お薦め名画「ブリット」

2021年10月14日

映画銀幕パークジョージ松田です。

今回の御薦め名画は「ブリット」です。

1968年のアメリカ映画ですし
スティーブ・マックイーンを知らない
世代には、それ程・・・日本では有名な
映画では無いかと思います。

スティーブ・マックイーン
ハリウッド映画大スターであり
レーシングドライバーでもあるので

ピクサーカーズ赤いクルマ
主役の名前がマックイーンであり

このブリット以後の世界の映画ドラマ
カーチェイスは、全てと言う程に
この作品のアクション参考にしています。

そんなアナログ時代の刑事モノ
アクションの傑作について書いて見ます。

■フォード・マスタング対ダッジ・チャージャー

近年は、ワイルド・スピードなどのド派手
カーアクションを、凄いカーアクション
言う事が多いですけども、ブリット
カーチェイスが最高だと言う方の見方は

まったく異なっていて、リアルな走行
アクションでの凄さです。

格闘だとしたら大人数で、いろいろな
モノを壊したり、爆発や血のりを多く
使うアクションと、ブルース・リー
一見、地味にも見えるアクションとの
違いみたいなものがあります。

勿論、どちらも映画の見せ場ではあるのですが

カーチェイスは、約7~8分程に編集されて
いますけども、今見てもコレを撮影するのが
どれ程、大変だったのか想像しきれない濃密な時間です。

刑事のマックイーンが追う深いグリーン
フォード・マスタングGT390と、逃げる
黒の1968年型ダッジ・チャージャー
リアルな逃亡劇で、このカーチェイスの間

元々、日本の高倉健のように台詞が無くても
になる事から、台詞が少ない俳優ですが
このシーンの間、マックイーンに台詞はありません。

無言で、タイヤのスキール音や接触する
音などだけで、観客は引き込まれ、手に汗握る
シーン
が息をする間もなく転回します。

前半のサンフランシスコの急斜面を利用した
場面は、限界の速度で曲がり、走っているので
坂でクルマが傷つき、他車にぶつかるなども
ド派手では無く、最小限の接触に抑えています。

ここが、ハリウッド映画だから、クルマが
店のショーウインドに突っ込むとか
ペンキを塗ってる人に突っ込んで、ペンキ
頭から被るなどのお約束は一切しません。

真剣に逃げて、真剣に追う、ただそれだけです。

見方によっては、地味~な破損はしますが
それが、怖いくらいにリアルなカーチェイス産み出しています。

坂の街の中では、マックイーンが曲がりきらず
バックして、曲がり直す場面がありますが
本来ならNGですが、タイヤが白煙を上げて
それでも追い続ける刑事の姿として

マックイーン続けたアクションの方を
監督のピーター・イェーツは採用しています。

後半の街から外れた道で、対向車線を上がって
来るバイクが横転するのもリアル
2度目の逃げ切られるか?と言う場面を
観客に思わせるアクションをしたスタントマン

大脱走マックイーンのバイク・スタント
務めたバド・イーキンズが、見ごとにバイク
滑らし、マックイーン無事を確認
再び追いかけ、観客が盛り上がる場面を最大限に
リアル
に演じています。

この、たった7分程の場面で、マックイーン
画面で大活躍したフォード・マスタングGT
2020年アメリカのメカムコレクター
カーオークションにて、当オークション過去最高額
370万ドル(日本円約4億円)落札されました。

■ボストンからサンフランシスコ

ミステリー作家ロバート・L・フィッシュ
ロバート・L・パイク名義で執筆した原作では
この場面は、東海岸のボストン舞台でした。

ですが、市街地の多くを封鎖しての撮影に
協力してくえる街の体制が必要だった事と
当時のサンフランシスコは、映画産業芸術
協力を打ち出していて、市長ジョゼフ・L・アリオート
マックイーン主演の映画に、最大の協力
得る事が出来る事からボストンから舞台
サンフランシスコに移しています。

その協力は、今でもマックイーンのファンや
ブリットのファン、カーアクションのファン
クルマ好き映画ファンが、このロケ地
見に訪れる事から、大正解で余りある
サンフランシスコの観光名所に、その1つ
1つの交差点やカーブが、名所になっていて

