お薦め名画「ジュラシック・パーク 」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
ジュラシック・パーク
です。
ジュラシック・パークは、良い意味で
世界中が、スピルバーグに騙された映画で
スピルバーグは、何年も製作総指揮に廻り
作品も娯楽作品よりも、アカデミー賞を
意識したような作品ばかりで、批判されたり
人気としても落ちていた時期でしたが
一発で、それらを吹き飛ばしてしまった
娯楽超大作で、事実上CGをメインにした
実写大作映画としての大きな1歩を踏み出し
映画の歴史は、ジュラシック・パーク以前
と以後に分けられるとも言える程
その後の映画や映像には「CG」が欠かせない
技術として、多くの可能性や予算を左右する
アイテムになりました。
その1993年の頃を交えて書いてみたいと思います。
■コンピュータグラフィックス時代の幕開け!
今でこそ「CG」(シージー)と言えば
解説いらずで、普通に使用される略語ですが
まだ、当時はコンピュータグラフィックスと
言っていて、CGと言った場合も
コンピュータグラフィックスの略ですと
説明を言葉や文字で付けないといけない時代でした。
それも、そのはずでジュラシック・パーク公開
の1月前に、マイクロソフトがWindows 3.1の
日本語版を発売しています。
ですが、Windows95以前に、そんなOSに
関心を持つ日本人などは、ほんの一握りで
まだ、家庭にパソコン(略マックの事)を
家庭に持っている人は、私を含めて変わり者
なくらいでした(^^:
価格も、30万円くらいは出さないとPCを
買う事は出来ず、ハードディスクがまだ
40MB(1GBない)ようなPCが、30万円ですから
当時、スキャナーとプリンターを合わせて
買って、55万円程支払った記憶があります。
そんな時代なので、CGは映画ではタイトル文字
などには使用されるようになっていましたが
それは、CGの使い方としてはCGアニメに近く
恐竜のような実写としての意味を持つ
CGではありませんでした。
スピルバーグも、ジュラシック・パークは
ゴー・モーション(モデルアニメの1種)で
製作する予定でしたが・・・
ILMのメンバーが極秘で開発していた
フルCGのT-REXを、スピルバーグに見せた事で
その歴史の扉は開きます。
他の重要なシーンの予算も、CGに廻し
ジュラシック・パークの最大の売りは
CGによる恐竜と言う事にスイッチします。
ILMも、スピルバーグだから見せたのでしょうし
そこからの即決の判断や、予算の投入は
スピルバーグのセンスの凄さで
この瞬間に起きた事で、CGや映画歴史は
5~10年は違ったのでは無いかと言われる程の出来事でした。
■アニマトロニクス
同時に、スピルバーグはCGの欠点も見抜きます。
俳優には撮影現場で、CGの生物や物体が見えない
上に触る事が出来ない事です。
そこで、スピルバーグは同時に原寸大のT-REXの
アニマトロニクス(ロボット)を制作します。
油圧駆動システムで動く、高さ6m・重量6トンの
T-REXは、完成度は凄かったのですが・・・
同時に重さも凄く、動かすとその反動で
スタジオの*ステージを破壊してしまうため
1.8mのコンクリート床が在る、水中撮影用の
ステージにボルトで固定される事になります。
*スタジオ内に作る木製の床の事。
その他の恐竜が絡むシーン用にも、幾つかの
部分的なアニマトロニクスが製作され
俳優との触れ合いのシーンが撮影され
CGの触れられない部分をカバーしています。
その事で、観客が大きく騙された1つは
全ての恐竜はCGなんだと言う錯覚です。
実際には、かなりアナログな着ぐるみや
頭部だけだったり、御得意の「影」を使い
鼻息などで生命観を出す事で、観客はCGの
恐竜に追いつめられていきます。
ですが、その半分以上は…実は昔からの
特撮的なトリックで、CGではありません。
まだまだCGは予算と時間を喰う時代なので
その「手間」の方が安く出来る時代でした。
■スピルバーグ映画史上最大のヒット作
マイケル・クライトン原作の作品は
そのDNAから恐竜を再生させると言う
考えられなかった世界を現実に出来るかも?
