ゴジラVSアイドル女優【1】
映画銀幕パークのジョージ松田です。
スタッフ的には、当たり前になってる
ような事でも、映画ファンの方との
やりとりで、驚かれたり、疑問・に
思われるような
現場でのシチューエーションを
交えて、現場の様子から映画作りの
メイキングをピンポイントで書いてみます。
今回は
「ゴジラVSアイドル女優」です。
■氷の美少女
アイドル女優だけでは無いのですが
なんか1番多いような気がするので
アイドル女優としてますけども
映画は、当然「公開日」と撮影の
時期が異なる場合が多くて
まるまる1年ズレると言うのは
近年のCG処理が多い時代には
少しは在るようですが
日本映画では、まず考えられません。
つまり、季節が違うので
冬に、夏の場面を撮影したりします。
普通は、白い息が出てしますよね。
みなさんも、子供の頃に・・・
この白い息を「ゴジラ」とか言って
遊んだりした人も居ると思いますが
気温が下がると、このゴジラを消そう
と言う事になる場合
クチの中に、寒いのに「氷」を入れて
スタート直前まで、口内を冷やして
白い息が出ないようにします。
これは、かなり過酷な「技」です。
ですが、忙しい俳優さん程・・・
これを使う機会が多く
また、男優よりも女優さんの方が
クチが小さいので、白い息が出やすいので
イメージとしては、アイドル女優が
多かった気がします。
唄やドラマ、CMに、コンサート
なども、同時に行うアイドル女優は
どうしても、季節がズレてしまいます。
その為、可哀想ですが・・・
マネージャーさんが、クチに氷を
押し込み頑張って、早朝の霜がおりる
中で、ガタガタ震えながら、風が吹いていても撮影しています。
勿論、仕上がりの映画を観て
この直前まで、氷で冷やしてた
なんて、ファンにも解らないくらいの
芝居を監督からは要求されます。
芝居が・・・あまり上手くなくても
プロだな~と思うポイントです。
■ベース・ランニング
撮影現場には「ベース」と呼ばれる
場所が、基本的には俳優さんが演じ
たりする場合には設置されます。
ロケ地なら、カメラに映らない場所
で、撮影の様子が生でも見えるような
場所に設置します。
昔は、カメラフレームがモニタリング
出来なかったので、監督はカメラの
横に居る事が多かったですけども
液晶モニターなどにカメラの画が
出せるようになると、監督もベースの
モニターの側に居る事が多くなりました。
ようするに、撮影部はモニターしたり
HDD等を集約した場所で
録音部さんも、各箇所のマイクを集約し
ミキサーなどに入れ、集音の音量を
調整し、照明部も電源車やバッテリー
などを側に位置している場所で
文字通リ、スタッフの現場基地です。
現在は、略…監督は監督専用のモニター
が用意されるので、プロデューサーが
現場に来たり、助監督さんなどは
そのモニターを覗き込みます。
撮影部は、勿論単独のモニターが在り
・・・と、言うか撮影部が用意する
んですけども、カット後にも、マイクや
スタッフ、異物が映りこんでないか?
ノイズなどが無いか?を、必ずチェックします。
なので、スタート~カット!の合図の
後に、必ず助監督さんが「チェックします」
と、全体に聞こえる声で叫びます。
それを合図に、アイドル女優さんは
ベースまで走ってきます。
どう映っているのか?を見たいと言う
のが、1番の理由でしょうし
氷なめなどは、台詞の最後に少し出た
気がする?などを気にして必死に走ってきます。
可愛い子が走ってくるので、時々
勘違いしそうになりますが・・・
足の遅い子などの時は、少しチェック
の再生を遅らせてあげたり、寒いので
撮り直しや、すぐ次のカットに行く
場合もあるので、暖かいコーヒーなど
はあげられませんが・・・
マネージャーさんに、その子の椅子と
ひざ掛けくらい、此処に置いといて
いいからね。
と、普通の事を言っても、よほどの
寒さの中で、氷まで何度もクチに入れ
震えが来てる状態だと、そんな少しの
配慮ですら、涙しながら御礼を言う子も居ました。
撮影部的には、役得ですけども…
勿論、男性や叔父さんの俳優も
走ってきますから…仕事です(^^:
■涙のクランクUP
真冬の真夏のシーンも大変ですが
真夏の冬のシーンは、やはり大変で
アクションシーンとか、崖の上など
危険な意味での命がけのシーンは
映像で、観客やファンの方に伝わり
凄いシーンですね~!とか
命がけですね!と、称賛されますけども
実際の画面からは、まったく伝わらない
(伝わらないのが正解)シーンでも
実は、本当に泣きたくなるを通リ超して
命の危険を感じるくらいの寒さの中で
なんでもない会話のシーンを撮影して
厳しく氷をクチに入れて、と何度も
言われた助監督や、優しく感じれた
ベースのスタッフに、クランクUPで
声をかけて貰うと、涙してしまう
アイドル女優の方も多いんですけども
ファンの人が、それらのメイキングを
見ても、その本当の厳しい中での
涙の意味は、ちょと解らないかもしれません。
ただ、俳優さんも、スタッフも
其のシーンは、其のシーンで伝えたい
部分だけを感じて観て欲しいと言う
のが、最優先であり、その為にCGや
スタジオのエアコンなどが完備された
現在でも、少しですがアナログの
氷の技で、ゴジラと戦う俳優さんが
クチに氷を入れて頑張っています。
おしまい。
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