お薦め名画「キャノンボール」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
キャノンボール
です。
日本では1981年の12月に正月映画として
公開された、カーアクションモノでは…
ジャンル的に、そう理解されたのは別にして
最大級の大ヒットになった作品で
まだロッキード事件で揺れ、旧名ジョナスが
ファミリーマートに改名したコンビニ事業の
拡大などが、起き始めた時代の娯楽作を
当時の様子を交えて書いて見ます。
■キャノンボールレースが産み出した大金
キャノンボールと言うような、違法なレースは
なんとなく知りつつも、*キャノンボールと
言う事を、この映画で知った日本人が多くいました。
*必ずしも言うわけでもなく方向性や定義的なものはある。
この映画は、アメリカの 20世紀フォックスと
香港のゴールデン・ハーベスト社の製作と言う
当時としても変わった作品でした。
べースとなったのは、この映画の主役が
バート・レイノルズである事からも解るように
1977年のトランザム7000なのは明らかでしたが
キャストやクルマが、豪華にパワーアップした大作だった事から
日本の興行収入ランキング枠での比較だと
ロッキー3 1982年7月3日 16億7000万円
レイダース失われたアーク聖櫃1981年12月5日 13億8000万円
を、キャノンボールは超える20億円を突破21億円を達成する大ヒットを記録します。
ただ、当時を知る人は、おそらく
薬師丸ひろ子の大ヒットセーラー服と機関銃に
目や耳~話題が持っていかれてた1981年12月だと思います。
セーラー服と機関銃 1981年12月19日 配給収入23億円
セーラー服と機関銃は、異例の大ヒットで
劇場に長蛇の列を作り、社会現象を起こした
パニックに近い映画でしたが、この配収には
数ヵ月後の完璧版も入っているので、ある意味
2本分とも言えなくも無いですが…
現在で言うディレクターズカット版は
映像ソフトに入るなどで、数ヵ月後に
劇場で公開されると言う事自体が
ありえない事だったので…この作品は別な
「現象」として見るべきかもしれません。
ただ、キャノンボールは、それほど劇場に
入るのに並んだと言う方は少ないと思います。
また大きな社会現象にもなっていません。
セーラー服と機関銃との違いは、年齢層の幅の
広さと、週末の夜間での集客、豪華スターの
ファンや、1976年からのチャーリーズ・エンジェル
の人気が、まだホットなファラ・フォーセットの
出演も大きく、クルマのファンらも足を運んだ事から
■日本人ジャッキー・チェン?
1981年のジャッキー・チェンは
スネーキーモンキー 蛇拳 1978年
ドランクモンキー 酔拳1978年
クレージーモンキー 笑拳 1979年
の3本のヒットで、完全に日本での
人気を不動のモノにしていました。
勿論、日本人はジャッキー・チェンは
香港のアクション俳優だと知っていますが・・・
この映画の誤算は、ジャッキー・チェンを
日本人として登場させ、役名も…そのまま
ジャッキー・チェンにしてしまった事です。
これにより、カンフーと空手の区別も
よく解らない方には、ジャッキー・チェンは
日本人だと認識させてしまいます。
その他のジャッキー・チェンの映画にも
日本の三菱自動車がメインに登場する事と
日本車が、世界に加速的に進出して
行く事が連動し、今でもジャッキー・チェンを
日本人だと思いこんでいる方が多い元になってしまった作品です。
また、ジャッキー・チェンとコンビの
マイケル・ホイも、Mr.Boo!シリーズで
人気がありましたが、この2人のキャストが
日本人であると言う事は、地元・香港では
不評で、前年公開のヤングマスター師弟出馬
の半分に終わってしまいました。
ただ、日本の収益が伸びた理由に
ジャッキー・チェンが日本人を演じたと
言う意識は無く、見ていても見終っても
ジャッキー・チェンを、日本人が日本人として
見る事は、寧ろ難しく、ジャッキー・チェンは
