グリーンバックとブルーバック
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回は
「グリーンバックとブルーバック」
についてです。
ネットで検索したら、よけいに
解らなくなりました。と言う方と
デジタル時代はグリーンバックだと
思っていたら、メイキングでブルーを
使用していたのですが?と言う一文が
寄せられたので
少し、私も検索してみましたが…
なるほど、確かに「使用」と「名称」が
解かり難いのと、現場でとの違いを
感じましたので解説してみます。
■時代的な使用と呼び方
まず、誤解されがちなのが映画や映像の
技術進化で、呼び方が定着するモノがあります。
例えば、テレビのチャンネルを回す
なんて言うのも、タレントさんが
チャンネル回さないでとか、今でも
言いますが、チャンネルは押すとか
今では「言う」に変ってきています。
カメラ廻ってる?とかも、今のHDDに
記録したり、一般でもスマホで
動画撮ってるのに「回ってる」なんて…実感ありませんよね(^^:
それに似たニュアンスで、時代的に
合成の用語にも、残ってる面があります。
時代の順番で言うと
①フィルム時代の光学合成>ブルーバック
②VTR時代のカラ―信号キーを使用>クロマキー
③デジタル時代>グリーンバック
と、大別出来て時代的には1~3で、そう言われます。
ただ、デジタルの時代にブルーの
バックを使用しないかと言えば使用しています。
クロマキーとしての技術的な使用は
ありますが、そう言わないケースが多いなど
実際の技術や使用と、言い方が
単純に時代的にズレたりしていて
認識・判別が、一般の方には
しにくい現状なので、難しい技術的な
感光乳剤の話などは無しに
1つ1つ一般に解かりやすく解説してみます。
■合成の基本
最も簡単な合成の基本を、まず記載して置きます。
カメラのレンズ下半部を黒紙などで覆い
巻き戻して、今度は上半分を覆い
撮影すると、上下で違う場所・サイズの画が合成出来ます。
この覆う部分を「マスク」と言います。
単純な技法ですが、ハリウッドの
大作でも、フィルム時代には使用されていました。
大きな船(ミニチュア)にボートで向かうとか
下船するなどで、よく使用されていて
50~60年代の技術ですが
80年代でも使用されていて
レイダース(1981年)の
潜水艦の場面にも使用されています。
水平線、ビル、階段などの直線的な
部分がある時に有効で、5対5でも
7対3でも、覆うラインが合致してればOKです。
■ブルーバック(合成)
上の項目の「マスク」は固定マスクと
言われ、合成ラインは固定(線など)です。
ですが、宇宙船とかエイリアン
モンスターや、クルマとか
俳優さんなどの輪郭が複雑で
しかも動く場合は、元々は1秒24コマの
複雑な形のマスクを1、枚1枚作って(書いて)いました。
これには、膨大な時間と手間が必要なので
コレを何とかするのに、考案されたのが
ブルーバック合成です。
ブルーバック合成は、俳優さんなどが
ブルーバックの前に立って・置いて、影を消して撮影します。
それを、映画館にフィルムを配る
光学プリンター(複製機)を使い
レギュラー・クロマチックと言う
フィルムを使って撮影(プリント・コピー)します。
このレギュラー・クロマチックは
青色光の波長にのみ感光する特性があるので
青い部分のマスク①が出来ます。>コレを反転すると被写体のマスク②になります。
このマスクを、合成の基本と
同じく「マスク」として使い合成する手法です。
背景を変えても、動いても
1枚1枚作らずに、青バック前の
フィルムからマスクが作れます。
このレギュラー・クロマチックは
印刷屋さんなどは、製版用フィルムと呼んだりもします。
まんがを描く方は、御存知かもですが
日本のようなモノクロまんがは
青い鉛筆で下書きをすると、印刷時の
撮影で映らないので、用紙のガイドラインなども青系が使用されます。
それも、レギュラー・クロマチック
フィルムを使用した印刷技術です。
と、フィルム時代の複雑な
形状のマスクを、当時としては
簡単に製作する方法全体も
ブルーバックとか、ブルーバック合成
と言いますし、物としては
背景の青いスクリーンをブルーバックと
言いますので、物と技法の名前が重なります。
これは日本語の特徴でもあって
電話しといて。
と、言われても「電話」をする。
なんて行為は出来ません。
電話で、通話しておいてを
略しいてる言い方なだけですよね(^^:
ブルーバック合成も、同じで
前後や打ち合わせで、ブルーバック=の意味が変わります。
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■クロマキー(合成)
