お薦め名画「ブレードランナー」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は「ブレードランナー」です。
ブレードランナーは、今はSF作品好きでなくても
知るタイトルで、今でも関連グッズなどが
販売される程で、出版物や他のSF作品の
モチーフだったり、会話でもブレードランナーぽい。
などと認識され、使われるSFの名画ですが…
公開は…悲惨な作品でした。
■劇場公開の落差
1982年公開当時は、まだ未来を描いた
作品は、明るく凄いメカが出て来たり
敵は居ても、明るく正義が勝つと言うのがド定番でした。
まだターミネーター(1984年)も無く
日本のコミックAKIRAが連載されるのも1982年12月からで
未来社会の不安や影を描く作品は無いに
近い中に、突然・・・環境汚染が進み
酸性雨の降りしきるゴチャゴチャした
暗く辛い未来世界が提示された作品でした。
この映画は、前評判なども少ない
宣伝も小さな規模で、私も小さな
広告にハリソン・フォードの顔を見つけて知ったクチです(^^:
その上、まだハリソン・フォードの
人気もピークでは無いので
主役の名前だけで見に行こうと言う人は略居ませんでした。
私は、レイダースを100回以上劇場で
見てる映画バカだったので、行きましたが
映画好きな友人を誘っても全て断られ
1人で見に行きましたけども、劇場はガラガラでした。(^^:
それもそのはずで、暗い未来の映画は
ワシントン・ポストなど多くのメディアが
酷評し、多くの劇場で上映が打ち切られるしまつでした。
興行収入も、翌年公開された
フラシュダンスの3分の1程と言う
ワーナー・ブラザースには散々な映画でした。
日本のキネマ旬報で、1980年代外国映画
ベスト・テンで第1位になったのは
2018年になってから言う、公開当時と
その後の評価や収益に、コレ程の差がある映画は他に知りません。
■ハリソン・フォードの株
公開は散々でしたが
…この1982年は家庭用ビデオが
普及しはじめていた頃で、ビデオソフトが
高額だった事から、ビデオレンタル
ショップと言う、昔の貸本屋の制度を取り入れた商売が誕生します。
後々的には不思議ですけども
劇場用の大作で大ヒット作品程
あまりソフト化されなかったり
ソフト化するまでの期間が長い状態が、初期のレンタルでした。
なので、ブレードランナーのような
映画はソフト化されやすく仕入れもしやすかった作品でした。
其処に、スターウォーズEP
Ⅴジェダイの復習(後の)帰還が1983年に公開され
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
が、1984年に公開されて大ヒット
すると、ハリソン・フォードの人気が急上昇します。
その上、ターミネーターや
コミックのAKIRAなどが話題になり
暗い未来と言うベースが認識されだし
ビデオレンタルで、大ヒットしたのが
ブレードランナーでした。
刑事ジョンブック 目撃者(1985年)
が、ブレードランナーの2倍の
興行収入を上げているのは、ハリソン・フォードの人気の時期的な違いです。
ですが、今はと言えば
ブレードランナーを知っていても
刑事ジョンブック目撃者を、知る人の方は少ないくらいです。
その為、日本の*名画座などで
ブレードランナーを上映する劇場が増え
多くのSFファン、映画ファン
ハリソン・フォードファンが列を作りました。
*名画座・初公開後に昔の作品を上映した映画館。
■リドリー・スコットとシド・ミード
このブレードランナーの新たな未来は
エイリアンの監督リドリー・スコットが
1979年に出された個人画集の中に
「雨の降る未来の高速道路の情景」を
書いたシド・ミードに、美術を依頼します。
シド・ミードは、暗い未来を描いたのでは
無いのですが、それでも当時は未来を
描くのに、わざわざ現代でも少ない雨を
降らせた未来を描いたシド・ミードに
車輌など以外の都市デザイン他
画面に映る全てのデザインを任せる事にします。
