お薦め名画「ネバーエンディング・ストーリー」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
「ネバーエンディング・ストーリー」です。
1980年のスター・ウォーズ帝国の逆襲での
ヨーダ、1982年のE.T. などが、まだCGが無い
時代の異形のキャラを、ワイヤーやエアーで
表情や動きを再現するアニマトロ二クス技術が進んで
*SFXと当時言っていた日本で言う特撮を使う
作品が、映画のヒット作品に増えて行きました。
*今はVFXと内容が逆転し、SFXは此の当時の
特殊メイクに近いようなのを指す事が多い。
そんな流れの中での1984年に、公開される
*西ドイツとアメリカの製作で
ネバーエンディングストーリーと言う
ファンタジーが製作中と言うニュースが
流れ、少し話題になりました。
*当時はドイツは統合前。
■日本公開
ドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデ原作
作品「はてしない物語」の映画化だった事から
ハリウッド映画とは少し異なる感じがあり
ワーナーが提携したので、ドイツやアメリカでの
公開も、やや前後していますが1984年に海外は
公開され、主に1984年の年末に大きな話題に
なって、日本には届いてきました。
日本では1985年3月の公開で、白い大きな龍
ファルコンのアニマトロ二クスの写真が宣伝材料に使用され
日本公開時でのキャッチコピーは
「さぁ、オメガファンタジーの旅へ!」でした。
当時も…ピンと来ないコピーでした(^^:
更に「M・エンデの世界的ベストセラーを映像化」
「ファンタジックSFX超大作!」などの文字が
宣伝材料として使われました。
春休みの映画として公開され、ドラえもん
のび太の宇宙小戦争(東宝)と、東映まんがまつり
と、5日遅れで公開されたSF映画デューン砂の惑星
と、時期的、内容的に重なる事になりましたが
音楽的に、リマールの歌う主題歌が、かなり話題に
なって、ヒットしています。
■ファルコンのひみつ
ネバーエンディング・ストーリーのメイン
キャラクターの白いファルコンは
E.Tを創造したデザイナーの
カルロ・ランバルディが製作した事でも
SFXファンには、当時話題になり
ミニチュア模型も造られましたが
主人公バスチアンが乗るファルコンは
モーターやワイヤーなどで、喋り
眉?などを動かして、表情を作る使用で
約13メートルの巨大なファルコンが造られ
1番の宣伝材料になりました。
ピンク色の長い舌はゴムで造られ
動かし、目も大きいので様々な動きが
出来るように造られましたけども
最も凄かったのは6000枚以上の体のウロコ
を、光るプラスチックで作り13メートルを
覆っていて、その上から毛が植えられて
いるので、当時のアニマトロ二クスでは最大級のキャラでした。
ですが、原作者ミヒャエル・エンデは
中国や日本などの「龍」のイメージで
西洋のドラゴンをイメージしていないと
言う事と、いじめっ子たちをやっつけてしまう道具にした事で、この部分を映画から
消去・変更して欲しいと裁判を起こされることになります。
原作を買って映画化する脚本や
脚本に対する権限の契約からも
原作者であるエンデの敗訴となってしまい
エンデの名前をオープニングから外すことで
合意し和解しています。
なので、原作のファルコンと映画の中の
ファルコンは、異なったファルコンになっています。
■同じだけど違う映画
このネバーエンディング・ストーリーの
原題はドイツは
Die unendliche Geschichte
アメリカ(英語圏)では
The NeverEnding Story
と、言うタイトルと言う、前例は
ありますが、あまり多く在る
パターンではありませんでした。
しかも、当時の西ドイツ公開版では
主題歌は、まったくありません。
ですが、アメリカや日本では
ワーナー・ブラザースが
フラッシュダンス1983年のサントラが
大ヒットした直後のジョルジオ・モロダー
を、音楽プロデューサーに起用し
イギリスのロックバンド
カジャ・グーグーの元ボーカリスト、
リマールの歌う主題歌が追加されました。
このリマールの主題歌は、全英で第4位
のヒットになり、全米でも第17位にランクしています。
この映画でリマールを知ったと言う
人が居るくらい、映画の主題歌と
