レンズと目の違いで見る映画

2022年9月6日

映画銀幕パークジョージ・松田です。

今回は「レンズと目の違いで見る映画
についてです。

この写真の黒い手帳映画テレビ技術手帳というもので
カメラマンや撮影の技術者が持って居て、レンズの視角
視野、シャッター開角、露出などなど専門的な事が
書かれた、手帳と言うよりも辞書のような本で
現場でも調べるのに使うモノです。

ただ、内容を映画ファンが見ても…睡眠効果し
か無いので(^^: 専門用語ではなく解りやすく
レンズと、人間の目の違いから見る面白さを解説してみたいと思います。

映画の感想を聴くと、それはレンズだからとか
それは目の印象だね。などと思う事があり

カメラには、凄く人間の目に似た部分があり
また、まったく違う部分があるので
けっこう「その違い」が、映画を面白く(感じる)していたりします。

■50mmが標準レンズ?

少しカメラを知ってる方は、聞いた事が
あると思いますが、昔は50mmレンズが標準と言われていました。

これは、35mmフィルムが「標準」だった頃の話です。

つまり35mmフイルムでは焦点距離50mmだからなんです。

フイルムの対角サイズが43mmなので
それに近いのが50mmだから言われた事です。

勿論、今でも35mmフィルムを使うなら
「約」ですが、50mmが標準レンズと言えます。

勘違いしやすいのが、人間の目のように
映るレンズ
と言うような意味の解釈を

している方も居ますが、これは間違いです。

50mmが標準と言われる、もう1つの要因は
実は、値段です(^^:

カメラはレンズが無いと映りませんが
広角レンズ50mmより小さい35mmなども
望遠レンズ50mmより大きい数値の85~200mmは値段が高いんですね。

なので、カメラに1つ着けて売る事が
レンズ=標準レンズと言われる原因になりました。

唯一、間違いでもなく古くも無いのは
画角を考える時の基準や、目安としては
今でも、残っていて~今後も続くのでは無いかと思います。

■集中力とレンズ

人間の目には、実は機械化しにくい
集中力」と言う機能があります。

個人的には、コレが映画を面白くして
居ると考えています。

1本の映画を見て、評論家や映画監督
カメラマン、画家などは、普通の人よりは
画面を、いろいろ覚えてると思いますが
それは画面をいろいろな角度(視点的な意味)で見てるからです。

普通に映画を見て、全部のシーンの
画面を覚えている人は…まず居ません。

極端な話、つまらない映画で無くても
眠くなったりする場面(時間)や

ジュースポップコーンをクチに
する場面(時間)は、集中して
画面を見てる%が下がっているはずです。

この下がった%時の人の目の視野は
35mmのレンズに近くなっています。

例えば好きな俳優が出て無いシーンや
アクション映画で、アクション場面
では無いシーンでは、人間の目は
広~~~~~く、スクリーン全体を見て
特に自分が集中する変化が無いと

ジュースポップコーンをクチにして一息いれます。

でも、それは次のシーンに備えて
いる状態なので、つまらないのでは無く
ワクワク、期待している状態

ジェットコースターなら、平らな所や
登りに入って、カタカタカタと
ゆっくり降る準備をしている感じです。

そういうシーンも、映画の楽しみ
なので、そういうシーンに
クローズアップを多用したり
ズーム早いパンなど激しい画は使いません。

ざっくり言えば、カメラマンは
そういうシーンは50~35mmのレンズ
台本を読んだだけで、スタンバイするくらいです。


逆に、クライマックスには
その逆に、ズームや移動撮影を
使ったり、レンズの角度も多様します。

スパイ映画なら、空撮やライフルの銃口の
アップ、クルマのシフトチェンジのアップ
から、クルマが崖に落ちる望遠ロングなど
あらゆるレンズで、たたみかけ楽しませます。

恋愛映画でも、彼女の元に急ぐ男優の
走りをクルマやバイクから、急ぐ様を
移動撮影したり、1人で待つヒロイン
クレーンで表情から、孤独な場所を1カットで
見せたり、2人が出会い抱き合うのを
サークルレールで360度撮影したり
観客が望むラストを盛り上げる撮影用の
レンズを多種多様し見せて行きます。

勿論、脚本や俳優さんの芝居、演出
照明効果もありますが・・・
画面に魅了されてくれたらカメラマンには何よりの喜びです☆

レンズ使用のメリハリが、上手く
面白く使うので、有名なのが
スティ―ブン・スピルバーグ
クライマックスに向かうにしたがい
ピアノソロから、フルオーケストラを
使うくらいに、多種多様なカットで
観客を楽しませる名人です。

スティーヴン・スピルバーグ
フィルムメーカーズ18
ISBN-10: 4801601960
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■スクリーンサイズとの関係

デジカメスマホのカメラでも
液晶で、友人や家族に見せたり。
プリントして見る事もあると思います。

フィルムでなくても、ハガキサイズ
して郵便で送るとか、買ったポストカード
プリントした写真を壁に飾って「見る」事もあると思います。

ですが、やはりプロが撮った写真が
ポストカードで売ってたり
年末にカレンダーなどで見ても・・・
何か自分が撮ったのと違うもの」が在ると感じるかと思います。

コレも、一言で言えばレンズと目の知識がプロにはあるからです。

サービスサイズ(普通の写真)で
持って見るくらいの距離30~40cmくらいなら
プロは135mmレンズを使う事が多いです。

壁にかけるカレンダーなどは135mm~200mm
で、撮影すると1m~1.5m離れて見て
人間の目で見た感じに近くなるので
景色とか鉄道、クルマ、建物などの
カレンダーは、135mm~200mmくらいの
レンズでプロは撮るので、見る距離(使用)
用途にマッチした「感覚」を産み出す事が出来るんです。

