お薦め名画「キングコング対ゴジラ」2
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
キングコング対ゴジラ
です。
キングコング対ゴジラは、1962年8月に
公開され、その後、*1970年と1977年にも
公開された、ゴジラシリーズの1つで
初のカラ―作品で、ゴジラシリーズ中では
歴代1位の大ヒット記録を持つ人気作品です。
*チャンピオンまつり版と言われる。
レジェンダリー・ピクチャーズが、2021年に
Godzilla vs. Kongを公開予定ですが
その作品モチーフは、誰が見ても1962年の
キングコング対ゴジラです。
そのアナログ時代のキングコング対ゴジラの
1962年は知りませんが、1970、1977年時の
様子を交えて書いて見たいと思います。
■日本最大のヒット映画!?
日本最大のヒットは・・・
鬼滅の刃でしよ。
と、言う方が多いと思います。
その通りで、興収371億円突破、400億円
にも到達すると言われています。
誤解の無いように先に書いておくと
個人的には、鬼滅の刃好きですし
面白い要素が沢山あるコミックでアニメだと思っています。
これは金額で、見た日本最大ヒット作が
千と千尋の神隠しを抜いた、鬼滅の刃
と言う事で、その数字は嘘でも何でもなく凄い記録です。
ですが、金額だとしたら…
2020年・2021年の大人の入場料金は
略1800円と言う感じです。
では、キングコング対ゴジラの頃は?
と、言うと*大人260円でした。
*邦画の1番館の金額。
約6.9分の1です。
それでも、7倍してもザックリ計算でも
21億円でまったく届きません。
大卒出初任給的にも15700円の時代ですから
2019年では、208,826円と13.3倍もの違いがあります。
キングコング対ゴジラは、3億5010万円が
公開時の配給収入です。13倍しても
それでも、約40億程です。
ですが、千と千尋の神隠しは数年後の
上映分も足して、鬼滅の刃と競っていました。
と、なると、キングコング対ゴジラは
その後、一番館での公開は1970年と
1977年後も、公開され
さらに、何度も劇場数や期間限定ですが
日劇などのTOPクラスの劇場のスクリーンで上映されています。
コレらを算出する事のは、かなり難しい程公開されてしまっています(^^:
なので、金額的には鬼滅の刃が
間違いなく、1番だと思いますが・・・
ただ「ヒット」と言うと…
何度も公開される事、其のものも要素だと思いますし
海外に輸出されるだけではなくて、海外版と言う
別の俳優の演技などを追加撮影した、別版の
キングコング対ゴジラが作られたり
まだまだ、食べる事に必死な日本で
ラーメンが1杯50円の時代に
娯楽の為に、5杯分の260円を出しても
足を運んだのを、空腹で倒れる人など
居ない時代に、リピーターが多く居て
「オマケ」が付いた作品と比較する事は難しい事ですが…
もし諸々の要素をAIなどに入れたら
最大の「ヒット」作は…
キングコング対ゴジラなのでは無いか?と思えてしまいます。
勿論、見方の1つでしかありませんが
キングコング対ゴジラは、きっと
2021年後も、内外で公開されるかもですし
まだ・・・
丹次郎よりも、日本で最もゴジラは有名な
ムービースターなのは確かですから
コレを、千や、丹次郎が抜かないとは
言いませんし、今後ゴジラのようにシリーズ
だったり、海外の有名キャラとの共演もあるかもしれません。
ただ、ゴジラは…かなり難しい強敵で
ハリウッドでも、既にヒットメーカーで
在るので、ゴジラシリーズ最大のヒット作
キングコング対ゴジラは・・・
金額ではなく、日本1の「ヒット」作としも
抜かれたのかな?と、少しでも考えてもらえたら…
金額だけでは無い、商業映画の見方を持って貰えたら幸いです。
■ウィリス・オブライエンとコング
キングコングの大ヒットの後
制作者ウィリス・オブライエンは、
「キングコング対プロメテウス」という
タイトルの映画を企画していました。