しては大ヒットしています。
ですが、音的にはアメリカ版は
足されているのですが、映像的には
分部的な細かいカットがあり
6分40秒短いと言う、同じ映画ですが違う映画として存在しています。
■原作者と日本
原作者のミヒャエル・エンデは
ファルコンは、中国と言うよりは
日本の「龍」をイメージしていて
主人公の少年も、日本人を起用して
その衣装として和服(着物)を
希望していたほどでした。
また、監督にも黒澤明を希望していた
という噂までが流れましたが
その部分は、ジョーク的な事からの
本心や真実の発言では無いとされています。
また、ミヒャエル・エンデは
日本人の女性、佐藤真理子と結婚
するくらい、本当に日本が好きな方で
ネバーエンディング・ストーリー
はてしない物語は、本来は…
もっともっと和なティストの作品
であってもおかしくない物語でした。
■ブライアン・ジョンソンマジック
ネバーエンディング・ストーリーの
SFXは、ブライアン・ジョンソンが
特殊効果監督を担当していますが・・・
SFX・特撮ファンには知られた有名な
アーティストです。
テレビ作品、サンダーバードや
スペース1999
映画2001年宇宙の旅、エイリアン
スター・ウォーズ 帝国の逆襲
などを担当している、略有名なSF作品の
柱となる部分を担当していると言える
くらいのレジェンドです。
特に、ジョージ・ルーカスはスターウォーズ
を、創る時にブライアン・ジョンソンの
スペース1999と、2001年宇宙の旅の
仕事を参考にしていて、スターウォーズの
2作目で参加を依頼し、帝国の逆襲で
アカデミー特別業績賞(視覚効果)を受賞しています。
ブライアン・ジョンソンは
ネバーエンディング・ストーリーでは
特殊効果監督ですが、以後の作品は
監修(コーディネータ)に留まり
現場で特殊効果を指揮する事は略無くなります。
■まとめ
ネバーエンディング・ストーリーの
監督ウォルフガング・ペーターゼンは
U・ボートで、世界中の注目を浴びた
監督で、低予算の中でアイディアと工夫で
製作するドイツの映画監督として知られます。
U・ボートを見た事がある人からしたら
ネバーエンディング・ストーリーの
監督がウォルフガング・ペーターゼン?
と、疑いたくなるほど作品のカラ―が違います(^^:
ですが、ドイツの監督なので母国ドイツの
著名な児童文学作家ミヒャエル・エンデは
幼い頃から知っていたのと、幼い娘が居た
事からメガホンを取って居ます。
なので、本当はミヒャエル・エンデの
イメージする作品としての映画化を
したかったのかもしれません。
私も、映画の後でしたが原作を読んで
見ましたが、確かに違う話でしたけども
具体的な合致点は別にして
ウォルフガング・ペーターゼンが
ちゃんと原作をベースにしているのは感じ取れました。
少なくとも、大事にしている感じは
映画を見ても伝わるものが在るので
是非、未見の方はドイツの児童文学が
ベースにあり、日本をイメージした
作品として、是非見て欲しいファンタジーです。
![]() インターナショナル版 JAN: 4562474197526 詳しく見る。 |
■作品データ
製作:ベルント・アイヒンガー、ディーター・ガイスラー
製作総指揮:マーク・デーモン、ジョン・ハイド
脚本:ウォルフガング・ペーターゼン、ヘルマン・ヴァイゲル
撮影:ヨスト・ヴァカーノ特撮:ILM
SFX:ブライアン・ジョンソン音楽
ジョルジオ・モロダー、
クラウス・ドルディンガー、ロバート・ハザウェイ美術、セット:ロルフ・ツェートバウアー
編集:ジェーン・ザイツ原題
Die unendliche Geschichte(ドイツ語)
The NeverEnding Story(英語)制作 西ドイツ・アメリカ
日本1985年3月16日公開
制作費2700万ドル。
日本配給収入22億円
■キャスト
バスチアン バレット・オリバー
アトレーユ ノア・ハザウェイ
幼心の君(女王) タミー・ストロナッハファルコン アラン・オッペンハイマー
グモルク
ロックバイター
カール・コンラート・コリアンダー トーマス・ヒル
ティーニー・ウィーニー ディープ・ロイ
ナイト・ホブ ティロ・プラックナー
カイロン モーゼス・ガン
エンギーウック シドニー・ブロムリー
ウルグル パトリシア・ヘイズ
バスチアンの父親 ジェラルド・マクレイニー
モーラ ロバート・ジャダ