イマジナリ―ライン
映画銀幕パークのジョージ・松田です。
映画や映像を少しプロぽく見られて
しまう、映画の見方を紹介してみます。
今回は、イマジナリ―ラインです。
聴いた事ある方もいるかもしれませんが?
日本語だと、想定線(そうていせん)
と、言う場合もありますけども…
あまり、もう想定線とは言わないと
思います(^^:
どういう「ライン」なのか?
まずは、例の画で解説してみます。
例の1・男女の会話シーン
例えば男女の会話のシーンなど
2人の会話のシーンは、誰でも見た事があると思います。
右に女性が居て、左に男性が居て
話し合っている2ショットで、シーンが始まります。
次に、女性のアップのカットに移行します。
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あれ?向きが…おかしいですよね。
通常は下のような同方向のを
みなさんは見て居るので
女性が上手(右)を向いてしまうと
違和感を感じます。下手(左)は自然に感じます。
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これは、撮影上イマジナリ―ラインを
厳守して撮影されている映像を
見慣れているからなんです。
つまり、カメラは上↑のラインの下側
(手前)から、イマジナリ―ラインを
超えて、反対には行かないと言う
撮影的なルールを守る事で
位置関係が、目からの情報で整理できるからです。
では、このラインの向こうにカメラを
持っていきたい場合は、どうするか?
と言うと
反対になる間に、ライン上のカットを
入れると、イマジナリ―ラインを跨ぐ事が出来ます。
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女性の正面を入れると、直で反対向き
に行くよりも繋がりに違和感が無いはずです。
コレは、ヒーローと敵が向か会って
戦うとか、西部劇の一騎打ちや
カンフー映画などの、いろいろなシーンで使われています。
また、俳優の動きが加わったり
3人4人になった場合も、どうのような
ラインで撮影していて、俳優さんに
どう動きを演出しているかが解ると
その演出家の意図や、キャラの心情も
厚みを持って見る事が出来ます。
例えば
君の瞳に乾杯の台詞で有名な
「カサブランカ」のラストシーンも
2人の男女ポール・ヘンリード
イングリッド・バーグマンの2ショット
に、ハンフリー・ボガートが加わり
イングリッド・バーグマンが
そっと動き2対1の位置関係を右から左に動き変えます。
この複雑な戦争背景と、心情の変化を
シンプルなイマジナリ―ラインで
描いている名作の名シーンです。
最初は普通にみて、2回目以後~
見る映像などで意識して見ると
この、見えないはずの
イマジナリ―ラインが見えてきます。
![]() JAN: 4988135807113 時間 102 分 詳しく見る。 |
1946年6月20日・日本公開 監督 マイケル・カーティス 出演 ハンフリー・ボガート イングリッド・バーグマン ポール・ヘンリード 音楽 マックス・スタイナー |
例2・追跡シーン・カーチェイス
アクションや、刑事モノなどでは
カーチェイスのシーンがあったりして
楽しみに見る方も多いと思いますが
これもイマジナリ―ラインの原則を
守って撮影されています。
例えば犯人のクルマを追う
警察のクルマのカットの次が…
▶
だったら、どうでしょうか?
逆走?の違和感でしか無いですよね(^^:
これもイマジナリ―ラインが存在しています。
ですが、これも複雑な道・地形や
長いカーチェイスの場合は、ずっと
同じ方向に走ると単調になってしまい
迫力も少なくなってしまい
観客の飽きられてしまいますので
向きを変える事も大事なテクニックです。
クルマや馬など乗り物などの場合も
同じで、人物の正面と同じくライン上のカットを入れます。
長いカーチェイスや、スポーツ競技
などは積極的に
このイマジナリ―ラインを超える技を
入れて行きます。
例えば
007シリーズでも人気の高い
ロシアより愛をこめてでは
ボンドカー・アストンマーチンの
カーチェイスは、様々なアイテムを
駆使する事を解るように撮影(見せて)
そのスピードを維持した名シーンで、カーチェイスの御手本です。
![]() JAN 4988142719720 Blu-ray 時間 115 分 詳しく見る。 |
1964年4月25日・日本公開 監督 テレンス・ヤング 脚本 リチャード・メイボーム 出演 ショーン・コネリー ダニエラ・ビアンキ 音楽 ジョン・バリー 撮影 テッド・ムーア |
例3・リアルじゃ無いリアルな方向。
イマジナリ―ラインは、向かい合う
場合や、複数車輌などの位置関係に対して、使われますが
もう1つ方向性のみに使う場合があります。
例えば
男が東京から大阪に出張に行くと言う
シーンで、以下のAもBも違和感があると思います。
A ▶
B ▶
ですが、コレはリアルな場合は
Aは北側から南方向を撮れば西に向かう新幹線ですし
Bも、進行方向に逆を向いて行く人も
居ますので、リアルな世界の描写としては
嘘でも間違いでもありません。
C ▶
ですが、観客がシックリくるのは
Cのパターンだと思います。
列車を使ったカーチェイス的なモノは複雑ですが
例えば、銀河鉄道999のラストでは
999は上手(右)に向い、鉄郎も
上手に走り、メーテルは下手(左)を向くシンプルな構成で
最後は、鉄郎の股の間から
イマジナリ―ライン上を、まっすぐ
999は、空>宇宙に向かって走り去る
名シーンですが、ここも複雑な男女の
想いの別れのシーンなので
イマジナリ―ラインはシンプルで
切替しではなく、イマジナリ―ライン
上のカットを使う、りんたろう監督の演出
カメワークに引き込まれ、本当は999
の速度と、鉄郎の走る速度は嘘が
あるのですが、それは初見では
気ずけない名シーンになっています。
![]() 銀河鉄道999 [Blu-ray] JAN 4988101143856 時間 128 分 詳しく見る。 |
1979年8月4日 原作 松本零士 監督 りんたろう 脚本 石森史郎 主題歌 ゴダイゴ 声 野沢雅子 池田昌子 |
まとめ
映像は3Dとかネーミング的には
ありますが、まだまだ映画の主流も
平面の映像なのですけども
意外に、立体的に位置関係を理解して
貰う為にはイマジナリ―ラインという
平面的な想定ラインで空間を撮影した
平面的な理解して貰う工夫をしています。
またマンガなどでも
このイマジナリ―ラインを無視した
カット割りだと、違和感を感じる場合もあります。
難しく考えて楽しめなくなるのは
よく無いですが好きな映画のシーンなど
平面的な技なのですが、作品は
より立体的に解釈できるようになったり
しますので、少し意識して見てみてください。
更に、いろいろ詳しく知りたい方には↓お薦めの本です。
![]() 映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方 ISBN-10: 4862462138 詳しく見る。 |