お薦め名画「フック 」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
フック
です。
ピーターパンシンドローム、日本では
ピーターパン症候群と言う呼び名で
80年代後半に、誤解も含めて広まった
ワードで、大人なのに精神的に大人に
なれない(ならない)人の事を、当時は
深刻に議論してい時代に
スティーヴン・スピルバーグが、大人に
なっていたピーターパンとフック船長の
話を映画化した作品がフックです。
この1991年(日本1992年)の作品について
当時の様子を交えて書いて見たいと思います。
■アンブリンファミリー
スティーヴン・スピルバーグは、世界中が知る
大ヒットメーカーになっていて、1981年に
設立したアンブリン・エンターテインメントが
10周年を迎える1991年の作品だった事からも
製作中からニュースになる大作で、SFXを使う
ファンタジーと言う事からも、ファンは期待し
公開される製作中の写真などからも、話題になっていきました。
監督は、スティーヴン・スピルバーグ
製作はアンブリン共同設立者の1人
キャスリーン・ケネディと、同じく
共同設立者で、キャスリーンの夫
フランク・マーシャルのコンビと言う
御馴染のメンバーで
撮影はバック・トゥ・ザ・フューチャー
シリーズなどのディーン・カンディ
音楽はE.T他の説明も要らない程の
スピルバーグ作品を担当している
ジョン・ウィリアムスで
製作に加わるジェラルド・R・モーレンは
後に、シンドラーのリスト1993で
スピルバーグをアカデミー賞に導き
ジュラシック・パーク1993ではCGを使い
伝説的な娯楽大作を贈り出す事になる。
この鉄壁のメンバーに7000万ドルの
制作費を投じ、スピルバーグのコメント
にも、情熱を感じる作品でした。
それは、スピルバーグは飛行機恐怖症を
持っている事から、「飛ぶ」と言う事への
拘りが、良い意味でもわるい意味でも
強く意識された部分も投影されていました。
1992年のインタビューでスピルバーグは
「スーパーマン、バットマン、E.T。の
いずれであっても、何かが飛ぶときはいつでも
それはピーターパンの帽子の先端でなければ
なりません」と語っていて、人が飛ぶ最初の
記憶がピーターパンだったそうで
ピーターパンへの思い入れは、この作品にも
込められるはずでしたが…タイトルは「フック」になります。
■キャスティング
スターウォーズファンなどには有名ですが
ティンカー・ベルを演じるのは、当初は
レイア姫のキャリーフィッシャーでした。
今となっては…想像しにくいのですが?
見て観たかった気もしないでもありません(^^:
もちろん本作では、ジュリア・ロバーツが
ティンカー・ベルを演じています。
ミュージカル案の頃は、マイケル・ジャクソン
が、スピルバーグと組みと話題にもなり
マイケル・ジャクソンの自宅の庭にある遊戯物
などの多さから、マイケルの豪邸は
ネバーランドと呼ばれ、世界に知られる
ニックネームになり、またマイケルも
ピーターパン症候群を語る時に、名前が出る
人物にされてしまう時代でした。
勿論、本作はミュージカルではなく
ロビン・ウィリアムズが大人になった
ピーターパンを演じています。
またフック船長をダスティン・ホフマンが
演じる事もあり、タイトルは「フック」になっていきます。
撮影は1991年2月19日に始まり
カリフォルニア州カルバーシティの
ソニーピクチャーズスタジオで9つの
ステージをキープする超大作規模の撮影が
キャストと、内容とタイトルの間で揺れ動き製作されていきました。
■フックとトイザらス
フックは、1991年12月にアメリカで
公開されると、ホームラン級を打つ
スピルバーグの作品としては・・・
ヒット程度でおわったことからも
日本では半年遅れの1992年の6月の
公開になり、宣伝にも…あまり力を入れない様子が覗えました。
キャッチコピーも、
もしもピーターパンが大人になったら…
と言うハッキリしないコピーで
ピーターパンが主役なのか?