フランケンシュタイン博士が秘密裏に
創造していた巨大クリーチャー(怪獣)と
キングコングが戦う作品でした。
一方、ゴジラのヒット後に、円谷英二は
ゴジラの逆襲で、アンギラスとゴジラという
2体の怪獣が対決する作品を制作します。
この時点の大きな差は、オブライエンは
コマ撮りのモデルアニメで
ゴジラは、人が入るスーツでの撮影でした。
1つには、モデルアニメは数秒撮るのにも
膨大な日時が掛かり
人が入るスーツは、短時間での撮影が
可能な違いがありました。
その上で、対決となると肉弾戦の迫力は
モデルアニメは、1コマずつの写真なので
1コマの画がブレない事から、スピード感や
などの重量感が無い欠点がありました。
その為、オブライエンがRKOに出した
「キングコング対プロメテウス」の
ストーリーボードや企画書は、いつの間にか
日本のゴジラの円谷にならと
キングコングの使用許可を出し
キングコング対ゴジラが実現します。
オブライエンは、結局キングコングは
キングコング(1933年)とコングの逆襲(1933年)
の2作のみで、「キングコング対プロメテウス」
は実現せず、ひどく落胆してしまいます。
オブライエンは、1959年に海獣ビヒモスと言う
ゴジラを意識した怪獣映画を制作しますが
・・・迫力に欠けるものでした。
モデルアニメには、良さや味が在るのですが
この時代の映画会社には、製作時間が
かかる事を最も嫌がり、コスパを求める時期でした。
モデルアニメから、完成度の高いスーツ
への時代に移行し、成功したのが
キングコング対ゴジラでした。
ただ、オブライエンの
「キングコング対プロメテウス」も
見て観たかった気がします。
この後、ゴジラシリーズはモスラやキングギドラ
などの、操演やスーツの異形な怪獣との作品を多く産み出して行きます。
![]() ウィリス・オブライエン 時間 : 1 時間 19 分 詳しく見る。 |
■チャンピオンまつり版
テレビに、円谷英二が進出しウルトラQ
ウルトラマン、ウルトラセブンが放送され
日本中に怪獣ブームが起きます。
その後、1度ブームは終息したかに
見えましたが、再び子供達から
怪獣を求める声が上がり、玩具などが
売れ出し、出版や再放送が、凄い数字に
なると、東宝もキングコング対ゴジラを
1970年に再びスクリーンに映します。
当時、東宝が「チャンピオン祭」として
子供向けに春、夏、冬の3回上映していた
プログラムで、3月の春に上映します。
同時上映に、短いアニメなどが付きますが
殆どはテレビ番組の1話(1本)などで
メインは、キングコング対ゴジラでした。
ポスターなども、キングコング対ゴジラが
メインで、コレが大ヒットで1962年には
発売されていない、ソフビ人形なども売れました。
ただ、この頃のキングコングは自身も
そうでしたけども、アニメで放送していた
やさしいキングコングだったので
ギャップ的には、かなりリアルな「本物」?でした。
再上映でも大ヒットした事から
デパートや遊園地でも、映画との
コラボ企画で子供を呼び込む為に
よみうりランドなども
ちびっこワイワイカーニバルとして
キングコング対ゴジラの写真を使い
ゴジラショーなどが開催されました。
ただ、後に元の1962年から
大トカゲのシーンなどがカットされて
いた事を知り、この1970年と1977年の
公開版を、チャンピオンまつり版と
ファンが呼ぶようになり、通称として定着します。
■完全版と海外版と007
チャンピオンまつり版に対して、編集前の
行方不明となっていたフィルムの一部が発見され
2014年にHDリマスターによる、BDが発売されます。
同年11月24日には日本映画専門チャンネルで高画質版と
して放送しますが、フィルム原版の欠落箇所はビデオ素材でした。
ですが、つい最近ですが2016年に約23分のネガフィルムが
新たに発見され、合計約2.7キロメートル全10巻のネガが
完全に揃ったので、東宝は全編4Kスキャンレストアを実施
修復作業は約10人の担当者が約3か月を要して行われ
