お薦め名画「銀河鉄道999」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
銀河鉄道999
です。
今でこそ、鬼滅の刃 無限列車編が
映画興業で、TOPになっても
ジブリ作品や、君の名は、他
アニメ作品が、1位になっても
それ自体に、誰も驚きも疑問も持たないですが
その最初のレールを敷いた作品が
1979年の夏に公開された銀河鉄道999でした。
この作品が邦画を変えたポイントと
当時の様子を交えて書いて見たいと思います。
■空前絶後のアニメブーム
日本のアニメブームを、作った~起点に
なった作品は、宇宙戦艦ヤマトと書かれる
事が多いですが、全否定はしませんけども
個人的には、ヤマトよりも銀河鉄道999の
起こした社会現象の方が、遥かに大きな
役割と影響が在ったと思いますし、映画と
しては完全に、銀河鉄道999は前例の無い
偉業を達成しています。
当時の子供やファンが、この銀河鉄道999の
映画版に最も驚いたのは、当時まだ
銀河鉄道999は、少年キングに連載中の作品でした。
まんが連載1977年5・6合併号~1981年48号
そしてテレビでの銀河鉄道999も、放送中でした。
フジテレビ系列1978年9月14日~1981年3月26日全113話
つまり、銀河鉄道999の映画は、まんがを
読んでいる読者や、テレビアニメを見ている
多くの子供やファンに、そのラストを見せてしまう作品でした。
宇宙戦艦ヤマトなど、それまでの人気
まんが原作のアニメなどは、略テレビの
総集編的な「映画版」でしたが・・・
この銀河鉄道999は、そこが大きく異なり
子供達やファンに、大きな衝撃を与え
それは、大人の予想を遥かに超える
社会現象に発展していき~アニメブームが
本格的に巻き起こります。
■邦画を変えたSL
銀河鉄道999以前は、宇宙戦艦ヤマトが最強で
大人は、さらば宇宙戦艦ヤマトよりも
銀河鉄道999は、子供人気で年齢層が低いと見ていました。
その通りで、この頃の子供達が一番
欲しいモノにあげるのが銀河鉄道999の
まんが本だったくらい、少年キングとしては
異例の販売を続ける人気まんがでした。
そこから平日や夜間の観客動員は難しいと
さらば宇宙戦艦ヤマトの60%ぐらいで
12~13億円と予想します。
しかし、銀河鉄道999は1本の劇場用作品
として、シッカリとした作りで
これは…テレビの総集編のようなアニメでは
無いと言う事が伝わり、主題歌のゴダイゴの
銀河鉄道999の唄が大ヒットすると
高校生、大学生、大人から、鉄道ファン
まで巻き込んでの大ヒットに繋がり
配給収入16億5000万円、1979年邦画配給収入
第1位を記録してしまいます。
更に、1980年の第3回日本アカデミー賞では
アニメ作品は当時は関係のない位置でしたが
特別賞(話題賞)を受賞してしまいます。
更に厳しい芸術的な見解をするキネマ旬報でも
アニメは、まずランキングさえされない作品
でしたけども、銀河鉄道999はキネマ旬報の
ランキングで17位と、1本の映画として評価され
キネマ旬報の読者選出ベストテンでは5位に
輝いた事は、多くの映画ファンを驚かせました。
同じく映画雑誌「ぴあ」の、ぴあテンでも
8位を獲得した事で、一般的な映画ファンも
映画館に足を運んだくらいでした。
銀河鉄道999は、まだビデオが家庭には
略無い時代なのもあり、映画パンフレットが
売れに売れ、ベストセラー小説と勘違いする
100万部を超え、最終的には105万部を売り上げ
てしまいます。
この頃の劇場で働いていた方のエピソードに
999のパンフは売れた~!と言うのが、よく
聴かれるくらい伝説的な現象になっていました。
■銀河鉄道999が変えた実社会現象!
銀河鉄道999は、まんがの人気も
アニメの視聴率、玩具などの売りあげから
人気がある事は解っていての映画化でした。
ですが、ヤマトのような派手なシーンは
あまり無く、少年と女性がSLで旅をする
物語に映画で、どこまで反響があるのか解からず・・・
映画のプロモーションに、まだ国鉄(現JR)
で、1ヵ月前に「銀河鉄道999号」という名の
ミステリー列車を運行します。
ただ、この時期国鉄はSLは引退していて
今のように観光で走らすSLが出て来るのも
この銀河鉄道999の御蔭だとも言えますが
SLが無いので、電気機関車のEF65のブルー
トレインや、ディーゼル機関車DE10と
言う運行でしたけども、切符の販売が
開始されると、国鉄も東映も驚く人気で
競争率は70~80倍と言われ、ニュースに
なってしまった事から、思わぬテレビ
宣伝や話題つくりに発展、ワイドショー
などにも取り上げられ、ヤマトには無い宣伝効果を産み出します。
そこにタイミングよく、偶然にも
山口県で、SLやまぐち号(C57)が
1979年8月1日に、長いSLが走らない
時期から、映画の公開3日前に復活をとげます。
このことから999の人気で、やまぐち号は
成功し、古臭い機関車からSLは魅力ある
機関車だと言う認識に移行され、西日本の
999のファンや鉄道ファンが、その汽笛を
聴く為に訪れ人気になります。
以後、日本の各地方でも観光用にSLを
復活させる鉄道がJRになってからも
出て来るのは、このSLやまぐち号の
成功が無ければ、無かった事かもしれません。
999としても、トーマスを走らせている
大井川鉄道でも銀河鉄道999記念「夜行SL列車」が走り
映画の大ヒットで、これも奇跡的な偶然ですが?