フック(船長)が主役なのか?
よく解らない感じでした。
その為に、日本の映画館も少し
TOPクラスから下げた劇場での公開に終わります。
また 1991年12月に、トイザらスが
日本に上陸し、日本の中の玩具店が
ピンチになる!と言うような報道が起きます。
91年の頃は、大人が玩具店で自分の
玩具を買うというような事は、略無く
必ずプレゼントですか?と聴かれる
ような時代でした。
今は、大人が玩具を買っても、よほど
幼児向けの玩具でもない限り聴かれませんし
数や種類にもよりますが、リビングに
フギュアが2~3体置いてあっても
とくに、ピーターパン症候群と結びつける
事は無くなっていますけども
まだ、トイザらスを知らない日本では
大人と玩具の間に、溝がありました。
そんなトイザらスに「フック」の玩具が
多く並んだ光景が、トイザらス上陸の
ニュースと共に流されます。
スターウオーズやスパイダーマンでは
なく、フックで…これだけの玩具が
出るのか?と驚かされるラインナップ数でした。
ですが、1992年の秋には格安プライスで
フックの玩具やグッズは積み上げられ
フックも、トイザらスも、前評判のような
大きな波は無く、評判よりは小さな波を起こしました。
■まとめ
大人になって昔の記憶を失ったピーターパンの
再生しての冒険を描くファンタジー。
と、言うのが宣伝上の解説でしたが
やはり、少し解り難いですよね(^^:
またスピルバーグは、この作品で自身が
成長するのが非常に困難で
ピーターパン症候群の犠牲者だと公表しています。
少し変わった時代のワードが
ピーターパン症候群でしたけども
今は、そんなワードは忘れられていて
大人もなっても、子供心や遊び心を
忘れない人の部分を、とくに斜めには
見ずに、好意的に見る人が多いとさえ思います。
なので、この映画は当時見るのと
令和の時代に見るのとでは、同じ内容
でも、違う作品に見える要素があります。
なにより、ダスティン・ホフマンと
ロビン・ウィリアムズと、ジュリア・ロバーツの
共演を、スピルバーグが監督しているのですから
それだけでも、未見の方には是非「今」見てみて欲しい映画です。
![]() 時間 2 時間 22 分 ASIN : B005N3ZEP0 詳しく見る。 |
■作品データ
脚本
ジム・V・ハート
マライア・スコッチ・マルモ原案
ジム・V・ハート
ニック・キャッスル原作 J・M・バリー
製作
キャスリーン・ケネディ
フランク・マーシャル
ジェラルド・R・モーレン製作総指揮
ジム・V・ハート
ドディ・アルファイド音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ディーン・カンディ
編集 マイケル・カーン製作会社アンブリン・エンターテインメント
配給
アメリカ合衆国 トライスター
日本 ソニー・ピクチャーズ公開
アメリカ合衆国 1991年12月11日
日本 1992年6月20日上映時間 144分
製作国 アメリカ合衆国
製作費 $70,000,000
興行収入
世界 $300,854,823
アメリカ合衆国・カナダ $119,654,823配給収入日本 23億3000万円
■キャスト
ジェイムズ・フック船長 – ダスティン・ホフマン
ピーター・パン(ピーター・バニング) – ロビン・ウィリアムズティンカーベル(ティンク) – ジュリア・ロバーツ
スミー – ボブ・ホスキンス
ウェンディ・ダーリング – マギー・スミス
モイラ・バニング – キャロライン・グッドール
ジャック・バニング – チャーリー・コースモー
マギー・バニング – アンバー・スコット
ライザ – ローレル・クローニン
グッド警視 – フィル・コリンズ
トゥートルズ – アーサー・マレット
ポケッツ – イサイア・ロビンソン
エース – ジャセン・フィッシャー
ルフィオ – ダンテ・バスコ
サッドバッド – ルシャン・ハモンド
少女時代のウェンディ – グウィネス・パルトロー
ピーターの母 – ケリー・ローワン