お薦め名画「クレイマー、クレイマー」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は「クレイマー、クレイマー」です。
■日米のズレ
ダスティン・ホフマンの卒業と共に
有名な代表作として有名ですが
相手役も、メリル・ストリープが演じる豪華なキャストです。
1979年にアメリカで公開されて
日本は1980年の4月5日に公開と言う
約3ヵ月強のズレからも、前評判が
高く、ダスティン・ホフマンも
日本で有名だった事から多くの人が劇場に足を運びました。
ですが、当時の日本では…まだ
「離婚」の数がアメリカや海外で多いと言う話は伝わっていても
日本の結婚は、まだまだ家と家で
日本人同士がするのが、大半だった為
父子家庭の様子を、初めて目にした映画でもありました。
日本の離婚率は、今の半分以下で
良いか?わるいか?は別にして
当時の日本の気質的には「離婚」は恥ずかしいものだったので
バツイチなどの言葉もなく、堂々と
人前で公言する事すら無かった時代です。
■クレイマー、クレイマーの意味?
クレイマー、クレイマーと言うのは
今だと、クレームつける人の話みたいですが(^^:
「クレーム」とは、アメリカでは
損害賠償の事で、不満の抗議ではありません。
なので、日本語に直訳すると原告と被告
と、言う意味なので原題は「VS」が間に入り
Kramer vs. Kramer
となっていますけども
この映画の場合は、2人の子供のビリーを
想う気持ちであり、ビリーが想う気持ちと言うようなタイトルです。
また、メリル・ストリープ演じる母親の名が
ジョアンナ・クレイマー
で、ある事で、どっちが原告で被告
とか、勝ち負けを問う?意味があり
この映画を、より名画にしているタイトルです。
■フレンチトースト
ダスティン・ホフマン演じるテッドは
仕事は順調でしたが、家庭を妻ジョアンナに
まかせきりだったので、息子のビリーを置いて家を出てしまいます。
そこで、ロバート・ベントン監督は
父親のテッドが、家事をしてなかった
存在から、家事をやらなければいけなくて
ビリーの父親になっていく様子を
画的に、フレンチトーストが丸こげから
ちゃんと焼けるようになる変化で見せる
*小道具として使用します。
*正しくは消えモノ。
ただの小道具なのですが・・・
この朝食のシーンは、この映画を代表する画(写真)になります。
親と息子は反発やイラダチから、御互いの
生活や人格を尊重していくようになり家族愛や親子愛が芽生えます。
ですが、そこに母のジョアンナが
養育権を裁判所に申し立て、2人を離すように動きます。
そんな時に息子のビリーが怪我をして
テッドは仕事に身が入らず職を失い裁判で不利な立場になります。
でも、本当に…この家族の未来を決めるのは
裁判所なのか?と言うのが、この映画のラストです。
■真の称賛と賞賛
ダスティン・ホフマン と息子ビリー
を演じたジャスティン・ヘンリーの
繊細で、細かい芝居と葛藤の変化は
多くの共感や感動を呼び、内容的には
ハリウッド映画と言うよりも、日本映画
のような描写の作品ですが大ヒットになり
息子ビリーを演じたジャスティンは
8歳で第52回アカデミー賞助演男優賞にノミネート、これは史上最年少記録で
主演のダスティン・ホフマンは
アカデミー主演男優賞 受賞
ゴールデングローブ賞 主演男優賞 ドラマ部門 受賞します。
母親役のメリル・ストリープもアカデミー賞助演女優賞受賞
作品も監督賞、作品賞と*脚本賞
ノミネートだけでもも助演男優賞
助演女優賞、撮影賞、編集賞と
この年のアカデミー賞は
クレーマー、クレーマー1色に染まります。
*原作があるので脚色と訳される場合がある。
アカデミー賞以外も
第37回ゴールデングローブ賞 ドラマ部門作品賞
脚本賞ドラマ部門男優賞、助演女優賞
第14回全米映画批評家協会賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞
第45回ニューヨーク映画批評家協会賞 作品賞、男優賞、助演女優賞
第5回ロサンゼルス映画批評家協会賞 作品賞
監督賞、脚本賞、男優賞、助演女優賞
第34回英国アカデミー賞 作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞ノミネート
日本でも、第23回 ブルーリボン賞外国作品賞
第53回 キネマ旬報賞 委員選出外国語映画部門、第1位 読者選出外国語映画部門第1位
と、海外の賞など書いたらキリが無い程
この「家族」を描いた映画は、本当に世界の
観客や映画ファンに称賛と賞賛をされた名画です。
■まとめ
もちろん、時系列では公開されて
から賞を得てるのですが、逆に言えば
こんな凄い賞を取る3人がメインで
演じていて、感動しない映画にする方が難しいくらいです。
カメラ的には、この映画のカメラの
高さは面白く、息子ビリーがキッチンに
座って卵を混ぜていると、その目線の高さにカメラを上げていて
ソファに座っていると、本来は
子供と大人の目線は、同じ高さでは
無いのですが、カットを割って
目線を合わしているような撮影をしています。
あまり細かく見なくても、この映画が
俳優の「目線」を大事に撮っている
事を少し意識して、未見の方も、再度見る
方も見てみると、台詞以上に大事な事への想いを感じ取れると思います。
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■作品データ
監督 ロバート・ベントン
脚本 ロバート・ベントン
原作 エイヴリー・コーマン
製作 スタンリー・R・ジャッフェ音楽 ヘンリー・パーセル、アントニオ・ヴィヴァルディ
撮影 ネストール・アルメンドロス
編集 ジェリー・グリーンバーグ
配給 コロンビア映画公開
アメリカ合衆国 1979年12月8日 日本の旗 1980年4月5日上映時間 105分 製作国 アメリカ合衆国
■キャスト
テッド・クレイマー ダスティン・ホフマン
ジョアンナ・クレイマー メリル・ストリープ
ビリー・クレイマー ジャスティン・ヘンリー
マーガレット・フェルプス ジェーン・アレクサンダー
ジョン・ショーネシー ハワード・ダフ
ジム・オコナー ジョージ・コー
フィリス・バーナード ジョベス・ウィリアムズ
グレッソン ビル・ムーア
スペンサー ジャック・ラメージ
パーティー出席者 ジョー・セネカ