海外では
Ultimatte、Keyer(ウルティマット キーヤ―)
Primatte Keyer(プリマット キーヤ―)
などと呼ばれます。
Keyerと言うのが keyingの事で
色成分の一部を抜き取るような意味です。
なので、ザックリ言えば
ブルーバックも、クロマキーも
グリーンバックも、クロマキーなんです(^^:
ガソリン車も、ハイブリットカーも
電気自動車も、クルマですと言うのと同じですね。
ただ、今回は違いを解説して
行くのが主なので、混ぜこぜに
解釈出来てしまう部分を、明確にしたいと思います。
クロマキーは、特にデジタルの
グリーンバックと、説明が混ざってる部分がある文献が多いようです。
原因は、特定の色信号のキーを
映像から抜いて、別の映像を
ハメる技術全般のネーミングだからなのですが
業界で言う「クロマキー」の事を区分と時期で解説します。
コレは映画よりも、テレビで
多く使われるようになった技法で
VTR時代に、番組タイトルなどで使われるようになって行きました。
最も目にするのは「天気予報」で
日本列島と、雲の俯瞰の画の上に
お天気キャスターの人が居たり
晴れや雲のマークが出て来たりする画です。
これも、当初は青を使用していましたが
グリーンに移行しているケースが多く
消す為に、選択したカラーは
キャスターなどが、服や靴に使用出来ない事になっています。
使用開始当時には
服の模様の一部分が透けていたり
する事も、プロでもありました(^^:
今では、スタジオセットを使用しない
MCの顔だけ撮りたいとか、背景を
アニメやゲーム的にしたい場合にも
使用されますけども、フィルム作品は
強引に使用した例は、時代的に少し
ありましたけども、映画に使用する事は無くなって居ます。
これも、言葉的には日本では
VTRや生放送が主ですけども
技術用語的には…
色のキーを使用した合成と言う
意味で使用しますけども、今は、まず…
「クロマキー」が示す技術は、映画のデジタル合成時代では使用しません。
■グリーンバック
これを、クロマキーと解説する
場合が多いようで、間違いでも無いのですけども・・・
実際は、もうクロマ信号キーイングは、略使いませんので
現場では、クロマキーとは言いません。
そこで、なぜデジタル時代は
ブルーバックよりも、グリーンバックを使うのか?
と、言う事になりますが
色の三原色は、御存知の方も多いと思いますが
RGB(レッド、グリーン、ブルー)の3色で
この3色の%の組み合わせで全ての
色が作り出せる基本の3色です。
理由は
ハッキリ言えば空が青いからです(^^:
海も「青い」とも言いますが…
これは、けっこう言葉的な区分で
実際の海は、紺色やグリーンが
入っている事が多く、空よりも
色区分としては青くありません。
赤は、肌の色(%)もありますが
唇他、生物は赤い血なので
クチの中が赤い生物が多く
RGBの中で、抜く色としては適さないので
グリーンがメインになっています。
では、時々青い、ブルーバックも使うのは何故?
と、言うと、トップの理由は植物です。
次に、緑の衣装や、緑の皮膚の宇宙人
など、出演者に緑でなければ成立しない
カラ―がある場合に使います。
けっこう、メンタル的な事で
雰囲気で青い方が良い場合と言うのもあります(^^:
例えば、スカイダイビングの合成や
海、海の中などは、緑で撮る場合も
ありますけども、俳優さんが
演じにくいと言う場合は、ブルーで撮る事もあります。
ただ、逆に衣装に青があるとか皮膚が
青いモンスターなどは、逆にグリーンを使います。
で、このデジタルのグリーンバックも
クロマキーは略・言いませんので
現場では、グリーンバックとかCG(合成)で通じます。
■まとめ
このように、技法的な総称として
使う場合と、スタジオセッティングなど
モノとしてのネーミングとして使う場合。
時代的な技術総称として使う場合も
あるので、ケースバイケースで
解釈・伝達のニュアンスが変わるので…
ややこしい事になってしまうのだと思います(^^:
また、それを回避しようとして
デジタル時代に、ブルーを使ってるのに
グリーンバックと言うと、現物の色と
違う場合が在るので、疑問?に思ってしまう事になります。
元々、業界用語なので、略して
解かる者同士のワードですから
技術的な解釈では、間違って無くても
プロや現場は、そいうは言わない場合も多いです(^^:
少し違うな?と感じたら
上に解説した項目で、チェックしてみてください。
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