カメラに映さない技術?
映画銀幕パークのジョージ・松田です。
今回は「カメラに映さない技術」です。
■アマとプロの違いの1つ
アマチュアと、プロの違いは多数
あると思いますけども
大きな違いの1つに、プロは
映すモノと
映さないモノ
を、シッカリ考えて
映さないモノは映さない用にします。
その映さないモノも、幾つか在るのですが
今回は、カメラフレームとの関連が濃い
マイク関連について書いてみます。
■ワイヤレス
テレビに出演しているタレントさんや
アナウンサーなどは、よく上↑のような
ピンマイクを着けていますよね。
上↑画の青い部分は、風防で
いろんなカラーが在り交換出来ます。
少し下にネクタイピンのような洗濯ハサミ
のようになった部分で服に着けます。
コードの先は、送信機に繋がって居て
後のポケットやベルトに装着しています。
このタイプを、ワイヤレス(マイク)と
言います。*以後ワイヤレス
でも映画の俳優さんは、着けて無いですよね?
当たり前だよ。と思うかもですが…
実は、映画やドラマでも着けてたりします。(^^:
上↑画は見えるように書いてますが
仕実は服の中に込んでいる場合があります。
黄色い三角は両面テープで、黒い線のコードは
当然内側にあり、映像としては見えないように
してあります。
主に話す人が居る方向に仕込みます。
ただ、ワイヤレスは極力使用しません。
では、どうやって台詞を録ってるのか?を解説して行きます。
■ガンマイク
上↑こんなタイプのマイクを音声さんが
持っているのを、見た事があると思います?
コレ自体を大きなマイクだと思う方も居ますが
実は、コレは風防で中は↓のようなマイクです。
風防を外すと中には、↑棒状のマイクが入って居ます。
このマイクを「ガンマイク」と言います。
通称「ガン」と言います。
*マイクの長さは数種類あり、通常2種程使用します。
ガンマイクは、観客の入った番組などで
客席側のセンターに、スタジオなので
風防なしで、持ってる音声さんが
座ってたりするので見る事が出来ます。
現場で撮影部が、録音部さんに次どっち?と
聴いて、「ガンで行きます」と言うのは
ワイヤレスか?ガンマイクで行くのか?を打ち合わせています。
■フレームとの関係
では、ワイヤレスかガンマイクの選択の違いはと言うと?
上↑のようにカフェでの台詞の場合は
フレームの外から(上)↓ガンマイクで拾います。
勿論、絶対に映らないようにフレームで斬るのも御互いの技術です。
ですが、これ上↑くらい引いたサイズになると
ガンマイクは使えません。
その場合は服にワイヤレスを仕込んだり
テーブルのナプキンや花、など置いてある物に
ワイヤレスマイクを隠して使用します。
このサイズが微妙な場合に、どっちを使うのか
撮影・録音部は相談します。
更に、人数が多い場合や椅子から立って
フレームの外に行くなどの動きに台詞が
ある場合なども考慮します。
■移動しながら話す。
上↑のように話ながら手前に歩くカットも
病院の廊下や、街中、刑事2人、クチ喧嘩
しながらなど、けっこう在ります。
そういう場合も下↓のように、ガンマイクは
フレームの下側から台詞を録っています。
なので、俳優、カメラマン、音声、時に
照明さんも、同時に移動しながら撮影しています。
ですが、上↑のように広い画で、手前にクルマが
停まって乗って下さいとか、ギャングが撃つ
などの場合は、ガンではなくワイヤレスになります。
これらの時にカメラが気をつけるのは
速度やフレームもですが、けっこう「影」です。
ガンマイクやマイクのブーム(棒)の影スタッフなどの影です。
昼間はロケハンで、太陽の方向をチェック
しますけども、角を曲がるとか、カーブで
太陽の方向が微妙に変わり、画面に影が出てNGなんて事も…あります。
また、住宅街だとカーブミラーにスタッフ
数人がゾロゾロ後退しているのが映るとか(^^:
ビジネス街だと、ショールームの大きな
ガラスへの映り込みも、映さないように
試行錯誤しますし、ナイトシーンも照明部と
入念に打ち合わせしないと「影」は、けっこう出たがりです。
■見えない忍者。
また、何気ない~シーンでも、近くのしげみ
電柱や看板、建物の影には、トランシーバーを
持った助監督が、俳優の側からキューを出したり
左右からの人や車輌の侵入を停める為などで
いろいろな場所に、↓スタッフが沢山隠れています。
風で、俳優のヘアやメイクが崩れる場合には
ヘアメイクさんなども、近くの柱などに身を
細めて居たり、別のエキストラさんや俳優が
フレームインするタイミング出しのスタッフが
居たり、想像出来ないスタッフが、忍者のように
画の中には潜んでいたりします。
カメラマンは、それらのスタッフの服の一部でも
画面に映ってないか?チェックして、映っていたら注意します。
そんな現場での狭い場所に苦しい姿勢で一緒に隠れた
助監督とスタッフなどが仲良くなったりもします(^^:
■やわらかいフォーク
撮影現場では、少し異様な録らない事の為の
撮らない事もあります。
それは、やわらないフォークやナイフやスプーンです。
何それ?
て、普通は思いますよね。
エキストラなどに参加した事ある方は使った事が
あるかもしれませんが、ゴムなど出来たフォーク
やナイフの事です。
どういう時に使うかと言うと上↑レストランで
会話するシーンで、後ろにも多くのお客が食事していたりする場合。
実は、後ろのエキストラの方はクチパクで演技し
声は出して居ません。
そう、食器の音も出ないように、ゴムのフォークで
食べているフリをしています。
学校の休み時間に*机に耳を当てた時の事を
覚えている方もいるかもですが?
実際には、多くの方の会話や動作音は
もの凄いノイズになって録れてしまいます。
*会社やカフェで試してみてください。
で、撮影部は、そんなやわらかいフォークになんて
慣れた人は少ないので、背景で曲がったフォークや
スプーンが映ってないか?
映らないように、チェックしたり指導したりします。
■まとめ
映画を観る時は、コレらの見えなくしたモノに
意識して欲しくは無いですけども
何度か見た予告だとか、ソフトなどで見返す時に
もし、思いだしたら映さないようにした見えない
部分も観てみてください。
万が一、影を見つけたり、ミラーや鏡にスタッフが
見えてしまう事や、懐にワイヤレスマイクが覗いていても・・・
是非、そこは…目をつぶって見てあげてください(^^:
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