マッチカットとは?
映画銀幕パークのジョージ・松田です。
素人ぽい映像とか、プロぽい映像と
感じる時っていうのが、動画などを
撮ったり
素人さんの映画などを見た時や後で
感じる事が、あると思います。
それはド派手な予算を使った場面では
無くても、普通の人間ドラマなのに
なにか違う・・・???
そう思う大きな要因の1つが実は
「マッチカット」です。
■マッチカットとは?
1番解りやすい例①で言うと、横浜に
ある建物を借りて、外観は本物で撮影します。
俳優さんが、ドアを開けて中に入ると
いうアクション(動き)をします。
建物の中は、世田谷や調布、大泉の
スタジオのセットだとします。
つまり、ロケの建物とセットでカメラ
は、カットアングルは変わっても
同じ場所のように撮影して
俳優さんは同じアクション(動き)を
2回以上します。
ですが、作品的には1回ドアを開けて
1回入って来るだけに見える「普通」に
見せるテクニックです。
■マッチカットの難しさ
上の項目例のように、ドアを入って
来るのを、ロケとセットでやればいいんでしょ?
難しく無いじゃん?
と、思うかもしれませんね。
でも、右足で入ったか?左足で入ったか?
急いで入る場合、その歩幅や速度は?
手にモノを持っていたり
それらも、全てマッチさせないと
不自然になってしまい、繋ぎの
ぎこちない映画になります。
更に、雨風があり急いで家の中に入る
など、髪の毛や服の濡れ方、風の吹き
込みなど、様々な条件で合わすのは更に難しくなります。
また、俳優さんの気持ちや表情も
合わせないと、怒って入ったのに
中から撮ったら笑ってるなんて、ありえませんよね。
それは極端ですが、複雑な心理状況の
表情や気持ちも、どちらの撮影現場
でも、同じものを創りだないといけません。
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しかも、撮影スケジュールでセットが
先で前後逆に撮影される場合もあります。
難しく無いじゃん?
て、思いますか?
更に、2人だったり、中からもう1人
迎えが入ったり、犬が一緒でも合わす必要があります。
プロは状況は様々でも、ドアを開ける速度も全て合わせます。
■日本のマッチカット
実はマッチカットは、日本の技術は
ハリウッド以上に高い技術を持っています。
何故かと言うと、ハリウッドの場合は
例①のように建物とセットを分けずに
建物ごと作ってしまい、カメラも2台
以上の複数カメラで、撮ってしまうので
俳優の芝居は、テークごとに1回です
から編集でタイムを合わせればOKなんです。
ですから、日本の俳優さんのように
何度も同じ感情や表情を創る事は
意外にハリウッドの俳優さんは、得意としません。
■クルマのマッチカット
例えば走って来た刑事が、クルマに
飛び乗り急発進させて、無線で本部とやりとりする。
よくある刑事モノのシーンですよね。
こういう場合も、クルマの外から乗る
カットを撮影して
カメラは車内で、俳優さんはドアを
閉めるだけのアクションだったりを
同じ速さでドアを閉めるアクションを、もう1度演じます。
電車やバスなどでも同じなのですが
カメラ位置が狭いので、カットを割る
には4人がクルマに乗っての会話など
窓外の速度を合わせないと、不自然に
なってしまい、観客が芝居に集中出来ません。
つまりプロのドライバーさんが同じ
速度に達したら、俳優さんにスタート
の合図を出すと言う、俳優の歩きなどの動きを合わすというより
そのステージ(クルマ)ごとの動きも
合わす必要があります。
なのでクルマの場合は、本当の道を
使う場合、かなりの距離を確保しないとですし
電車の場合は、駅を出る時や発車直後
の速度部分は使えないなど、速度を合わす難しさがあります。
キアヌリーブスのスピードなどは…
日本で撮影するには、合成に頼る事になると思います。
■ただ座るだけ。
俳優さんが部屋に入り>座る。
こんなアクションにも、プロはマッチカットを使います。
座る前半>座る後半
つまり、座る1つのアクションの間に
カメラアングルが、変わって居ます。
俳優さんは、同じように同じ速度で
同じ位置に座る事を、2回以上繰り返します。
素人さんは、これをしません。
基本1アクション、1カットで撮り
1アクションを複数カットで割る事を
しないのです。
コレが、素人ぽく感じて
プロぽく感じる大きな要因の1つです。
座ってから切り替えれば?
そう思うかもですね?
それは、詩と小説の違いのように
1アクション、1カットだと
○○が座ります。
○○がテレビのスイッチを入れます。
○○がネクタイを緩めます。
と、読んでもブツブツと切れますが
1アクションごとにカットで切れてたら
自然では無いように見えてしまうんです。
極端に言えば、格闘シーンを、パンチ
やキックを1つずつ撮って繋いだら…
その格闘シーンは、どんなに俳優が
体を張っていても、ブツブツ途切れた
紙芝居のようになってしまいます。
■アクション映画のマッチカット
アクション映画でも、俳優は複数同じ
動きをする必要が出て来ます。
例えばトム・クルーズの
ミッションインポッシブルローグ・ネイション
で、高度5000フィートでのアクション
を8テイクも撮っています。
でも、映画を見て不自然に感じずに
迫力を感じたと思います。
これが、ただイスに座るだけでも
大きなアクションでも、1アクション
1カットは、ぶつ切りで、観客を
冷ます事になってしまうのが
「カット」単位で構成された映画の宿命なんです。
ターミネーター2の中で、ハーレーに
乗るシュアちゃんが、ショットガンを
持ってトラックとカーチェイスするシーンでも
途中で、ハーレーでジャンプする場面
が、ありますが、危険だから1回・・・とは行きません。
勿論、作中のアクションは1回ですが
そのシーンを、よく見れば
何度か飛んでるのが解ります。
その前の場面でも、ショットガンを
回転しながら走りながら撃つ中で
ショットガンの後方からカメラが撮り
発砲の白煙がダブるカットも、マッチカットです。
同じようなアクションを単調に
または、ぶつ切りに見せない為に使う手法でもあります。
■まとめ
テレビドラマのセット(室内)などは
3台以上のカメラで、1シーンを同時に
撮影出来ますから、俳優さんは同じ
アクションは1回で済みます。
ただNGが出たらシーンの頭から全て
撮り直すので・・・
そういう意味では、NGが多いと
アクションの回数は増えます。(^^:
ただ、特に日本映画は
このマッチカットを、かなり有効に
上手く使える俳優とスタッフが揃っているので
あたんたが2度目、3度目に見る時や
予告などでカットとカットを
アクションで繋いでいるマッチカットを見つけてください。
そこに監督が、マッチカットを入れた
意図なども見えてくると、その映画を
より深く見る事が出来ると思います。
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