勿論、監督として採用しないデザインや
変更を依頼していますけども
日本の歌舞伎町もモチーフにしている
事から、日本の要素が街に溢れているのも
当時の日本のグローバルな認識やイメージが反映されていて
日本のレンタルビデオで見た人に
驚きと共感を産んだ要素になります。
この2人の作り上げたSFデザインは
今でも、多くのSFファンやデザイナーを
魅了し、多くの影響を与えています。
■まとめ
ブレードランナーは、メディアの
酷評に反して、意外にも多くの賞を受賞しています。
その殆どが視覚効果と美術で
商業的な部分よりも、製作的には玄人には評価を受けています。
当時、劇場で見ても確かに
暗い未来に驚きつつ
その世界間は、面白く複雑な
SFストーリーと設定の理解に
苦しみながらも、映画としては楽しめた作品でした。
逆に、2倍以上の興行収入だった
刑事ジョン・ブック 目撃者は
解かりやすい反面、面白いかと言われれば…
劇場で1回見ただけです(^^:
現在では、1992年のディレクターズ・カット版
が、ブレードランナーの最終版とも言われ…
ややアクションシーン(暴力シーン)が
カットされているのは、個人的には少し残念ですけども
最終の後に、ファイナルカット版がありますが(^^:
ディレクターズやファイナル・カット版を
見て無い方やブレードランナー自体を
見た事が無い世代の方には、是非明るい
未来だけでは無いと言う、SF未来の選択を
増やしたキッカケの名画を、是非見てもらえたらと思います。
![]() ファイナル・カット JAN: 4548967342154 詳しく見る。 |
■作品データ
監督 リドリー・スコット
脚本 ハンプトン・ファンチャー
デヴィッド・ピープルズ原作 フィリップ・K・ディック
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
製作 マイケル・ディーリー
チャールズ・デ・ロージリカ(ファイナル・カット)製作総指揮 ブライアン・ケリー
ハンプトン・ファンチャー
ジェリー・ペレンチオ
バッド・ヨーキン
邵逸夫(クレジットなし)音楽 ヴァンゲリス
撮影 ジョーダン・クローネンウェス
編集 テリー・ローリングス
マーシャ・ナカシマ製作会社 ラッド・カンパニー
ショウ・ブラザーズ
ブレードランナー・パートナーシップ
配給 アメリカ合衆国ワーナー・ブラザース公開
アメリカ合衆国 1982年6月25日
日本 1982年7月3日上映時間116分(劇場公開版、ディレクターズカット)
117分(ファイナル・カット)
製作国 アメリカ合衆国、香港 (イギリス領香港)
製作費 $28,000,000
興行収入$32,868,943[1]■キャスト
リック・デッカード(Rick Deckard) ハリソン・フォード
ロイ・バッティ(Roy Batty) ルトガー・ハウアー
レイチェル(Rachael)ショーン・ヤング
ガフ(Gaff) エドワード・ジェームズ・オルモス
ハリイ・ブライアント(Harry Bryant) M・エメット・ウォルシュ
プリス・ストラットン(Pris Stratton) ダリル・ハンナ
J・F・セバスチャン(J. F. Sebastian) ウィリアム・サンダーソン
リオン・コワルスキー(Leon Kowalski) ブライオン・ジェームズ
エルドン・タイレル博士(Dr. Eldon Tyrell)- ジョー・ターケル
ゾーラ・サロメ(Zhora Salome) ジョアンナ・キャシディ
ハンニバル・チュウ(Hannibal Chew) ジェームズ・ホン
デイヴ・ホールデン(Dave Holden) モーガン・ポール
タフィー・ルイス(Taffey Lewis) ハイ・パイク
カンボジア女性(Canbodian Lady) キミコ・ヒロシゲ
ハウイー・リー(Howie Lee) ロバート・オカザキ
アブドゥル・ベン・ハッサン(Abdul Ben Hassan) ベン・アスター