デジタルシネマカメラとフィルムカメラ

2021年10月20日

映画銀幕パークジョージ・松田です。

今回は「デジタルシネマカメラとフィルムカメラ」についてです。

近年の映画は、殆どが
デジタルシネマカメラ」で撮影されています。

フィルム撮影の映画も、まだハリウッド
大作でも使用されては居ますが少数です。

デジタルを冷たく感じる方も居れば
便利に感じる人も居ます。

フィルムを味があるなど
温かく感じる方も居れば
不便に思う人が多いのも事実です。

デジタルだけになり
フィルムカメラは無くなるのか?
など、いろいろ言われていますので

両者のメリットとデメリットを見ながら
映画の未来は、どうなるのか?を見て行きたいと思います。

■フィルムカメラのメリットとデメリット

フィルムカメラは=、今までの映画の
歴史であり、実は最大の強みは

「映画らしい画」

なんです。

つまりメリットは、もはや画像の「味」だけです。

フィルムの映画は1秒間に24コマ
言うのは、知ってる方も多いと思います。

VTRは擬似的ですが1秒間に60コマ(フレーム)
なんですけども、コマーシャルは
長くフィルム(35mm)を使用して
いましたが、VTRになった今も60コマでは無くて

デジタルで30コマで撮るのが主流です。

何故?30コマ(フレーム)にしているかと
言うと、24コマに近いからです。

つまり「映画らしい画」に近ずけています。

画像で言うとデジタル情報が
半分なので、動きは滑らかではなくなります。

やや、動きがわるいのが
今は、「映画らしい画」となっています。

不思議ですが、コレはフィルム時代
視聴者・観客の「目」や「脳」の慣れでもあります。

つまり、産まれた時からデジタル画像
見て来た世代が増えて行くと
この感覚的な「映画らしい画」を良いと
言う評価には、ならなくなるかもしれませんし

人間の持って居る感覚的
本質に関係していれば滅ばない感覚なのかもしれません。

技術的に、まだメリットと言えるのは
大きい画面に耐える解像度がある事ですが
4K、8K、~と、デジタルが進化し広まると
コストと共にデジタルに抜かれると予想されます。

また、専門的にはレンジと言いますが
真っ白から~真っ黒までの細かい差
綺麗に描画できる点は、まだフィルムで

この部分が、難しいのですが
クルマの塗装のような綺麗と
油絵や水墨画を綺麗と思う感覚の違いで

フィルムのレンジの綺麗は、油絵のような
綺麗差が、まだ少し上だと言われます。

さらに映画は、単に現実の見た目と同じが
=綺麗と言う事にはならなくて
時に、ピンボケさえも「綺麗」と思える芸術なのが難しいところです。

フィルムを支持する方は「空気感」を
主張しますが、コレは良い、悪いではなく
粒状感を感じるノイズで、本来はデメリット
なんですが、この部分がフィルムを存続させているのが皮肉です(^^:

デメリットの最大要因は

「経費と不便」です。

コストは、圧倒的にかかります。

そして、今の映画や映像では
CGを、まったく使わないと言う作品は
殆どないという事です。

少なくともタイトルや、エンドロール
アナログでは無く、SFや特撮モノじゃ
なくても、ドラマや恋愛、歴史モノでもCGは使われていますし

アクション作品でも、環境的や俳優の
安全の為にCGが使われるますし
アニメも、手書きのみの作品は略ありません。

このコスト面は、大作の商業映画程
デジタルに軍配が上がる大きな要因です。

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■フィルムカメラは無くなるのか?

現状の邦画においては、とコスト
確実性の面からもフィルム撮影される
作品は、年々減ってきています。

現状の95%デジタル撮影されていますので
よほどのヒットメーカーやスポンサーが
フィルムに拘らない限り、劇場で見るような
大作からはフィルムは無くなると言われて居ます。

画質よりも、コスト面選択上大きいと言う事ですね。



■デジタルシネマカメラのメリットとデメリット

一方、デジタルカメラの性能も
年々向上していますが、デメリットと
言えるのは「味」とか「綺麗」などの感覚的な事です。

コマ数や解像度やレンジなど、あらゆる点で
かなりの精度で、フィルムカメラに追いついたり
再現できるようになってきています。

ただ、この「追いつく」と言うのは
クルマの塗装を、油絵調にするような
「綺麗」の意味の方向性が違う部分もあるので

デジタル「綺麗」は、すでにアナログ以上で
完全にフィルムのトーンと同じに
なるのは無理ですが、殆ど同じに
「感じる」ようなフィルターやコマ数
など疑似フィルムのような感じでは
すぐに追いつけるのでは無いかと思います。

現状すでにフィルムを圧倒するメリット

「コストと利便性」です。

映画など映像の素材はデータだと
メディアの容量まで撮影が可能なので
フィルムチェンジが、事実上ありません。

一般的には、そんなに大した「事」
では無いと思えるかもですが?

