女優の悲鳴と謎の撮影機材【2】
映画銀幕パークのジョージ松田です。
スタッフ的には、当たり前になっている
ような事でも、映画ファンの方との
やりとりで、驚かれたり、疑問に
思われるような
現場でのシチューエーションを
交えて、現場の様子から映画作りの
メイキングをピンポイントで書いてみます。
今回は
「女優の悲鳴と謎の撮影機材」です。
1.謎の撮影機材
ロケ現場の機材車に、よく見る
「撮影機材」が乗ってますが…
一般の方が見ると、なんで?と
思うようなモノで、家庭にも
置いてある方もいるようなモノ
なのですが、とても現場では
大事な道具です。
それは「虫取り網」です。
そんなの、どうやって撮影に
使うのか?期待している方が
いたらスイマセン。
それで「虫」を取ります。
とくに夏に使います。
そう・・・「セミ」です。
音声さんの1番の悩みです。
夏に正月映画などを撮る事が
多いので、冬のシーンですから
どうしても、セミの鳴き声が入ってしまうと…
クリスマスツリーの前で
キスシーンなど、俳優さんが
緊張している時に、照明も
撮影もOKなのに・・・
ミーン、ミン、ミン、ミーーーーーーーーー!!
と入ると、新喜劇なら全員
コケるとこですが・・・
どんなに大変な事か知っている
現場スタッフは、音声の助手や
助監督で、いい大人が必死にセミを捕まえます。
つかまえて、もう居ないね?
OK?で、静かにして、OKだと
現場に大きな拍手が起きたりします(^^:
因みに、セミは捕まえて
虫かごに入れて黒い布をかけると鳴きません。
そう、夜にセミの鳴き声が
しない特性を利用して
撮影終了後に、離します。
離した後に、もう1カット
あったなどが解ったりすると…
監督は、よほどの良い
差し入れを次回の現場に持ってくる事になります。
2.本番前の女優の悲鳴
ナイトシーンの撮影前には
まだ俳優さんが入ってなくても
照明さんが1つのライトを着けて
前に白い布をひいてたりします。
森の中などで、撮影をするには
照明が必要なのですが・・・
この光りに虫が寄ってきますので
ある程度の虫を先に捕獲しておく為です。
ですが…
ナイトシーンに多いのは
泥棒でも無い限り、黒系より
白い衣装が多く
特に女優さんは白が多いので…
コレが明かりを反射するので
虫が寄ってきます。
なので・・・
「キャーーーーーーーーーーーーーーー」
と、言う悲鳴が森に響きます。
森の外のロケバス近辺の
野次馬の方も、本気で驚く
悲鳴が多く…
警備の方も慣れてるベテランは
虫だと解るので、ファンには
「芝居です」とか言うので
「凄い熱演ですね」とか返される
そうですけども…
そんな悲鳴をあげる芝居は
完成作品には、ありません(^^:
虫取り網で確保しながら撮影が
続き、芝居よりも虫との格闘で
ヘトヘトな女優さんに
お疲れ様ー、とか声をかけてる
ファンの人には、とても言えず・・・
(ホントは虫で疲れたんだけどね)
と、思いながら現場を後にする事も何度かありました。(^^:
3.まっくろくろ
海辺の岩場での深刻な場面や
バーベキューなどの楽しい
シーンでも
あの虫取網が、またしても活躍します。
フナ虫と言う、黒い虫が
岩場には居ます。
特に、撮影に使うような場所
になると、少し行くのに困難
な、気軽に家族が来てしまわない場所が多く
あまり人が来ない場所だと
フナ虫が大量に居ます。
黒い岩があると思うと・・・
全部がフナ虫で覆われていた
なんてこともありました。
人が来ると、一斉に逃げて
動き出すのですが、その様子
が、超気持ち悪いので苦手な女性は多く
女優さんとヘアメイクさんの
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーー」
が、海に響き渡ります。
テストでも、足元に10匹
くらいの小隊が姿を見せる事も
あるので…
虫取網の出番です。
フナ虫は、取ったら海に
ポイしてました。
たぶん、死んだりはしてないと思います。
洞窟の中だとかも同じく
なんか虫が、いろいろ居ますので
これから、俳優になりたいと
言う方で、舞台ではなくて
ドラマや映画で活躍したい方は
絶対に遭遇するとは言いませんが
このような虫取網に御世話になる
仕事場でもあると覚悟できないと
なかなか現場では辛いかもしれません。
実際に、虫が苦手すぎて辞めて
しまったと言う話も、聴く事が
ありますので。
おしまい。
販売元 : ポニーキャニオン ASIN : B086162R7S 詳しく見る。 |
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