お薦め名画「バットマン」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
バットマン
です。
1989年に、ティム・バートンが映画化した
「バットマン」で、当時多くの戸惑いが
起きたアメコミを代表するタイトルの
様子を当時のようすを交えて書いて見ます。
■ティム・バートンのバットマン
バットマンは、この映画の前での作品的な
イメージは、日本のルパン三世の銭形との
追っかけっこのような、トム&ジェリー的に
カラフルな敵キャラを捕まえては脱走し
また捕まえるというような、少しコミカルな
アメリカのコミックヒーローで
バットマンが青とグレーと、コミック的に
地味なカラーの為に、相棒のロビンやジョーカー
などの敵は、派手なカラーでフルカラーの
コミックを彩る存在でした。
ですが、80年代のアメコミはリアル志向に
傾いてきていて、日本のまんがやアニメ
特撮などのシリアスなSFキャラ&ストーリー
を、支持するファンが増え
ジャパ二メイションと呼ばれるような
日本のアニメ(特撮も含む場合がある)が
ビデオデッキとソフトが、アメリカの家庭にも
定着した事から、影響が及んでいました。
そこで、ビートルジュースなどを撮っては
いましたが、まだシザーハンズ や
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス を
公開する前に、世界を驚かせた1本で
ティム・バートン自身も、有名にするヒット作になります。
ただ、当時の公開前はバットマンの映画化は
子供向けのドタバタな追っかけっこの映画だと
大半の人が思っていましたが・・・
劇場の予告で、大きなバットマークが映り
当時は画期的だったズームスキャニングの
マークに、真っ黒のスーツのバットマンと
真っ黒で未来的なバットモービルが映し出されると…
バットマンへの注目度は、急上昇して
ジャック・ニコルソンが、出演する事をメインの
話題にして、街中にバットマンのマークが
商品化され乱立して行きます。
5年前に起きた、ゴーストバスターズの
ブームの再来のように、バットマンの
マークのTシャツやトレーナー、パーカー
キャップ、スニーカー、時計、キーホルダー
缶ペンケース、パスケース、文房具
などのグッズが溢れかえり
プリンスのバットダンスの音楽が
鳴り響き、渋谷でも代官山でも彼の
ジョーカーぽいPVがモニターに流れていました。
公開直前~公開されると、マクドナルドの
キャンペーンにも使用され、コカ・コーラの
缶にまで、バットマンのマークが入る
社会現象になりました。
これは、ティム・バートンの独自解釈で
バットマンのイメージを、大きく大人向けで
ダークなイメージに造り替えた事の結果で
公開前は、かなりコミックファンや旧作の
ファンからのブーイングの声が聞こえていましたが…
予告などの映像が公開されると、その声は
一瞬にして消えてしまいました。
この映画のイメージを立体化した美術は
多くの賞賛を受け、この種の作品は相手にも
しない、アカデミー賞でも美術賞を受賞する
快挙を達成した事で、コミックの映画化は
映画文化の1つとして認識され、製作が加速して行きます。
■バットマンというジョーカー
ジョーカー役のジャック・ニコルソンが
主演かと思う程の話題であり、主演と
誤記?なのか意図的に書かれるくらいに
大物俳優が、コミック映画に出る衝撃と
言うのが当時は存在していました。
一方ビートルジュースのマイケル・キートン
は、知らない人も多く
コミックのブルース・ウエインのイメージと
大きくかけ離れていた事から、かなりファンの
抵抗が大きく、製作途中からこの映画は失敗だ
などと書かれるありさまでした。
ですが、監督のティム・バートンは
追いかけっこでは無い、宿敵のジョーカーは
彼のキャラにマッチした存在だった事から
バットマンと、ジョーカーの追いかけっこ
では無い、人間くさい対立・対決姿勢を描いて称賛されます。
バットマンの方が、闇の存在として描かれ
トランプで言えばジョーカーのような存在に
された事が、両者をティム・バートンカラーに染め上げてしまいました。
その為にも必要だった、大物俳優のジョーカー
へのキャストは、ロビン・ウィリアムズや
アラン・リックマンなどとも交渉していますが
コミックキャラと言う事だけで、当時は断られてしまいます。
ジャック・ニコルソンのエージェントも断る
口実に、総制作費の50%を提示したのかと
思われますが、コレをティム・バートンが