これは現場では、俳優側技術側
製作サイドも、大きなロスを産む
映画のネックポイントでした。

極端な話で言えば、ヘリ飛行機
飛ばして撮るのに、後5分撮れたら
と言う状態でも、フィルムが無くなれば
一度、降りて燃料を補給するなんて事になり
同時にドル箱スターの撮影時間や
日数が延長されたら莫大な予算の違いが産まれます。

デジタルなら、かなりの時間的な
余裕の持って撮影出来るので
このは、とても大きくなります。

スタジオでも、1日4回のチェンジで
1日の終わりに20分の撮り残しが出てしまう
ところが、デジタルならチェンジの時間で
撮れてしまう計算も出来ます。

また、カメラの小型化も大きくて
運ぶカメラ助手が楽になるだけでは無く
1番はカメラ引きと言う撮影の距離が
あまり多く要らなくなり

スタジオでは無く、実際の建物や
乗り物の中で撮影出来るので
スタジオを借りて、セットを作らずに
済んでしまうケースが増えています。

極端に言えば、普通の一軒家の
トイレの中や、電話ボックスのシーンでは
大きなカメラでは、セットに組むしか
ありませんが、小型のカメラなら
実際のスペースにカメラを入れて撮る事が出来ます。

また、デジタルだとフィルムの感度(ISO)
よりも、照明も少なく~小さくて済みます
事が出来るのも大きなメリットです。

最も大きな要因は、撮影後の素材の編集や
加工は、パソコンのデータで行うので
速さもですが、画質もオリジナルですから
格段に、コストも利便性もフィルムを大きく
しのぐメリットを持って居ます。

■CG合成作品

アベンジャーズや、スターウォーズ
邦画でも、未知のCGのロボットや
モンスターなどと俳優が共演する事も多くなっています。

また、過去の街未知の世界などを
背景に合成して芝居する事も
増えて行くのに、デジタルだと
カメラにメイキングなどで
アンテナが着いているのを見た事が
あると思いますが、映像を飛ばして
各部署俳優モニタリング
出来たり、略式の合成画が撮影現場で
見る事が出来るなどのメリットもあります。

なのでSFで無くても、CGを多用する
作品では、選択の余地が無い程
デジタルで撮影している現状ですし
この部分の速度や使いやすさは進化し

映画の表現、そのものや3D映画
ような、映画自体の進化にも
デジタルの可能性は大きく広がって行くと思います。

普通に一般の方が、ネットでも
買えるカメラでも、劇場で上映される
映画が撮れてしまうカメラ自体
安く購入出来てしまう時代も
デジタル映画の特徴です。

第15回プチョン国際ファンタスティック映画祭
 NATPAC賞(最優秀アジア映画賞)を取った
「歓待 」なども、キヤノン「EOS 7D」が
使用されています。

Canon デジタル一眼レフ EOS 7D
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■残されたフィルム

映画のコストの問題の他に
実は、フィルム自体の問題もあります。

当然ですが、デジタル登場前は
100%がフィルムの映画でしたが
需要が減れば、製造会社も施設の
縮小や削減が続き、利益にならない部門になってしまいます。

現在では映画撮影用のフィルムを
製造しているのは、フジフィルム
が撤退してしまったので

イーストマン・コダックの1社だけ

に、なってしまいました。

そのコダック2012年破産申請
出された程のピンチでしたが
ハリウッドの大手映画会社数社を
タランティーノ、マーティン・スコセッシ
クリストファー・ノーラン、監督
らが
一定量の撮影用フィルムを、年間で
買い上げる契約を結んだ事で
フィルム生産を継続出来て居ます。

一部の監督はフィルムで、映画を撮る
価値があると考えていて、基本的にフィルム撮影をしています。

ただ、映画会社も複雑で、コスト的には
デジタルで撮って欲しい・・・
反面、有名な監督を置いておきたいと
言う部分で、フィルムが継続されていますので

アーティストが、使う紙やキャンバス
絵具のようなモノで、監督の感覚や
創作意欲のようなモノで、なんとか保たれています。

タランティーノワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
なども、フィルムで撮影していますが
逆の意味で、デジタルとの違いを
感じない観客も多いと思います。

なので、フィルムを押している監督が
他のデジタル作品の監督作品の質が
わるくないとか、わからない域に
行くと、フィルム作品は無くなる可能性が高いです。

■まとめ

個人的には、フィルムの映画は
残って欲しいと思いますが

メリットデメリットを読んで
もらったように、商業映画
大作・長編程、デジタルの方が良いわけです。

それに、まったくCGの使用が
ゼロと言う作品も、無いに近いので
短編や部分使用など、少ない
方向に行くと「フィルム」自体の
製造が無くなってしまう可能性が高く・・・

フィルム作品の良さを一般の
観客が実感できる作品内容や
映像が、たくさん出てこないと
どこかで、最後のフィルム映画
と言う「作品」が公開される日が
来てしまうかもしれませんので

賛否あると思いますが、まだ
2種ある現状なので、両方の画面を
よく観て、感じて、考えて貰えたらと思います。