を呼びに行きます。

でも、それは無駄な時間では無いデス。

絶妙でベストのタイミングで、
流せる、凄技は1発で決める人が殆どです。

ホントに凄いです。

ただ、打ち上げなどで「どうだった?」
などと聴かれて「女優は怖い」などと
本当の事を言うと、ベチッと肩に手の
跡が残るくらい、笑いながら叩かれて…

もう1つの怖さを体感する事になります。

ですが、ホントに怖さを覚える程の
凄さなんです。

映画には、それがズレたら台無しになる
いろいろなキュータイミングがある事。

俳優さんにマッチしたインチキな天気
用意したり、創りだしている事♪

1瞬の「ボロッ」に、タイミングを合わせ
込んで来る凄い技には、もの凄い集中力
と、労力必要だと言う事を

映画を見終った後でいいので、少しでも
思いだして貰えたらと思います。

おしまい。

映画女優
吉永小百合
ASIN ‏: ‎B00ZR9QAEY
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