カーチェイスの女優2種【8】
映画銀幕パークのジョージ松田です。
スタッフ的には、当たり前になってる
ような事でも、映画ファンの方との
やりとりで、驚かれるたり、疑問・に
思われるような
現場でのシチューエーションを
交えて、現場の様子から映画作りの
メイキングをピンポイントで書いてみます。
今回は
「カーチェイスの女優2種」です。
■キャスティング
遊園地で、絶叫マシンに乗るのが
好きな方は、けっこう映画の
カーアクションが好きな方が多いと思います。
カーアクションがメインの映画
で、連続してカーアクションを
見せるワイルド・スピードの
ような作品も在りますが
殆どは、そこまで多くはなくて
1~2割りていどをアクションの中
に入れるという感じが多いと思います。
とにかく、カーアクションが
在る作品となると、女優のタイプ
を2種選別してキャストする事が多いです。
1つは、男勝りで運転や同乗して
も勝気なタイプで、助手席から
撃ち返すなどのアクションや
過激な台詞が在る場合に必要で
出来る女優さんと
もう1つは、ジェットコースター
で、キャーーーーーーーーー!
と、悲鳴をあげて盛り上げる
タイプで、お嬢様系で、助手席
などで、アクションの凄さで
悲鳴の強弱や長さを発せる事で
リアル感を増す事が出来る女優
さんを、大きく分けると選別します。
なので、撮影所のリハ室などで
オーディションをしている前を
通ると、女性の悲鳴が何度も
聞こえる時は、タイトルを見ると
略アクション映画で、カーチェイス
がある映画だったりします。
■ヘンテコな撮影
撮影班としては、勿論全てのカット
が、ちゃんと撮れていて当たり前
なのですが・・・
やはり人間なので、高級車を壊す
1発勝負の撮影と、公園を歩くだけ
のシーンでは、失敗できないぞ
と、いう思いは同じでは無く…違います(^^:
そういう思いは、俳優さんも
他のスタッフも、勿論解かるので
意外に、撮影班に優しい現場に
なったりします。
ですが、緊張感を持って準備し
リハーサルを重ねる中で・・・
やはり女優さんは、緊張していて
乗っているだけでも、怖いですし
芝居をしなければなので大変そうです。
メークなども、汗や砂埃などを
1カットごとにしてもらって
照明やカメラとも打ち合わせを
詳細にするのですが、可愛くとか
綺麗に見せるシーンでは無いので
いつもと真逆の事ばかりですが
意外に、楽しんでいる女優さん
も多い気がします。
カメラも小型化が進み、ワイド
レンズなど短いレンズを使用
しなくても、かなり50mmに近い
撮影も可能になっていますが
*短い50mmより短いレンズを
主に言う。
*50mm標準レンズで人の目に
近く撮れる。
フレームの外では、意外な
ポーズで、足は正座していたり
片足を上げてたり、変なポーズ
で乗ることもあります。
それは撮影のカメラやバッテリー
仕掛けだったり、様々な機器が
場所を取っているので、フレーム
の外では、カッコイイ俳優さん
や、綺麗な俳優さんが・・・
何コレ?というポーズで乗って
いたりするので、カット後に
駆け寄りドアを開けると笑い
そうになります(^^:
だいたい「出して~~~」とか
ヘロヘロになってたりしますけども
カッコイイ、スリル溢れる
カーチェイスも、フレームの
外では、かなりヘンテコな
ポーズの女優の姿が見られる事があります。
■嘘のホントとホントの嘘
日本のカーアクションに多い
のですけども、牽引や合成を
使って、実際には運転してない
のに、運転しているように
見せる事が多いです。
牽引と言うのは、前から別の
クルマで引っ張って、芝居を
しているクルマは、エンジンも
かかってない状態で、本当の
公道を使用する場合には
ただの車内での会話の場合も
安全と許可の関係から牽引方式を使用します。
なので、加速や減速などは
芝居で少しプラスして演じる
場合があり、本当はブレーキ
を踏んでも直接は効いてなくて
前の牽引車がブレーキしてるだけ
なので、その時差を芝居で埋めなければいけません。
けっこうホントに見せる嘘
の芝居は難しく、タイミングが
上手く行かなくて、ブレーキの
シーンが無くなり、普通に走る
だけになったりする程です。
また、サイレンの音なども
後から入れるのですが、少し
声を大きく演じておいたりもします。
雨を人工的に降らせて、ワイパー
を動かす場合なども、女優さん
の目やクチに、ワイパーの影が
タイミング悪く重ならないように
するなど、難しいタイミングはあります。
牽引でクルマの中を撮っても
乗り降りは、牽引では無いので
今まで牽引されてきた感じでは
なく、クルマから降りてくると言う・・・
意外に、普通の事なのですが
運転してきていないですし
微妙に高さの違う状態から
降りてきたりするので、此処も
ホントのように見える嘘の芝居
が要求されます。
カットの繋がりも、難しく…
撮影的にも、実際は四輪でも
間を抜いていく場合などは
2輪にカメラを搭載して、ギリ
な距離を走ったり、ドローンを
使う事もあります。
また、クルマに固定したカメラ
は、臨場感が少ない感じなので
ボンネットにカメラマンが
乗って撮る事もあるのですが
それらも、全て表情や芝居が
上手く繋がらないとダメなので
なれて無い俳優さんや女優さんも
自ら男勝りに運転するタイプも
悲鳴を上がるタイプも、難しい
得意な演技を求められるシーン
なので、嘘のホントとホントの嘘
に良い意味で、だまされて見て観てください。
おしまい
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