お薦め名画「ブラック・レイン」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
「ブラック・レイン」です。
1989年9月22日に、アメリカで公開され
日本では、約2週間後の1989年10月7日に
公開された映画で、高倉健、松田優作が
マイケル・ダグラスらと共演したハリウッド映画
として、映画ファンに話題になった作品で
公開後に、悲しいニュースが日本中に
駆け巡った事でも印象深く残っている1本です。
■ブレードランナーと予想外の日本ロケ
エイリアン、ブレードランナーの
リドリー・スコット監督が、日本の大阪を
舞台に日米の刑事たちが協力してヤクザと
戦う物語を制作すると言う話題は、
映画専門誌で取り上げられました。
リドリー・スコットは、新宿の歌舞伎町での
ロケを想定していましたが、今でも・・・
かなり難しい場所ですけども、当時の日本の
ロケーション協力と言うのは、今でも
世界基準の半分以下ですけども(^^:
当時は…その半分以下という感じで、警察・他の協力が得られせんでした。
その上、イメージ的には、ブレードランナーの
ような雑多なゴチャゴチャしたイメージが
在ると思っていたら、意外に綺麗で整理された
街にイメージとの差が大きく許可的にも場所を
大阪に変更し、ブレードランナーのような
電飾看板などが多い、大阪の街をロケ地に選んでいます。
それでも、ハリウッドのロケ感覚での許可が
出ない事から、作中では日本の設定でも
アメリカで日本らしく美術で見せたりして撮影しています。
リドリー・スコットにとってのイメージは
日本は、リアル・ブレードランナーだった
ようで、作中に出て来る菅井宅は、そのまま
ブレードランナーのデッカード宅と同じ
ロサンゼルスのエニス・ブラウン邸を使って
いて、まったく違う作品ですが同じ背景で
撮られてるシーンが在る不思議な作品世界になっています。
■魂のバイクシーン
松田優作演じる佐藤浩史のバイクシーンは
勿論、リアルですから特撮(SFX)の
スター・ウォーズジェダイの帰還と
比較するのは、おかしいのですが・・・
リドリー・スコット監督なので
比べると、本作のバイクシーンの方が
スピーダーバイクのチェイスよりも
特撮?と思うくらい凄いシーンで
もの凄い熱量を感じるシーンになっています。
アメリカのスタッフも、このシーンで
驚いたのは、佐藤がバイクに乗るシーンを
全てスタント無しで松田優作本人が
演じると言いだして、やりとげてしまった
事に唖然としたくらいだったそうです。
しかも、安岡力也以外は知らない事ですが
松田優作は、この映画の撮影の時点で
すでに癌に侵され病の体で、命がけで
挑んでいる為、その優作の芝居やアクションは
ハリウッド映画のスタッフにも突き刺さっていたようです。
このシーンの撮影監督のヤン・デ・ボンは
後にキアヌ・リーブスの出世作
スピード (1994年)の監督になります。
ニックのバイクは、見た目ハーレーダビッドソン
のXLCRですが、実際はスポーツスターをXLCR風にカスタムしています。
佐藤のバイクはスズキ・GSX-R1100で
佐藤の手下も、スズキ製のバイクを
全て使用しています。
協賛ではありましが、そういう拘りで
子分が同じメーカーに拘るなどの要因が
あってもおかしく無い世界なので
ある意味リアルにも感じます。
このシーンは、日本で松田優作を知る者
以外にも、絶賛される伝説のシーンになりますが・・・
日本公開の1ヵ月後の11月6日に松田優作は
他界してしまいます。
それを知らない、ハリウッドからは
ロバート・デ・ニーロの作品や
ショーン・コネリーが監督予定の作品へ
出演オファーが届きます。
もし、生きていたら・・・
ハリウッドで活躍する松田優作の姿が
たくさん見れたかもしれないと
考えてしまいますが・・・
もしは、無いと言われそうです。
■キャスト
ブラック・レインは、マイケル・ダグラス
アンディ・ガルシアをメインに
日本側は、高倉健、松田優作、若山富三郎
などがキャスティングされていますが
クラブ・ミヤコのホステスは、インディ
ジョーンズ魔宮の伝説のヒロイン
ケイト・キャプショーが、スピルバーグと
結婚する前に出演しています。
また日本では、お笑いやバラエティで
御馴染のパチパチパンチの島木譲二は
ハリウッド的には、ヤクザとしての
ビジュアルとしてキャストされ
1年前にスピルバーグの太陽の帝国で
上官を演じた、OK牧場の元ボクサー
ガッツ石松もビジュアル的にOKになっています(^^:
キム兄こと木村祐一もオーディションを
受けていますが、当時は貫禄がまだ
なく落ち、今田耕司も吉本に言われたのか
受けていたります。
また、マイケル・ダグラスも親交があった
坂本龍一に松本刑事役をオファーしていますが?
お断りしています。
更にマイケル・ダグラスは日本人の殺人鬼と
して、ジャッキー・チェンにオファーして
いますがお断りしています。
マイケル・ダグラスは、俳優としては
一流ですが、キャスティングには向かない感じです(^^:
■まとめ
ブラック・レインは、SFでは無いですが
ある意味SFをも超えているような映画で
日本人が見ても、細部に多少は
おかしく思える部分が無い事も
無いのですけども、範囲の中で
リアル世界ですが、SF的な
独特のリドリー・スコットの
世界で展開される映画です。
特に、日本人が見ると不思議な
印象を持つ方が、年式的にも
あると思いますが、日本人俳優や
松田優作の最後の映画として
未見の方も、当時から見て無い方も
今、もう1度見てみるのを御薦めします。
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■作品データ
監督 リドリー・スコット
脚本
クレイグ・ボロティン
ウォーレン・ルイス製作
スタンリー・R・ジャッフェ
シェリー・ランシング製作総指揮
クレイグ・ボロティン
ジュリー・カーカム音楽 ハンス・ジマー
主題歌
グレッグ・オールマン「I’ll be Holding On」撮影 ヤン・デ・ボン
編集 トム・ロルフ配給
アメリカ合衆国 パラマウント映画
日本 UIP 公開
アメリカ合衆国 1989年9月22日
日本 1989年10月7日上映時間 125分
製作国 アメリカ合衆国
製作費 $30,000,000(概算)
興行収入 世界 $134,212,055
配給収入 日本 13億5000万円
■キャスト
ニック・コンクリン マイケル・ダグラス
チャーリー・ビンセント アンディ・ガルシア松本正博警部補 高倉健
ジョイス(ホステス)ケイト・キャプショー佐藤浩史(菅井の元子分)松田優作
大橋(大阪府警察本部刑事部長):神山繁
オリヴァー(ニックの上司):ジョン・スペンサー
片山(子分):ガッツ石松
梨田(子分):内田裕也
菅井国雄:若山富三郎
菅井の用心棒:安岡力也
菅井の用心棒:プロフェッサー・タナカ
吉本(子分):國村隼
菅井の子分:島木譲二
佐藤の情婦(ホステス):小野みゆき
松本の息子:ケン・ケンセイフランキー(元締め):ルイス・ガスマン
クラウン(ニューヨーク市警察本部監察官)リチャード・リール
部下:阿波地大輔、佐々五郎、伊吹太郎
刺客:アル・レオン
組長:林彰太郎
組長:小幡利城