カチンコは、いる?いらない?
映画銀幕パークのジョージ・松田です。
今回は「カチンコは、いる?いらない?」
についてです。
カチンコとは、↑こんなヤツで
メイキングや、写真コントなどで見た事あるかと思います。
■カチンコは日本語
カチンコは、海外(英語圏・他)では
Clapperboardと言い、カチンコと言っても通じません(^^:
カチンと言う部分は、音からのネーミングで
コと言うのは、諸説ありますけども
撮影助手が打つと言う部分は確かで
その助手が「坊や」(子供というよりも、まだまだな新人的な意味)
で、それほど差別的な意味でも無く
坊やと呼ばれるような、若い人(子)が
行う事から、その道具のニックネームになったとも言われます。
Clapperboardも、Clapper(クラッパー)は
パーティーグッズのクラッカー的に
音が鳴る、拍手する人のような意味で
boardは、板や黒板と言う意味で
前半の部分は、日本も海外も同じような意味が元ですが
後半は、日本の場合「物」としては
黒板(ボード)が、どこかに行ってしまっていて
カチンコ係と言ったように、係(人)や
そのアクション、行動名が元だった事が解ります。
■カチンコはいらない?・使い方
カチンコの本来の使い方や、出来た意味としては
サイレント映画がトーキーになった時にあります。
つまり声や音を同時に撮影するのに
必要な道具として、それまでのボード(黒板)だけの上に
拍子木を着けた>2個1にした道具でした。
昔はフィルムでは、映像しか映せないので
フィルムに映像を映して、音は録音テープに録音しました。
ですが、別々に撮ったものを1つにす
「編集」段階で、ズレてしまうので
それを防ぐのが、カチンコでした。
つまり、1秒24コマの1つに上の拍子木が
ピタッと合ったコマがあります。
その瞬間に「カチン!」という音が
録音テープに入って居るので、この部分で音と画面2つを合わせて
現像でフィルムの横に、光学録音帯↑●を着けて上映しました。
その後、磁気帯↑●も出て来ますが
繰り返し上映するには、磁気帯は耐久力が無いので
用途で使い分けられました。
ですが、今で言うと、ビデオカメラやスマホでも
動画を撮影すれば、音も同時に撮れしまうので
誰も、動画撮影にカチンコを使う人は居ないですよね(^^:
それと同じで、本来の機能としては
とっくに、カチンコは要らない産物です。
でも…今でも、現場で使うのは何故でしょうか?
■カチンコは、いる?
カチンコの黒板は、ホワイトボードや
デジタルの数字表示などに替わって
いますが、何シーンの何カットか?など
テイクを知るのに、あるていど必要なものですけども
上の拍子木は、ハッキリ言って要りません。
ですが、現場ではスタートの合図として
あるいは、日本的には気合が入るなどの
本来の使用目的とは別に、精神的な意味で
その音が使用されています。
ただ、現場や組、ロケ場所などに
よっては、もう使用せずに単にボードだけに
なっている現場があるのも事実なので
今後、現場に残るのか?過去の懐かしい
アイテムになるのか見守りたいところです。
個人的には、好きな道具で見栄えは
黒板が好きですけども・・・
使う立場になると、黒板はチョークの
粉が嫌なので、ホワイトボードの方が好きでした(^^:
■カチンコの打ち方・使い方!
カチンコの大きさを聴くと、日本では
B5くらいのサイズを示す方が多いですが
ハリウッドではA4~BAから新聞紙大の大きさを
示す人がいるくらい、大きなカチンコが多く使われて居ます。
これは、簡単に言えば予算の差です(^^:
ハリウッドは、2カメ、3カメと複数の
カメラで撮る場合、大きくないと
数字が1台のカメラでしか読めない事もあり
またロングのカットで遠い場合にも
新聞紙大のサイズのボードを使用したりします。
日本は1カメが基本で、ロングは
俳優さんのクチの動きまでは解らないので
音のシンクロを略したりしてしまいます。
更に、日本はカチンコを打ってから
速くフレームの外に出る為に
私も練習しましたが、片手で打って
素早く外に出る事で、使えるコマを1つでも
多くしようと言う、予算的に無駄を削減しようとしたので
片手打ちに便利な小さなカチンコが
重宝され、手元に指のくぼみを作ったり工夫されました。
なので、人差し指や中指を入れて置いて
親指で、拍子木の上を倒し肘で引き上げ
はける練習を撮影助手は、みんなやったりします。
■尻ボールド
カチンコの変わった使い方の1つに
撮影現場では、尻ボールドと言う使い方があります。
コレは、主に*スロー撮影の場合には
撮影速度に回転が達成するのに時間が
掛かるので、前ではなくてカットの最後に
カチンコを打ったりします。
*スローは撮影上ではハイスピードで撮影し
フィルムを多量に使用する。
また、怪獣映画などの特撮でも
スロー撮影は多いので、カットの撮影後に
1コマ撮影にモードに切り替えて1~2コマだけ
ボードを、カメラ前で撮影する方法を使う事で
フィルムの消費を抑える工夫をしていました。
■カチンコの作り方
カチンコは、基本撮影所の美術さんなどの
手作りでした。
ボードは黒板の塗料が塗ってある板で
材質は何でも大丈夫ですが、拍子木の部分は
サクラの木など、固く、音が響く木材が使われます。
開く部分の金具は普通の蝶板です。
模様は、拍子木が合うのが解りやすいように
入れられていますが、特に決まりは無く
単色のカチンコもありした。
カラ―も、白黒は白黒映画の残りで
カラ―化では、よく赤白に塗られていました。
コレは現像上の色味のチェックに
少し役立つからで、人では無くて
物を撮ったり、景色だとカラーの基準が解り難い為です。
サイズも自由で決まりはありませんので
使う方の手に合うように造るのがベストです。
難しくもないですが、作るのが苦手とか
時間が無いなどの方には、ネットでも
いろいろなカチンコが安く入手可能ですので
チェックしてみてください。
映画好きな方は、部屋に飾ってる方も多いデス。
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■デジタルカチンコ・スイッチ式
この上画のようなデジタル表示カチンコも
海外映画のメイキングなどで見た事があると思います。
このタイプは、上の拍子木の中にスイッチが
付いていて、鳴らすと言うよりもスイッチで
同期と言うよりも、カットの長さ(尺)の
秒数をカウントできるようになっていて
もはや、拍子木は>スイッチです(^^:
■デジタル映像製作のカチンコ
フィルムから、デジタル撮影の時代になっての
カチンコは、スマホや↑タブレットにカチンコの
アプリを表示させて、数字などを画面に手書きして
それを撮影したりしています。
ただ、なんとなく画像を送信も出来るのでしょうが
表示した画面を、生撮りしているのがデジタルなのに
アナログ要素が残って居て面白くもあります。
■まとめ
機能的には、カチンコは無くてもOKな方向に向かっていますし
今すぐに無くすのも可能だと思います。
ですが、現状無くなって無いのは
伝統だとか、形(スタイル)と言う部分への
愛着なんだと思います。
飛行機の「空港」(エアポート)を
港と呼ぶのも、大航海時代に国を結んだ
船からの移行の跡として継続しているように
映画の歴史的に、人間らしさ的な意味としては
言葉(ワード)だったり、スタイルとしては
残って行く部分はあるかと思いますが
物や、機能としては便利で簡単な方に流れて行くのは確実です。