承諾してしまった事から出演する事になります。
結果的には、マーチャンの%もプラスした事で
最終的な報酬は6000万ドル以上になったと
言う事も、またコミックの映画化に拍車をかけて
俳優が出演する為の柵を取り外してしまいました。
■プリンスとマイケルジャクソン
80年代は多くのプロモーションビデオが
作られた時代で、マイケルジャクソンの
スリラーなどは、その典型的なPVによる
大ヒットとも言われる効果を示します。
以後、多くのアーティストがPVを製作
するのが、当たり前の時代になりますが
映画のPVと言うのは、映像なので無かった
のですけども、この映画の少しおかしな
ところは・・・
音楽はダニー・エルフマンなどが担当
しているのですが、公開前~公開時期は
プリンスのアルバムが、サウンドトラック
として発売され、プリンスのバットダンス
のPVなのですが、彼自身がジョーカーと
ツーフェイス風のメイクと衣装で出演し
バットマンのコスチュームダンサーを
多数出演させる映像だった事から
映画のプロモーションビデオの役割を
はたしてしまいます。
ただ、このプリンスの方は、映画ファン
には、不評で…今はバットマン1989の
音楽としても、忘れ去られているくらいです。
また当時は、プリンスとマイクルジャクソンは
ライバルとしてメディアに取り上げられて
いた事からも、マイケルはバットマンを
視聴し…意外にも作品を気に入り
バットモービルを売って欲しいと言いだす
事までもがニュースになり
いくらでも出すから売って欲しいとの
マイケルの発言が世界のメディアに
取り上げられ宣伝効果になりました。
勿論、続編も在ったので売られる事は
なかったのですが、当時のスーパースター
2人が結果的には、この映画の大きな宣伝に
なり、主役のマイケル・キートンは
かなり楽なプロモーションだったと思います。
■まとめ
この映画はアメリカでは6月に公開され
夏にヒットしていますが、日本は…
コミック映画と言う事から、買いが遅れ
半年後の12月に公開されています。
この年の6月にNHK衛星テレビの本放送
BSが放送開始したような時代で
美空ひばりさんが亡くなり、日本の業界には
大きな衝撃を与えた年でした。
12月には、バック・トゥ・ザ・フューチャー
のPART2が、公開されますが…
コレは社会現象化していたバットマンが
話題を集めて、大きな看板や販促物を
映画館街で、略独占します。
他の年末年始の映画も、この1989年~90年
頭には、くすんでしまう程バットマンは大成功します。
日本の配収だけで約20億、関連グッズなど
の収入などは、それを大きく上回る事になります。
80年代最後のダークヒーローの映画は
略アナログの映像で、アベンジャーズの
ようなスケール感はありませんが
本物を作って居る存在感は、セットや
クルマなど、映される全てに反映しているので
是非、未見の方はアナログのダークヒーロー誕生の1本を見てみてください。
![]() JAN 4548967244670 時間 126 分 詳しく見る。 |
■作品データ
監督 ティム・バートン
脚本
サム・ハム
ウォーレン・スカーレン原案 サム・ハム
原作 ボブ・ケイン製作
ピーター・グーバー
ジョン・ピーターズ製作総指揮
ベンジャミン・メルニカー
マイケル・E・ウスラン音楽 ダニー・エルフマン
主題歌 プリンス「Batdance」
撮影 ロジャー・プラット
編集 レイ・ラヴジョイ
製作会社 ワーナー・ブラザース
ザ・グーバー・ピーターズ・カンパニー
配給 ワーナー・ブラザース
公開
アメリカ合衆国 1989年6月23日
日本 1989年12月2日上映時間 127分
製作国 アメリカ合衆国製作費 $35,000,000
興行収入
世界 $411,348,924
アメリカ合衆国 カナダ $250,713,403
日本 34.7億円配給収入 日本 19億800万円
■キャスト
ジャック・ネーピア / ジョーカー ジャック・ニコルソン
ブルース・ウェイン / バットマン マイケル・キートン
ヴィッキー・ベール キム・ベイシンガー
アレクサンダー・ノックス ロバート・ウール
アルフレッド・ペニーワース マイケル・ガフ
ジェームズ・ゴードン総監 パット・ヒングル
ハービー・デント検事 ビリー・ディー・ウィリアムズボルグ市長 リー・ウォレス
ボブ トレイシー・ウォルター
アリシア ジェリー・ホール
エクハート警部補 ウィリアム・フットキンス
カール・グリソム ジャック・パランス
若き日のジャック・ネーピア ヒューゴ・ブリック