TOHOシネマズ新宿でも、またまた上映される事になりました。
また、キングコング対ゴジラは海外版と言われる
海外の俳優の部分を入れたバージョンがありますが
伊福部昭の音楽はほとんど別の曲に差し替えられてしまい
コメディシーンも大幅にカット、両怪獣の対決の行方を
解説する科学者の場面が追加されます。
その為、賛否ありますが…内外のファンもオリジナルを
称賛する声が多くあります。
とくに…音楽が伊福部昭で無い事が大きく
あまり支持されません。
ですが、この海外版もキングコング対ゴジラと言う
2大スターの共演で海外でも注目され
日本の女優、浜美枝と若林映子は、この海外版から
007は二度死ぬへのキャスティング依頼を受ける事に
なるのですから、日本最大のヒット作の主演
ゴジラは、当時世界でTOPの大人気映画の007をも動かしています。
■まとめ
ゴジラの1作目の頃は、特撮と言う技術を
特技と言いました。
特撮と言うのは、空撮とか水中撮影など
の事を言いました。
その為、円谷英二特技監督と言うのが
円谷英二の肩書になっています。
少し前は、CGと言うのはお金の掛かる技術でした。
今は、立体で作ったり、場所に行く
事などよりも、CGを使う方が、簡単で安く出来たりしてしまいます。
特撮も、ある時期はお金が掛かると言われ
ましたが、実際にダムを壊したら国家予算が
必用ですし、ロケットを飛ばすのも大変なお金が掛かります。
噴火を撮るのなどは、スタッフを365日
はり付かせても、10年経っても撮れない
かもしれない。と、映画が完成しません。
本当は、特撮は劇的に安くしたモノだったのに
いつのまにか、特撮は予算を喰うと言われてしまいます。
怪獣映画も、アナログでスーツの中に
入る時代から、CGで作られるように
なり、ある意味「リアル」になってますが
この1962年に作られた、手造りの
アナログ怪獣映画のリアルを、是非未見の方は
ハリウッド版の前に、見て観てください。
![]() <Blu-ray> JAN 4988104120823 時間 97 分 詳しく見る。 |
■作品データ
監督 本多猪四郎(本編)
円谷英二(特撮)脚本 関沢新一
製作 田中友幸
音楽 伊福部昭
撮影 小泉一(本編)
有川貞昌(特撮)
富岡素敬(特撮)
編集 兼子玲子(本編)
石井清子(特撮)制作会社 東宝撮影所
配給 日本 東宝
アメリカ合衆国ユニバーサル・インターナショナル公開 日本 1962年8月11日
上映時間 97分
製作国 日本
配給収入 3億5010万円
■キャスト
桜井修:高島忠夫
藤田一雄:佐原健二古江金三郎:藤木悠
多胡部長:有島一郎東部方面隊総監:田崎潤
重沢博士:平田昭彦
桜井ふみ子:浜美枝
たみ江:若林映子チキロの母:根岸明美
ファロ島酋長:小杉義男
山本勇吉(第二新盛丸船長):田島義文
ファロ島祈祷師:沢村いき雄
大貫博士:松本染升
海上自衛隊幹部:三島耕
大林:堺左千夫
牧岡博士:松村達雄
通訳コンノ:大村千吉
自衛隊爆破責任者:山本廉
パシフィック製薬宣伝部員:加藤春哉
大安丸船長:大友伸
東部軍陸上第二部長:桐野洋雄
東部軍陸上第一部長:堤康久
第二新盛丸通信員:中山豊
警戒中の警官:古田俊彦
新聞記者:草川直也
陸上自衛隊幹部:津田光男
疎開する団地の住人:東郷晴子
世界驚異シリーズ解説者:田武謙三
警察幹部:熊谷二良
避難の男:土屋詩朗
松戸の野次馬:小川安三、鈴木和夫
新聞記者:三井紳平、橘正晃
東部軍施設課長:坂本晴哉
急行つがるの乗客:峯丘ひろみ
チキロ(ファロ島の少年):平野治男パシフィック製薬
計算機係:丘照美
宣伝部員A:千葉一郎
計算機係:紅美恵子シーホーク号船長:ダグラス・フェーン
シーホーク号調査団員:ハロルド・コンウェイ、オスマン・ユセフ
キングコング[14]:広瀬正一
ゴジラ[14]/監視台のファロ島民[2役]:中島春雄
ゴジラ(補佐):手塚勝巳海外版出演者
ジョンソン博士:ハリー・ホルカム
ナレーター:レス・トレメイン