ロケと、セットの違いと必要性とは?

2021年10月20日

映画銀幕パークジョージ・松田です。

今回は、感想を頂く事は時々あるのですが
以下のような質問を頂きました。

何故、映画とかドラマは、お店とか家など
本物を使わずに撮影所にセットを作るのでしょうか?

なるほど、確かに仕事にする前に
自分も、疑問に思った事だと思いだしたので

1行では説明出来ないのと、単純な
選択や1つの理由だけでは無く

予算内容による選別など、様々な理由が
在りますので、その前に「選別」する
区分を具体的に解説してから、理由の説明したいと思います。

■ロケセットとは?

本物の建物やお店、ビルなどの事を
専門用語(なのかな?)ではロケセットと言います。

例えば、上の写真のようなビル
主人公のオフィスが在るとか

一軒家や、小売店などのお店の
前の部分を借りる「本物」を使うのがロケセットと言います。

ただ、コレは略前の部分だけで、中の撮影は本物ではしません。

その理由は、の項目で説明しますが
区分として「ロケセット」と言うのを理解してください。

■オープンセットとは?

もう1つ、オープンセットと言うのがあります。

文字通リ、外にセットを建てる事
この場所に欲しいとか、この雰囲気とか
形状、色の建物が欲しいなどイメージが
在っても、実際には無い、もしくは撮影に
行ける場所(海外など)に無いとか、許可が出ない場合に建てます。

時代劇などで、現在には無い場合や
SF映画のように、地球には無い場合も同じです。

上の写真の例のような建物
オープンセットの場合は、下のように
裏側はべニアだったりします。

多いのは、織田信長の最後として
描かれる「本能寺」なども燃やすので
オープンセットがよく作られます。

有名なドラマ「ビーチボーイズ」
メインの民宿ダイヤモンドヘッド
海からすぐ側と言う条件から、外側は
オープンセットで、室内はスタジオです。

スターウォーズⅣで、R2-D2がジャワに
売られ並ぶサンドクローラーの前も
サンドクローラーの動かない巨大な
キャタピラ
が作られていますが内部はスタジオです。

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スター・ウォーズ
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有名なのは京都の太秦のオープンセット
時代劇に、今でも使用されていますが
太秦は、かなりシッカリ作った常設のセットです。

昔は、東宝や東映、日活にも街を
再現したオープンセットが銃撃戦など
実際の銀座などで撮れないシーンが
多かった時代には、スタジオの横に常設で在りました。

戦争映画の空母や戦艦の甲板の
一部分を作るのもオープンセットで、戦艦全部は作りません(^^:

■スタジオセットとは?

スタジオセットは、大きく2種あります。

1つは、外観もスタジオの中に
作るタイプで、寅さんの団子屋
*最初期を除いて、スタジオセットで
外観も中もスタジオの中に造られています。
*人気で実際の店舗や商店に迷惑が掛かる為。

もう1つは、単純に部屋の中だけです。

アパートの6畳から、学園モノの教室
刑事モノの捜査係の部屋などは
外観はロケセットで、出入りだけロケして
内部は、スタジオで撮る種類です。

変った例としては、ゼロ戦の操縦席
座るまでは外で撮って、上空での芝居は
スタジオに同じゼロ戦を持ちこんで
空のホリゾントに、ドライアイスの雲を
流して撮ったり、グリーンバックでCGと
合成するなど、オープンセットと跨るような場合もあります。

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■内容による選別

では、何故本物のアパートや店で
全部撮らないのか?と言う理由ですが

実際には、全部本物で撮ってるシーンや作品もあります。

それは、略…芝居の内容により選別されます。

例えば、カフェや蕎麦屋で
座って会話し食べて飲むだけなら
本物の店舗で撮れる可能性が高いです。

ですが、そこに俳優が立つとか
立ってピンタするとか、キスするなど
アクションが入ると、内部はスタジオになります。

マンションや会社でも、会話や
会議だけなら本物で撮れる可能性が高く

マンションの中で、枕投げが始まるとか
会社でも、机の上に乗って叫ぶなど
アクション(サイズ)が入ると内部はスタジオになります。

その理由について次項で解説して行きます。

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■撮影的な理由

では、何故スタジオに、と選別されるのか?
の理由の最も大きな原因は「カメラ引き」です。

コレは、普通の方でも彼女、彼氏
家族、友人などの写真を撮ると下のように
バストサイズくらいは、普通に撮れたります。

ですが、下のように全身入れてだったり
複数の人数全員を入れる場合に、カメラを持って
後に、少しさがった事があると思います。

その距離が「カメラ引き」です。

つまり下のように、スタジオなら
カメラを部屋から離せます。距離が確保できます。

ですが、実際の本物のアパートだと
隣の部屋との壁を壊さないと撮れません。

実際には、廃墟や、大家さんの許可
壊す事も例外的にありますが
許可が出ても、構造的に壊せない場合や
壊すのも修復にも予算的に無理な場合が多く
…特に日本の映画ではレアケースです。

つまり、このカメラ引きが出来て
壁のパネルを1つ外し、1つ戻すなどが
可能で、レールなどの移動撮影も可能だからで

座ってコーヒーを飲むだけなら
バストショットと同じく、本物の店舗で
撮れても、立ってキスするとなると
全身が入る、カメラ引きが必要なので
スタジオにカフェのセットを組むと言う選択になります。

勿論、借りれる時間や曜日などスケジュールが原因の場合もあります。

もう1つは、撮影に関連しますが
照明が、本物の建物だと思い通リの
方向や高さから、照てることが出来ないからです。

本当のオフィスで机の上に乗って
叫ぶ主人公の熱演が、顔にライト
当たって無いとなるのは、本来は自然ですが
映画では、照明どうした?と不自然になるんです(^^:

このカメラ引きと、照明と、俳優のサイズやアクションから

全て本物では無くスタジオと分けて撮る作品が多いと言う事になっています。

■まとめ

近年は、カメラ照明機材も小さくなって
だいぶ本当の店舗で撮れたりしますが
自由な芝居や、脚本の為には・・・

まだまだスタジオにセットを組む方法は
続いて行くと思います。

反面CG合成では、超能力ハイテクメカ
主人公が部屋の中に居るのに、急に
別世界に立って居るとか、続々と場所を
移動する合成が出来るように

本物の建物から入り>>>ノーカットで
セットの中に入って来るように見える
撮影なども取り入れられるようになっていて

スパイダーマンセットの部屋から
ロケの街に飛び出す事も、その逆も
映像的には繋がって演じてくれるのが
当たり前になりつつあるので

ドラマ作品でも使用され「分けてる」感覚は無く見られる時代が来るかもしれません。