ジャッキー・チェンとして見ていただけでした。
■シビックからカウンタック
この映画の最大の魅力は、豪華なキャストと
共に登場するクルマで
オープニングでの、パトカーと
ランボルギーニ・カウンタックの
追跡シーンだけでも、何度も見たくなる
魅力を秘めた作品で、他では見た事の無い
シーンが、広大なアメリカの大地に展開する
様子が、何より本作を引き付ける軸になります。
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他にも、当時の007ロジャー・ムーアが
ショーン・コネリー時代の007の人気車
アストンマーティン・DB5で登場したり
フェラーリ・308GTS
ロールス・ロイス・シルバーシャドウ
シボレー・マリブ
など、車種もスーパーカーとは限らない
ランダムな登場は、不思議な要素で
日本のスバル・1600スウィングバック4WD
や、レース以外でも、ホンダの初代シビック
が、普通に使われているような光景を
日本人は初めてこの映画で、知ったと言う方も少なくありません。
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■まとめ
ファラ・フォーセットがカウンタックの
助手席から降りてきて、制限速度の標識に
赤いスプレーで、笑いながら×バツを書く
のを、追跡するパトカーのとのチェイスが
オープニングで、そのバックに流れる
主題歌と、豪華な俳優のクレジットは圧巻で
このファーストシーンだけで、劇場を出ても
いいくらいの満足感があるオープニングで
始り、黒いランボルギーニの全開で走る
エンジン音や、姿も、スーパーカーブームは
下火でしたが、実は見た事の無い光景で
写真や展示、玩具やプラモのスーパーカー
ブームでは、知らなかった空撮により
圧投的な加速で、走行するカウンタックの
最初の3分で、この映画の大ヒットは決まっていました。
毎日のように、ロス疑惑事件がテレビで
放送される暗い年末年始に、スカッとする
娯楽カーアクション・コメディ作品は
求められていたのかもしれません。
なので、スカッとしたいかたや
クルマ好きで未見の方は、是非見てみてください。
![]() JAN: 4988113744218 時間: 95 分 詳しく見る。 |
■作品データ
監督 ハル・ニーダム
脚本 ブロック・イェーツ
製作 アルバート・S・ラディ製作総指揮
レイモンド・チョウ
アンドレ・モーガン音楽 アル・キャップス
撮影 マイケル・C・バトラー
編集 ドン・キャンバーン
ウィリアム・D・ゴーディーン配給
アメリカ合衆国 20世紀フォックス
香港 ゴールデン・ハーベスト
日本 東宝東和公開
アメリカ合衆国 1981年7月19日
香港 1981年8月27日
日本 1981年12月26日上映時間 95分
製作国
アメリカ合衆国
香港 イギリス領香港興行収入
アメリカ合衆国 $72,179,579
香港 HK$5,465,241配給収入 日本 21億円
■キャスト
J.J.マクルーア バート・レイノルズ
ジャッキー・チェン ジャッキー・チェン
シーモア・ゴールドファーブJr ロジャー・ムーアマイケル・ホイ マイケル・ホイ
ビクター・プリンズム ドム・デルイーズ
モーリス・フェンダーバーム サミー・デイヴィスJr.
ジェイミー・ブレイク ディーン・マーティン
パメラ・グローバー ファラ・フォーセットシーク・アブダルベン・ファラフェル ジェイミー・ファー
ブラッドフォード・コンプトン バート・コンヴィー
シェーキー・フィンチ ウォレン・ベーリンガー
アーサー・フォイト ジョージ・ファース
ニコラス・ヴァン・ヘルシング ジャック・イーラム
ジル・リバーズ タラ・バックマン
マーシー・サッチャー エイドリアン・バーボー
マッドドッグ リック・アヴィルス
バットマン アルフィー・ワイズ
イージーライダー ピーター・フォンダ
メル・ティリス
テリー・ブラッドショーデスククラーク ジョン・フィードラー