お薦め名画「 キングコング(1976)」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
キングコング(1976)
です。
キングコングは1933年に、当時の大メジャー
映画会社RKOが製作した、白黒映画です。
日本の円谷英二が、フィルムを取り寄せ
研究し、ゴジラの参考にした作品ですが
コマ撮りのモーションアニメで製作された
作品でした。
その後、同1933年に続編「コングの復讐」が
白黒で製作されますが、略語られる事も無い
キングコングの歴史的にも、埋もれたような
作品でした。
その後、43年もの長い間製作されなかった
キングコングが、カラーで製作されたのが
今回のキングコングです。
アナログで作られた当時、大きな話題に
なったキングコングを、当時の1976年の
様子を交えて書いて見たいと思います。
*タイトルはキングコングですが1作目と
2005年に同じタイトルの映画がある為も(1976)を付けています。
■現代版キングコング
この1976年版のキングコングは
事前の話題が凄く、多くの人が知る
キャラで、キャラ名なのに43年ぶり
となると、45歳以下は劇場で見る事が
少なく、見ていても白黒のモデルアニメでした。
ですが、少し不思議な事に…
日本では、1作目との違いの為に
印刷物などの文字の記載の80~90%を
King Kong
と、言う横文字にするか
キングコングとKing Kongの
併用した記載の仕方をしました。
英語圏的には、同じなんですが
電子メールを、メールとして
手紙と区別する、日本人らしさ
なのかもしれません?
なのでキングコング2は、「2」が
付くので、カタカナ記載でした(^^:
公開前の盛り上げが凄く
スターウォーズは、1977年5月25日公開が
日本での公開が1978年6月24日と
1年以上後だったのに対して
キングコングは、アメリカ合衆国で
1976年12月17日、日本で1976年12月18日
と、1日遅いだけでした。
これは、日本の配給会社が公開前の
宣伝の力の入れ方から、ヒットは間違い
ないと、早々に太鼓判を押した証です。
そして、今では賛否あり批判を受ける
事もある、キングコングの作品世界を
当時の現代に変更した事も、当時は
それ程、違和感なく受け入れられた部分でした。
世界的にU.F.Oのブームが起きていて
この年、日清食品が同名の焼そばを
発売したくらいでしたので
1作目の時代設定のままのキングコングを
もし製作していたら・・・
製作費も、アナログ時代には予算を喰い
当時の観客が受け入れられなかったかもしれません?
1作目のコングが登るエンパイア―ステートビル
よりも高いビルが出来てしまったマンハッタン
を知っている中で、プロペラ機で、攻撃する画は
違和感だったと思います。
ただ、前評判の為に製作されたポスターの
絵によるコングは、世界貿易センタービル
の上で戦闘機を握り潰している画で
これが多様され、インパクトが絶大だった
事から、作中の攻撃がジェット機ではなく
ヘリコプターだった事に、がっかりした方も
いたようですけども・・・
個人的には、ポスターやチラシの画や
キャッチコピーは誇張したものだと認識して
いましたし、ヘリの攻撃の方が実用的なのは
見れば解ると思います。
■170万ドルの等身大の巨大ロボットコング。
前宣伝を世界的に大きく牽引したのが
等身大の巨大ロボットコングでした。
身長20メートルで、胸囲が12メートル
手の平の直径3メートル、重さ5トンという
ロボットを作ってしまったとして
メカ部分なども公開され、世界が驚く時代でした。
ロボコングを制作したのは、後にエイリアンや
E.Tを作るカルロ ランバルディで
このロボコングは、プロモーションの為に
日本にも運ばれ、公開されました。
その費用だけで、当時の3.5億円でした。
ですが、見れば解りますが・・・
コングは生物なので、動きはスムースですし
怪獣とは異なり、美女や他の人間との芝居も
するので、実際には円谷英二が使用した
着ぐるみの手法がメインでした。
その事から、ロボコングをインチキだと