たった7分の中に、多くの名所がある事に
訪れたファンは、驚きますし
その傾斜の凄さに、なんて凄いアクション
したんだと、膝が震えたと言う人が多くいる
ある意味、カーアクションには危険すぎる地形で

それを選んだ監督ピーター・イェーツ
それに応えたマックイーンが、本物のレーサー
でもあるとしても、凄いカーアクションです。

後に、シルベスター・スタローンコブラ
カーアクションでも、このシーンを一部
リスペクトした急斜面のバウンドを、更に
誇張した、橋を連続でジャンプして走る
場面がありますが、やはりスローを使ったり
火花を散らす演出を加えるなどをしないと

このリアルなカーアクションに、対抗できない
と、追加処理している事で…
事実上の白旗をあげたリスペクト場面にも繋がっています。

■刑事モノ映画

このブリットは、マックイーン唯一の
刑事役を演じた映画です。

上でも書いたように、マックイーン
あまり台詞が多い役者ではありません。

ブリットも、この年全米年間興行収入
ランキング5位
と、勿論凄いのですけども
1位になる程は、ストーリーは特に凄い
事もなく、ドラマ部分のテンポも・・・もう1つです。

ただ、それでも「持つ」のが
マックイーンで、マックイーンの表情
少しの動き、目の動きなどから
観客は、台詞以上のモノを読み取ります。

これは、本当に日本高倉健や、昭和の
日本の俳優に多いタイプで、アメリカハリウッドには少なく

また、歓迎される事も少ないタイプの
俳優なので、とても面白い組合わせ成立している作品です。

本来、エディ・マーフィーのように
明るく、よく喋り軽快なアクション
映画でしか出来ない、ぶっ壊しや
上司に反抗するようなキャラが受ける
なので、マックイーンのような俳優で
主役になり、スターになるのは難しい
のですけども、マックイーンだけは
何故か、アメリカで成功していて

刑事のように、事件を理解させる台詞
推理などが、本来必要な役も成立させてしまっています。

カーチェイスの中でも、1度相手のクルマ
姿を消す場面がありますが、刑事のカン
真っすぐに居ないなら、どちらかに曲がった
と判断し、その曲がった(逃げるなら)
此方だと言う方にまがり、見つける場面
ありますが、マックイーンは何も台詞は言いません。

その台詞推理をするのも、観客だからです。

■まとめ

ブリットとは、主人公の名前です。

スティーブ・マックイーン演じる刑事
フランク・ブリットブリットです。

この映画は、複雑な推理を好むような
方には、お薦めしません。

ただ、カーアクションが好きな方で
未見の方は、カーアクションの多くが
お手本にする映画なので、是非見ておくべき
作品で、ピクサーの映画も、ワイルドスピード
ドミニクの愛車がダッジ・チャージャー
なのも、全てのクルマモノが通じる作品です。

殺し屋のダッジ・チャージャー
左に曲がり、逃げ始めた時から7分間
マックイーンと共に、マスタングGT
乗って追跡する時間です。

日本のように左側を走る事が多いですが…(^^:

ブリット [Blu-ray]
ASIN : B07NS2Y9D4
時間 : 1 時間 54 分
詳しく見る。

■作品データ

監督 ピーター・イェーツ

脚本
アラン・R・トラストマン
ハリー・クライナー

製作 フィリップ・ダントーニ
製作総指揮 ロバート・E・レリア

音楽 ラロ・シフリン
撮影 ウィリアム・A・フレイカー
編集 フランク・P・ケラー
配給 ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ

公開
アメリカ合衆国 1968年10月17日
日本 1968年12月28日

上映時間 113分

製作国 アメリカ合衆国

製作費 550万ドル

配給収入日本 4億4020万円
(1969年洋画配給収入1位)

■キャスト

フランク・ブリット スティーブ・マックイーン

キャシー ジャクリーン・ビセット

ウォルター・チャルマース上院議員 ロバート・ヴォーン
デルゲッティ部長刑事 ドン・ゴードン
サム・ベネット警部 サイモン・オークランド

ベイカー警部 ノーマン・フェル
ワイズバーグ ロバート・デュヴァル
ウィラード医師 ジョーグ・スタンフォード・ブラウン
エディ ジャスティン・タール
フィル ビル・ヒックマン