お薦め名画「運び屋」
お薦め名画「運び屋」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
運び屋
です。
クリント・イーストウッドは、世代で
監督だと思う方と、俳優と思う方や
アクション俳優と思う方などと
分かれる映画人で、珍しい俳優出身の監督です。
そのクリント・イーストウッドが
監督で、自ら主演する作品として
話題になった「運び屋」を公開当時の
2018年~2019年の様子も交えて書いてみたいと思います。
■監督・主演
クリント・イーストウッドが、監督で
主演と言う話題から
全世界で興行収入1億ドル超えの大ヒット
になりました。
日本の興行収入も8億超えで良いのですが
タイトルが…「運び屋」と言うのが…
わるいと言うよりも、漢字なのに短いような気がします。
海外では「The Mule」がタイトルです。
Muleを、直訳すると騾馬( ラバ )の事です。
騾馬は、一般的には日本では…
知られて無い動物だと思います。
馬と、ロバは知っていると思いますが
騾馬は、雄のロバと、雌の馬の間に
出来た(作られた)動物です。
メキシコや、スペイン、アルゼンチン
などではメジャーな家畜です。
映画としては、何故?
クリント・イーストウッドは騾馬としたのかと言うと
騾馬と言うのを作ったのは、犬なども
狩りなどにマッチした種類を作る為に
など、目的を持って作られます。
騾馬は、久力があって粗食にたえれて
労役に使うのに向いていて、生殖力は
弱い特調があります。
クリント・イーストウッド演じる
アールは、花の新種を受粉させて
賞を貰う仕事をしていました。
つまり、騾馬と同じくミックスして
新種を作る仕事をしていたのと
90歳で長距離を運転しても大丈夫な
耐久力があり、粗食にたえる元・軍人の男なので
騾馬「The Mule」と言うタイトルを着けています。
ただ、この騾馬を日本のタイトルに
しても、動物に詳しい人しか動物の
名前である事も解らないくらいで
まして、その意味まで理解する人が
少ないので…
まったく別の「運び屋」にしたんだと
思いますけども、これはタイトルの意味の
深さというポイントとしては
漢字が使える日本なのに意味負けしています。
また元・題が短いのに合わせて短くして
しまったのが、深さが無いタイトルにしてしまっています。
確かに、アールがやった行為は
「運び屋」なんですけども、映画を観て
なるほどとは思わないタイトルです。
騾馬も、また馬やロバのように
重い荷物を運ぶのに使われた古い
運搬手段の動物で、アールもスマホや
インターネットなどに、ついていけない
古い移動手段として行動します。
映画的なタイトル以外では、必ず
しもではないのですが、税関や警察
などで、麻薬を運んでいる者を
Muleと言う事がありますが、業界用語
的であり、そのスジの人にはバレてる
ワードなので捜査中や疑惑の中では使えない側面もあります。
■実話?
この映画の紹介で、一部「実話」と
記載された宣伝文があったりします。
ですが、厳密には2014年6月の
ニューヨーク・タイムズ・マガジンに載った
「シナロア・カルテルの90歳の運び屋」
という記事をモチーフに脚本が書かれた
と言うのが本当のところで
実話ではありません。
実話なら名前や年齢も同じでいいはずですけども
その記事の男の名前はレオ・シャープで
クリント・イーストウッドが演じた男の
役名は「アール・ストーン」で通称アールです。
年齢も記事のレオ・シャープは87歳で
逮捕されていますので、90歳では無い
わけですから、映画用の脚本の人物の
ストーリーです。
レオ・シャープは第二次世界大戦で
イタリア戦線で戦っていて
朝鮮戦争ではありません。
また、孫娘の結前パーティの外で
アールは、スカウトされますけども
レオ・シャープは、花農場で働いていた
季節労働者に誘われています。
その他、アールは映画的に良い意味で
カッコ悪いのもカッコよく描かれていて
カッコイイ部分も、殆ど映画のオリジナルです。
■サスペンス?