と、言う嘘では無いSFの可能性に切り込んだ
アイディアと、CG技術が見事に結びつき
スティーヴン・スピルバーグの強力な
アイディアと演出と、営業に全世界が巻き込まれ
全世界興行収入は9億1469万ドルで、E.T.1982年の
記録を抜いて、当時の世界歴代興行収入1位を記録
してしまいます!
ジョン・ウィリアムズの壮大な音楽や
関連グッズなども、飛ぶように売れ
各メーカーがキャンペーンに使い
スピルバーグを批判していた者のクチを塞ぎます!
日本でも128億5000万円もの大大ヒットで
世界歴代興行収入1位なので、当たり前ですが
映画館前に出来た列や、パンフレットの売れ行きなど
その光景は、誰も見た事ない、初めての光景で
連日映画館の前には、ジュラシック・パークの
音楽が流れ、恐竜の広告看板やオブジェなどが
増えて行き、テレビコマーシャルの回数も増える
一方で、ジュラシック・パークのテーマを聴かない
日が無いくらいに
1993年の夏はジュラシック・パーク1色に染まります!
映画ファンは、スピルバーグにお帰りとの
メッセージを贈り、以後スピルバーグは
大衆が喜ぶ娯楽作品らも多く製作、監督し
その人気を不動のものにしていきます。
■まとめ
このジュラシック・パークで、最初に公開
されたCG場面は、草食の首長竜の映像でした。
そのリアルな風景の中で動く恐竜に
世界中の人は目を疑い、CGの技術に驚きました。
とにかく生きてるような恐竜の姿がいろいろ
見れると、思ってチケットを買い、足を運びますが
大きく裏切られます。
スピルバーグは、激突や、あのジョーズの監督です。
まさかの、恐竜達が人間に牙を向けて来る場面に
息を飲み、緊張し、迫りくる大迫力の映像に
鳴き声や足音まで、恐竜を体験させられう事になります。
ホンワカな恐竜ランドとは異なり、ジョーズ以上の
迫りくる「餌」にされる恐怖を体験する事になります。
ですが、勿論見た人は予想外の展開でも
想像もしえない光景と体験に、CGを堪能する事が
初めてできた作品でした。
公開前6月26日にはセガ・エンタープライゼスが
幼児向けキッズコンピュータ「ピコ」を発売
パソコンやCGが、どんどん身近になって
いく未来が創られていくことになります。
そんなCGの最初期の作品なので、今見れば
もっと、こう出来たと思える場面もありますが
アナログとの組み合わせによる効果は、逆に新鮮で
CG技術者にも、勉強になる要素もあると思いますので
CGの扉を開いたジュラシック・パークを
未見の方は勿論、再度アナログの場所などを
見極めて見るのも面白いと思います。
![]() [Blu-ray] JAN 4988102074395 時間 127 分 詳しく見る。 |
■作品データ
脚本
マイケル・クライトン
デヴィッド・コープ製作
キャスリーン・ケネディ
ジェラルド・R・モーレン音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ディーン・カンディ編集
マイケル・カーン
スタン・ウィンストン
デニス・ミューレン
フィル・ティペット
マイケル・ランティエリ製作会社アンブリン・エンターテインメント
配給
アメリカ合衆国 ユニバーサル
日本 ユニバーサル/UIP公開
アメリカ合衆国 1993年6月11日
日本 1993年7月17日アメリカ合衆国 2013年4月5日(3D版)
上映時間 127分
製作国 アメリカ合衆国
製作費 $63,000,000
興行収入
世界 $1,029,153,882
アメリカ合衆国 $402,453,882
日本 128億5000万円配給収入 日本 83億円
■キャスト
アラン・グラント博士 サム・ニール
エリー・サトラー博士 ローラ・ダーンジョン・ハモンド リチャード・アッテンボロー
イアン・マルコム博士 ジェフ・ゴールドブラム
アレクシス・マーフィ アリアナ・リチャーズ
ティモシー・マーフィ ジョゼフ・マゼロ
マルドゥーン ボブ・ペック
ドナルド・ジェナロ マーティン・フェレロ
デニス・ネドリー ウェイン・ナイト
レイ・アーノルド サミュエル・L・ジャクソン
ヘンリー・ウー B・D・ウォン
ルイス・ドジスン キャメロン・ソア
ミスター・DNA グレッグ・バーソン