お薦め名画「キングコング対ゴジラ」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
「キングコング対ゴジラ」です。
ハリウッドのモンスターバースシリーズ
での第4作目として、ゴジラVSコングが
2021年に公開(予定)ですが、58年前の
1962年にアナログで製作された
キングコング対ゴジラを、その前に
振り返ってみたいと思いますが、流石に
産まれて無いので、60年代のウルトラマン
放送時に起きた、怪獣ブームの頃に
当時は街に何館かあった2番館、3番館
名画座と言われる劇場で、2本立て
3本立てで、上映された怪獣映画としての
当時の様子も交えて書いて見たいと思います。
■ゴジラの色
1966年にウルトラQ、ウルトラマンが
放送されると、日本中が怪獣ブームに包まれます。
近年には、コレに匹敵するブームが無い
ので例えるのが難しいですが
あ●森とか、鬼●の刃とかの比ではなく
たまご●ちの社会的ブームの100倍くらい
の大ブームが、長く続いたと言うくらい
しか略して言うのは不可能で
週間・月間漫画雑誌の表紙が怪獣になり
玩具はもちろん、文具、お菓子などは
まだ解りますが、普通に八百屋の手書き
の値札にも怪獣が書かれ、呼び込みも
怪獣、病院や歯医者にも、ガオー!とか
書かれた、恐竜だか怪獣だかわからない
絵が、とにかく社会全体に溢れかえったブームでした。
19時の放送で30%から42%もの視聴率
なんですから当然かもしれません。
1966年当時は、まだ洗濯機や冷蔵庫
電気炊飯釜(ジャー)、掃除機も
家風呂さえも各家庭には無く、テレビも
白黒テレビが在れば良い方だった時代でしたが
家には幸い、洗濯機も掃除機も無かった
ですけども、父親の仕事の関係で
中古のカラ―テレビが在ったので
近所の親戚の子供が、ウルトラマンなど
カラー作品を見にきていました。
映画は、当然カラーに移行していましたが
キングコング対ゴジラは、初めて
ゴジラがカラーで製作された作品で
東宝スコープ(シネスコ・ワイド画面)で
製作された事から、2番館でもワイド画面が
映写出来る少し良い映画館でないと
見る事が出来ませんでしたが、当時は
動くゴジラを見る方法は、映画館しか無く
子供は、この2番館への上映をおねだり
するしか無いのですが、当時は初公開も
当時人気の2枚目スター加山雄三の
若大将シリーズと、ゴジラ・怪獣作品を
同時上映にするくらいで
この2番館でも同じく、若大将シリーズと
2本立てだったりします。
どういう事かと言うと、今の仮面ライダーや
戦隊俳優が、イケメンを起用して母親を
巻き込むのと同じで、子供が怪獣をねだる
「から」と言う理由で、母親がしかたなく
映画館に行くと言うシステムになっていました。
その為に、ゴジラが加山さんの鼻の横を
指でなでる仕草をした場面までが撮影されました。
このウルトラQの時期に、怪獣の定番玩具
ソフビ人形が作られるようになり、ゴジラは
12年も前なのですが、ソフビ化されると
2番館で見た子供達が買い、売れてしまった
事から、ゴジラシリーズは過去のモスラや
ラドン、キングギドラなどを再登場させて商品化されます。
ただ、まだソフビ人形のカラ―は作品の
怪獣のカラ―とは関係ありませんでした(^^:
ですが、キングコング対ゴジラでカラーに
なった事で、初めて子供はゴジラの体色を知り
背ビレの色を知ります。
放射能火炎も、スタッフが考え青白い色で表現されています。
■キングコング対プロメテウス
ゴジラ(シリーズ)は、特撮の神様
円谷英二が、キングコング1933年に憧れた
部分がモチーフになって産まれた分部も
大きい作品で、キャラクターですが
キングコング対ゴジラのモチーフは
キング・コングの特撮を担当した
ウィリス・オブライエンが企画した
キングコング対プロメテウス
でした。
フランケンシュタイン博士が秘密裏に創造
した巨大クリーチャーとキングコングが戦う企画でした。
キングコングの権利者を持つRKOは、東宝と
契約し、キングコング対ゴジラが製作される事になります。
ですが、オブライエンは後年になって日本で
キングコング対ゴジラが製作されたを知り
対決部分だけですが…、企画の柱が同じなので落胆したそうです。
後に、ウルトラマンの中の1話にジラースと
言う怪獣(ゴジラに襟巻をつけた)が
登場しますけども、このジラースは狂気な
博士が造った怪獣(恐竜)として描かれています。
RKOは東宝に、キングコングの名称使用料5年間分
8000万円を請求、当時の映画3本分の制作費に驚きますが・・・
この世紀の対決は、力道山対外国人レスラー
以上に、日本対アメリカ代表の怪獣対決
映画として、1255万人を動員、配給収入3億5010万円
を超える*大ヒットで充分に回収してしまいました。
その上、海外にも輸出され外貨を稼いでしまいます。