1997年は平成9年だった事から、9月9日と言う
999が揃う日に松本零士も同行したミステリー
列車のツアーが再度企画運行されます。
以後、九州、北海道など各地でも999関連の
本物の鉄道会社から、ついには本当のSL・C62を
999にしたイベント列車が走り、何年も継続して同種のイベントが行われる事になります。
■ゴダイゴとアニソン
1979年当時は、まだまだアニメは
アニソンと呼ばれるような、アニメ用の
主題歌が当たり前の時代でした。
ですが、りんたろう監督が起用したのは
アニメの音楽は初めての青木望で、作曲家
であり、アレンジャーでもある青木望の
曲で、999はアニメや実写関係無く1本の
映画として評価される事になります。
もう1つテレビドラマ西遊記のオープニングと
エンディングの曲で、ブレイクした
ゴダイゴを主題歌に起用します。
この2種のアーティストが、ラストシーンで
結合するラストは、今でも映画的で多くの
ファンが感動した名シーンにあげる場面を盛り上げています。
テレビシリーズの主題歌を使わずに
エンドロールよりも前の鉄郎の後ろ姿から
廻りこむ横顔に、ゴダイゴの主題歌を重ねる
というのも、それまでのアニメ映画を超えた
映画にした演出で、この主題歌を大ヒットさせた大きな要因でした。
ゴダイゴ側も、西遊記のガンダーラや
モンキーマジックのような距離を少し置いた
タイトルではなく、ぞのままズバリの
銀河鉄道999と言うタイトルで出した事で
オリコン・シングルチャート最高2位に輝き
ザ・ベストテン1位を獲得する大ヒットで
アニメの主題歌(アニソン)が、出来た事では
無い、普通の楽曲としてのヒットが
そのまま宣伝効果を産んで行きました。
アニメ主題歌としても歴代最高売上を記録し
120万枚を売り上げ、レコード店にも
999のポスターや曲が流れる事で、映画館に
足を運ぶ人が絶えませんでした。
この映画の映画音楽として、観客は
パンフレットと共に、買い求めたのが
青木望の音楽によるサウンドトラック
交響詩銀河鉄道999でした。
このアルバム(当時はLP)は、オリコンで
LPチャートで1位を記録してしまい
ある意味、ゴダイゴを抜いている快挙で
また、ゴダイゴとして既に売れているバンド
と共に、映画として映画音楽として
多くの観客・ファンが認めた証でした。
アニメでは、その後1983年に放送された
キャッツアイで、杏里を起用して以後
アニメらしい、アニソン主題歌から移行して
鬼滅の刃 無限列車編の 炎(Lisa)の
ような主題歌が、普通になっていますが
それは、ヤマトのような主題歌から
この作品がトライした銀河鉄道999の成功が出発点だと思います。
■まとめ
銀河鉄道999は、舞台やミュージカルなど
様々な展開を見せますが、同年の夏の映画は
7月7日にチャンプ、7月21日にエイリアン
8月には、蘇える金狼が話題になっていますが
ダントツの人気は、銀河鉄道999でした。
その為、映画界はアニメ映画の上映を急ぎ
テレビ放送していた未来少年コナンの劇場版を
オリジナルの主題歌(研ナオコ)をプラスして
上映するも、総集編の域を出ず…
オリジナル劇場版アニメは、エースをねらえ!
年末にルパン三世 カリオストロの城が登場し
映画・アニメと言うジャンルが、オリジナルで
支持され、映画として評価され、稼げると
言う事が、ハッキリ解った起点は銀河鉄道999
からで、アニメの音楽や主題歌、演出や宣伝
などが大きく変わった起点にもなった作品でした。
![]() 時間 2 時間 8 分 ASIN : B0027ZCKAE 詳しく見る。 |
■作品データ
企画・原作・構成 – 松本零士
監督 りんたろう
脚本 石森史郎
製作総指揮 今田智憲
音楽 青木望
主題歌 ゴダイゴ「銀河鉄道999」
配給 東映洋画[18]
公開 日本の旗 1979年8月4日
上映時間 129分製作国 日本
配給収入 16億5000万円
(1979年邦画配給収入1位)
■キャスト
星野鉄郎 – 野沢雅子
メーテル – 池田昌子
クレア – 麻上洋子
車掌 – 肝付兼太
ハーロック – 井上真樹夫
エメラルダス – 田島令子
トチロー – 富山敬
リューズ – 小原乃梨子
機械伯爵 – 柴田秀勝
シャドー – 藤田淑子
酒場主人 – 槐柳二
鉄郎の母 – 坪井章子
ドクターバン – 納谷悟朗
プロメシューム – 来宮良子
トチローの母 – 麻生美代子
アンタレス – 久松保夫
その他の声優 – 菅谷政子、加藤修、田中崇、戸谷公次 ほか
ナレーター – 城達也