この映画はサスペンス要素はあります。
日本の予告編は、警官に呼び止められ
荷台のドラッグに気ずかれないか?と
言うサスペンス部分を流しています。
ですが、そういうサスペンスをメインに
した映画では無いので、サスペンス期待
でみてしまった、若い年齢層には…
よく解らなかった?と、言う声も
少なからずあるようです。
この映画のメインは、高齢者が全てを
失ったところから、お金、時間、家族
など、何を大事にするべきか?
何を楽しんで、生きるか?
娘や、孫娘、妻との関係を、観直す
残り少ない人生の葛藤を描いた話で
ガンで撃ちあう事とか、パトカー
とのカーチェィスも無く
サスペンスを盛り上げる過剰な演出も
ハリウッド映画ですが、もありません。
なので、クリント・イーストウッドが
当時の年齢で、監督して見ずからが
演じた作品としての重みがある映画で
そのメインの心情を描くポイントは
ある意味実話に近いと言えるかもしれません。
■まとめ
この映画の中で、アールが言う…
クリント・イーストウッドが言う台詞で
「もっとゆっくり生きろよ。俺みたいに人生を楽しめ」
と言う言葉を、歳下の者に言うシーンがあります。
ある意味、人生は短いと言う意味
なのですが、ゆっくり生きろと言います。
それは麻薬を多く運ぶプレッシャーで
速度超過してしまい捕まる運び屋に
対してもダブりますけども・・・
その運び方では無く、人生の運び方に
ついて、クリント・イーストウッドが
語ってくれている台詞です。
アメリカで公開された2018年12月には
日本では、新しい高輪ゲートウェイ駅
の話題でメディアが賑わいを見せていました。
日本は少し遅れた2019年3月の公開
でしたけども、俳優でミュージシャンの
ピエール瀧が麻薬取締法違反容疑で逮捕
され、この年放送中の大河ドラマの
レギュラーだったり、多くの作品が
擬制になってしまい、この前後の芸能人
のドラッグへの関わりからイメージが
悪化した時期の公開でした。
その為もあって、この映画をドラッグの
サスペンスと思って見てしまった方や
逆に遠ざけた方もいるかもしれませんが
この映画は、人生の映画であって
ドラッグは1つのアイテムにすぎませんので
88歳のクリント・イーストウッドが
描く、人生のストーリーとして
是非、未見の方や再度見る方は見て観てください。
今ならプレミアム会員は無料でも視聴できますので
未見の方は是非御自身の目で、内容をチェックしてみてください。
![]() 詳しく見る。 *配信は予告なく変更する場合があります。 |
![]() 時間 : 1 時間 56 分 ASIN : B07Q4DR41G 詳しく見る。 |
■作品データ
監督 クリント・イーストウッド
脚本 ニック・シェンク
原案 サム・ドルニック
『The Sinaloa Cartel’s 90-Year-Old Drug Mule』製作
クリント・イーストウッド
ティム・ムーア
クリスティーナ・リベラ
ジェシカ・マイヤー
ダン・フリードキン
ブラッドリー・トーマス製作総指揮
アーロン・L・ギルバート音楽 アルトゥロ・サンドバル
撮影 イブ・ベランジェ
編集 ジョエル・コックス製作会社
インペラティブ・エンターテイメント
BRONクリエイティブ
マルパソ配給 ワーナー・ブラザース
公開
アメリカ合衆国 2018年12月14日
日本 2019年3月8日上映時間 116分
製作国 アメリカ合衆国
製作費 $50,000,000
興行収入 $164,004,407
日本の旗 8億3000万円
■キャスト
アール・ストーン- クリント・イーストウッド
コリン・ベイツ捜査官 – ブラッドリー・クーパー
主任特別捜査官 – ローレンス・フィッシュバーン
トレビノ捜査官 – マイケル・ペーニャ
メアリー – ダイアン・ウィースト
ラトン – アンディ・ガルシア
フリオ – イグナシオ・セリッチオ
ジニー- タイッサ・ファーミガ
アイリス – アリソン・イーストウッド
グスタボ – クリフトン・コリンズ・Jr