*当時は1ドルが360円。
*長年、ジブリ作品などが追い越すまで
日本映画の記録でしたが、当時の入場料金や
まだ食べる事に重点を置いた時代の娯楽なので
ある意味、今でも最も配給収入を上げたのは
この作品のような気がします。
■コングの輸送と電気
キングコングは、ゴジラと同じスケールに
なっていますが、他にも怪力以外の新たな
要素をキャラを損なわずに加える為に
円谷英二や特撮スタッフは、キングコングに
電気の力を与えています。
その為に、キングコングの指先などが
ゴジラに近ずくと、静電気を見える化
したようにな電気の火花が合成されています。
とても、アナログで入れるのは手間ですが
わざわざ入れて、ゴジラとのバランスを保っています。
ラストの熱海城の決闘の結末も
タイトルの頭がキングコングなのと同じく
日米両方に配慮しています。
また、この映画の少し不思議な要素は
作中で、キングコングの「スポンサー」が
出て来ますが、作品自体も企業のタイアップで
バヤリース(ジュース)と共に東京製綱と言う
会社がタイアップしています。
東京製綱のタイアップ品は、キングコングの輸送
に使われた「鋼よりも強く、絹糸よりしなやか」
の新時代鋼線は、東京製綱のワイヤーロープの
事で、ある意味大きな宣伝要素を秘めた作品で
当時の映画ポスターにも、下の部分に大きく
「東京製綱」の文字が入り、ワイヤーロープの
商品写真が入ったポスターも多く作られました。
それも…8000万円を、どこまで回収出来るか
解からなかったからなのですが・・・
作中の薬品会社のマスコット、パシン坊やは
エーザイ●薬のトラベルミン坊やと似てますが
作品内容的には、別と言うことのようで
あくまで、パシィフィック製薬のマスコットです。
*ウルトラQでもキングコングの着ぐるみを
改造したゴローが、薬品ヘリプロン結晶Gで
巨大化する設定が、スポンサーが武田薬品
だった大人の事情で、青葉クルミを食べるに変更されています。
■まとめ
海外版も製作され多くの国で上映
されますが、残念な事に伊福部昭の
存在が、まだ世界が認識する前なので
音楽が略別の曲に差し替えられてしまっています。
ですが、この作品のコングとゴジラ
の吸引力は凄く、多くの映画関係者も見る事に成り
浜美枝と、若林映子は、この海外版を
見て注目され、007は二度死ぬに出演依頼
され、出演する事になっています。
007シリーズのキャストに、ゴジラが
関係しているなんて、当時は考えも
およばないのですけども
今は、キングコングの権利を買っていた
日本から逆転して、ハリウッドがゴジラの
権利を買う事になっているのは
熱海城の決闘の結果かもしれません。
アンギラスは四足で、モスラは粉や糸
だったので、初めて「格闘」と言う
対決を見せた、カラー作品のゴジラを
未見の方は、ハリウッド版の前に観ておく事を御薦めします。
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■作品データ
脚本 関沢新一
製作 田中友幸音楽 伊福部昭
撮影 小泉一(本編)
有川貞昌(特撮)
富岡素敬(特撮)
編集 兼子玲子(本編)
石井清子(特撮)
制作会社 東宝撮影所
製作会社 東宝撮影所配給
日本 東宝
アメリカ合衆国 ユニバーサル・インターナショナル公開 日本 1962年8月11日
上映時間 97分製作国 日本
言語 日本語
配給収入 3億5010万円
■キャスト
桜井修:高島忠夫
藤田一雄:佐原健二
古江金三郎:藤木悠
多胡部長:有島一郎
東部方面隊総監:田崎潤
重沢博士:平田昭彦桜井ふみ子:浜美枝
たみ江:若林映子チキロの母:根岸明美
ファロ島酋長:小杉義男
山本勇吉(第二新盛丸船長):田島義文
ファロ島祈祷師:沢村いき雄
大貫博士:松本染升
海上自衛隊幹部:三島耕
大林:堺左千夫
牧岡博士:松村達雄
通訳コンノ:大村千吉
自衛隊爆破責任者:山本廉
パシフィック製薬宣伝部員:加藤春哉
大安丸船長:大友伸
東部軍陸上第二部長:桐野洋雄
東部軍陸上第一部長:堤康久
第二新盛丸通信員:中山豊
警戒中の警官:古田俊彦
新聞記者:草川直也
陸上自衛隊幹部:津田光男
疎開する団地の住人:東郷晴子
世界驚異シリーズ解説者:田武謙三
警察幹部:熊谷二良
避難の男:土屋詩朗
松戸の野次馬:小川安三、鈴木和夫
新聞記者:三井紳平、橘正晃
東部軍施設課長:坂本晴哉
急行つがるの乗客:峯丘ひろみチキロ(ファロ島の少年):平野治男
パシフィック製薬計算機係:丘照美
パシフィック製薬宣伝部員:千葉一郎
パシフィック製薬計算機係:紅美恵子
シーホーク号船長:ダグラス・フェーン
シーホーク号調査団員:ハロルド・コンウェイ、オスマン・ユセフ
監視台のファロ島民:中島春雄キングコング:広瀬正一
ゴジラ 中島春雄
ゴジラ(補佐):手塚勝巳