お薦め名画「駅馬車」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は「駅馬車」です。
駅馬車は、古い映画です。
西部劇の名画とも言われますが…かなり異色な西部劇です。
■駅馬車は西部劇なのか?
日本の「時代劇」と言うのも
戦国時代~江戸時代近辺の
作品を言いますし、史実に近く
再現ドラマのように、実在した武将や人物などで描くタイプと
チャンバラと言うような
エンターテイメント性の高い
背景が時代劇の時代と言うタイプがあります。
駅馬車は、略エンターテイメント
で、西部劇ですけども酒場や
西部の街での決闘などがメインの王道の西部劇ではありません。
かなり変わったアクション西部劇です(^^:
■駅馬車の2つの柱スーパ―アクション!
しかも、駅馬車は医師や妊婦保安官などの人間ドラマの柱と
圧倒的なエンターテイメントの
インディアン・アパッチ族との
攻防を、アナログで描いた
もの凄いスーパ―アクション活劇の柱があります。
クライマックスに展開する
駅馬車でのスピード感溢れる緊張感の中でのアクションは
今、見ても手に汗握るアクションで
全速で疾走する馬達の上を
飛び移るのを、同じ速度で
移動するカメラ(車)から
撮影する凄さは、逆に…今では出来ないスーパ―アクションです。
そして、この疾走シーンは
今の多くのカーアクションや
バイク、電車などの移動しながらアクションを展開する御手本になるのですが・・・
後続が、どうしても越えられない凄さが、あるのは・・・
やはり巨匠ジョン・フォード監督と
リンゴ・キッド を演じたジョン・ウェイン
と、もう1人凄い人物が製作したからでした。
■スーパ―アクションの影武者!
この凄いアクションシーンを
可能にした人物は、あまり日本では
知られず、スポットが当たる人では
ありませんが・・・
ヤキマ・カヌート
と、言う人物です。
*ヤキマ・カヌットの記載もある。
彼はアメリカのロデオライダーのチャンピオンです。
ロデオライダーと言うのも、日本では
ピンと来ないかもですが?
暴れ馬に乗るだけではなく、牛に
馬上からロープをかけるなど
多様な障害物の中でも、自在に馬を
操る事が出来る人で、そのチャンピオンです。
なので、全速で走る馬から馬に
飛び移ったり、走る馬の下で
引きずられたり、撃たれて落馬するとか
疾走する馬の前に落ちて死ぬなど
もの凄いアクションのカットを演じていて、それらのカットが続きます。
勿論俳優のアップなど、いくつかは
当時の合成は使用していますが
ジョン・ウェインは、本当に馬車の
上から銃を撃って居ますし、毎カット
全ての馬を全速まで走らせ、アクション・撮影しているのは、頭が下がります。
その ヤキマ・カヌートは
その後、多数の作品で今で言う
スタントマンと言う職種をつくり
アクションディレクターと言う
映画の中でのポジションをつくり出します。
■ドラマがアクションに流れ込む技!
ジョン・フォード監督と、脚本の
ダドリー・ニコルズは、活劇として
の脚本と、演出をしているのが
駅馬車の面白い「スジ」で、1880年の
当時の西部では、駅馬車とは・・・
バスみたいなもので、いろいろな人が
個々に目的をもって乗って来る乗り合いの移動手段です。
その中に、医師や妊婦、銀行家
賭博師、保安官、セールスマン
など7名が、ニューメキシコ州のローズバーグまで乗って行く話です。
その途中に、ジェロニモがアパッチ族と
ともに馬車を襲う危険な場所を通ら
ないと行けないのですが、それぞれ
行かなければならない事情や、赤ん坊が
産まれるなどのドラマが、全て危険な場所の通過に結びついて行きます。
なので、銃撃戦の中で赤ん坊を
抱きかかえるカットや、弾が尽き
もうダメだと、アパッチ族に捕まる
ならと自分達での死を選ぼうとするなど
様々なドラマも、アクションの中で響いて来ます。
その為、遠くから小さ~く聞こえてくる
ラッパの音が、大きくなりハッキリ聞こえて来て…
騎兵隊の大軍勢がラッパを鳴らし大疾走してくる
シーンは、リバイバル上映でも大きな拍手が起きます。
…ホントは、アメリカでは口笛吹く人や
立ち上がり叫ぶ人や、物が飛んできたりし大歓声が起きます(^^:
女性でも、赤ちゃんの事を想い涙する人が多い名シーンです。
■エンターテイメントとして
インディアンは、今のように大統領が謝罪した
ネイティブ・アメリカンとしてでは無く
1880年の中では、単に日本で言う山賊
のように、馬車を襲い強奪する存在でしかありません。
そこは時代劇に敵側の言い分にスポット
すると、「敵」として存在しにくいのと同じです。
リアルな年代で言うと、アメリカ人は
日本の何百年前の文化や建築に驚きますが
逆に、1880年の映画の時代から60年後に
この大作映画を作りあげ、発展している
アメリカの変貌する速度に驚きを感じます。
なので、この駅馬車は前半のドラマ
クライマックスのアクションを
エンターテイメントとして
カーアクションなどが好きな方にも
未見なら、是非見てもらいたい西部劇の名作です。
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■作品データ
監督 ジョン・フォード
脚本 ダドリー・ニコルズ
原作 アーネスト・ヘイコックス
製作 ジョン・フォード
製作総指揮 ウォルター・ウェンジャー音楽 ボリス・モロース
撮影 バート・グレノン
レイ・ビンガー編集
オソー・ラヴァリング
ドロシー・スペンサー配給
アメリカ合衆国 ユナイテッド・アーティスツ
日本 ユナイテッド支社公開
アメリカ合衆国 1939年2月15日
日本 1940年6月19日上映時間 99分
製作国 アメリカ合衆国■キャスト
リンゴ・キッド ジョン・ウェイン
ダラス クレア・トレヴァー
ブーン医師 トーマス・ミッチェル
カーリー保安官 ジョージ・バンクロフト
バック アンディ・ディバイン
ルーシー・マロリー ルイーズ・プラット
ハットフィールド ジョン・キャラダイン
ピーコック ドナルド・ミーク
ゲートウッド バートン・チャーチル
ルーク・プラマー トム・タイラー
騎兵隊中尉 ティム・ホルト