批判する方も出現しましたが・・・
トリック映画、特撮のタネをインチキと
言うのも、変な話で、まったく出て無いのでは
無いですし、その1分の1の効果がある
カットも多く、目線などの2次的効果も
あったと思います。
1番あったのは、宣伝効果なので・・・
そう言いたくなるポジションの方が居るのは解かります。
もしかしたら、このコングが日本に
立った事が後に、お台場にガンダムや
神戸に鉄人の巨大モニュメントを
実現させる火種になっているのかもしれません。
■1977年日本公開映画第1位
キングコング1976は製作費2,400万ドルの
3倍以上の9,000万ドルの興行収入を記録
する大ヒットになります。
アメリカの映画誌ランキングでも5位に
位置します。
日本での公開でも配収30億9000万円の
大ヒットで、12月のお正月映画だったので
1977年公開映画で第1位になると言う
怪獣の国ならではの大ヒットになりました。
個人的には、大阪の難波で見たと記憶して
いますが、東京でも大阪でも、キングコング
の大きな看板が、目立ちまくっていて
宣伝に力を入れていたのが解ります。
ただ、公開日的にも時代的にも
当時は、字幕しか無かったので子供は
チケット売り場で、字幕になりますと
言われ断念した、子、親子も多かったので
今のように、吹き替えも選べたら・・・
もっとヒットしていたかもしれません。
■まとめ
キングコング1976の頃は、今からすると
激動の時代で、ロッキード事件が
絶えず報道され
毎日、毎日、日本最大のヒットソング
およげ!たいやき君の曲が、どこからでも
流れてきて耳にはいり
巨人の王選手がベーブ・ルースを抜く
715号ホームランを打ち、王さんの
CM出演やテレビ出演、雑誌、新聞の
露出が凄く
富士スピードウェイで日本初のF1の
レースが開催され
ピンク・レディーがデビューし
ヒット曲を連発すると言う
前代未聞、空前絶後の日本が凝縮されていました。
たいやき君以上のヒット曲は
その後、聴いた事がありません。
だんご3兄弟の10倍くらいの破壊力
だったのですから、いかに凄かったか
わかるかもしれません。
王選手(後に監督)が、ホームラン王
と言われた、ベーブ・ルースを抜く事は
ただの数字の記録では無い、日本中が
歓喜した瞬間でした。
キングコング1976は、そんな時代に
カラーで巨大な姿を見せてくれた作品で
2005年にCGを使い、1作目のリメイクが
製作されますが、それもレトロな味が
ありますけども、逆に昔話としての感じが
リアルでもあり、作り話感も出てしまい
1976版のような、緊迫した対応する
人間達のリアクション部分は、ありませんでした。
もう、今はない世界貿易センタービルに
登る当時のキングコングと、当時の対応や
一躍人気が爆発したヒロイン
ジェシカ・ラングの若く初々しい
美女と野獣を、未見の方はアナログ時代の
キングコングの代表作を是非見て観てください。
■作品データ
監督 ジョン・ギラーミン
脚本 ロレンツォ・センプル・ジュニア
製作 ディノ・デ・ラウレンティス製作総指揮
フェデリコ・デ・ラウレンティス
クリスチャン・フェリー音楽 ジョン・バリー
撮影 リチャード・H・クライン
編集 ラルフ・E・ウィンタース配給
アメリカ合衆国 パラマウント映画
日本 東宝東和公開
アメリカ合衆国 1976年12月17日
日本 1976年12月18日上映時間 134分
製作国 アメリカ合衆国
製作費 $24,000,000
興行収入
$90,600,000 世界
$52,614,445 アメリカ合衆国 カナダ配給収入30億9000万円日本
■キャスト
ジャック・プレスコット ジェフ・ブリッジス
フレッド・ウィルソン チャールズ・グローディン
ドワン ジェシカ・ラングロス船長 ジョン・ランドルフ
バグリー ルネ・オーベルジョノワ
ボアン ジュリアス・W・ハリス
ジョー・ペルコ ジャック・オハローラン
サンフィッシュ デニス・フィンプル
カーナハン エド・ローター
ティモンス ジョージ・モレノ
船のコック ジョン・ローン
キングコング(声) ピーター・カレン