勿論、意図的に外すドアップや超ロングも
ありますが、それはスタンダード
知ってるから外せる技です。

アマチュアの方は、この見る距離
考えずに、レンズを選ぶ(選ばない)
ので、プロと違ってしまいます。

此れと同じで、スクリーンで見るのが
好きと言う映画ファン
は、感覚的に

この距離にシックリきていて、テレビや
スマホで見る映画に違和感を感じていると思います。

その感覚は正しいです。

テレビドラマと映画は、広い画や
予算以外に、実はレンズ選択も
変えているで、テレビドラマ
そのままスクリーンで見ても・・・

正しい感覚の方は、なんか違うな~?
と、感じるはずです。

それは、人間の目サイズと距離
ある意味、自動で選択しますが
レンズは、プロ的な知識で見る環境の
距離
を考慮して、レンズを選択しないと

「距離」的な違和感を発生させてしまいます。

映画撮影用 本格 カチンコ
ASIN B01GY9MEDG
通常サイズ
保証書付き
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■レンズと目の違い

集中力距離について解説しましたが
もう少し「違い」についてシンプルに書くと

人間の目中心部が視力が高く、周りは視力が低い。

と、言う事になります。

視力検査で「」を見て、切れてる方を
言ったりしますけども、それを見てる間は
その他の周辺の視力は落ちて居て~見て無い=覚えてません。

視力検査などで集中している中央
人の目は0.5度の視野角しかなかったりします。

その場合1度も外を見て無いという事です。

0.5度の焦点距離のレンズは600~2700mmです。
超~~~ウルトラ望遠レンズです。

こんなレンズは映画撮影に…まず使いません。

だけど、人はスクリーンを見る時に
好きな俳優さんの顔だったり、話の鍵
になるような「モノ」に集中する時は
この超望遠レンズで集中して見ています。

コレが映画の面白さを産みます。

大好きな女優さんの目やクチビル
男優さんの筋肉、可愛い動物の目
銃の引き金や、刀の動向に人は集中して
とんでもない望遠(視野角)で見ます。

動きになると、またレンズは単眼
人は左右の2眼なので、横には強く
上下の視角に弱いのが人間の目なので

上下の重要な動きと言うのや
早い動きも、あまり映画では使いません。

遊園地などでは、逆にコレを上手く
使ったアトラクションも在りますが
映画好きな人や、カメラマンには
この上下の動きのアトラクションは
苦手と言う方も多いです(^^:

また映画館に行かなくても、大画面の
テレビを近くで見れば大画面と同じ
などと言う方も居ますが・・・

これも、理屈(へ理屈)は解りますが
精巧なミニカー写真(単眼撮影)で見ると
本物かと思った~!と、言うのと同じなんです。

単眼のレンズで見ると、その理屈は
かなり「あり」な理屈ですが
人間の目は、2眼なので立体的
モノや奥行を感じる力があります。

なので、ミニカー2眼で見ると
やはり小さいクルマでしかありません。

友人が近ずいて来ても「巨人」
来た!とは思わないのも大別したら同じです。

こういう感じ方」を、逆算して
いろいろなサイズの飛行機軍艦
建物を制作して、レンズを駆使して
トリック撮影をする名手が
ゴジラ円谷英二特技監督です。

特撮映画美術監督 井上泰幸
東宝・円谷組・美術監督
ISBN-13: 978-4873763682
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つまり映画館のスクリーンの
距離で、0.5度程目(や首)を
動かして2眼で見る事が、映画を見る
面白さを強くするので、近くでテレビを
見ても、映画館と同じには感じません。

なにより、見て見れば…違うな。。。
と、感じるはずです(^^:

■もっとも大きな違い

最後に、レンズは露出も含めと似た機能を
持って居るのは確かで、目の替わりになる
部分や、1つの特性では目よりも優秀な場合もあります。

ですが、もっとも違うのは
目には「脳」が接続されている事です。

つまり、人間の目(レンズ)は
感じる事が出来るんですね。

極端な場合は、ホラー映画
怖い場面では目をつぶります。
それも、また楽しい見方です。

大好きな場面では、乗り出し
集中したり、美味しそうな食べ物
映ればヨダレが出たり、お腹が減ったりもします(^^:

レンズは、どんな綺麗な風景
汚いモノも同じように捕らえます。

なので、この同じように撮影する
性能を上手く使って、見ている人の目
距離集中力に合わせたレンズでの画で
構成されたものが、映画の画なので

映画監督は、自分の好みや作品内容に
マッチしたカメラマンを選ぶように

実は、映画ファンもリメイク作品など
同じ作品で比べると、好きなレンズを
選択をするカメラマンが、見つかったりもします。

それには、楽しんで集中したり
画を満喫して、少しレンズを意識して
自身の「目」で見ると、映画の見方少し変ってくはずです。