お薦め名画「ニュー・シネマ・パラダイス」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
「ニュー・シネマ・パラダイス」です。
ニュー・シネマ・パラダイスは、映画ファンなら
知ってる映画で、よく知らない方でも音楽や
映画好きな少年の話、くらいの認識を持って居る
メジャー映画としての要素を持って居る存在です。
ですが、極端に映画館で見た人が少ない映画で
ソフトなどでも、ハリウッド映画では無いので
イタリア映画と言う事や、バージョンの違いが
多数ある事から、意外に見たことがある人が
少ない異色な映画です。
■単館上映からのブレイク
ニュー・シネマ・パラダイスは、1988年と
1989年の2種の公開年が、今でも映画の記事で
バラバラに記載されていて、若い映画ファンに
質問される事がありますが、イタリアは1988年
イタリア外や日本は1989年の公開です。
私が年末に、シネスイッチ銀座で見たのも1989年です。
このニュー・シネマ・パラダイスは、当時
静かに話題になり、徐々に評判が加速して行き
ましたが、シネスイッチ銀座での単館上映
だった為に、評判や話題に反して
え、どこでやってるの?
と、言う事から、銀座だけだと解ると断念した
地方の映画ファンも多い作品でした。
1989年シネスイッチ銀座は、今のリニューアル
された綺麗な感じではなく(^^:
場所は同じ、東京都中央区銀座4-4-5 で
左右に1と2が並んでるのは同じで、今も
2館で455名の座席ですが、当時も1館200名
程度の小中規模の映画館でした。
少し話題になった頃に、友人4名で見に行った
のを覚えてますが、それほど並ばず10名弱の
短い列で、9割り程度の入りの中普通に座って観賞しました。
おそらく、その少し後に列がもう少し長くなる
入りになり、40週間も続く連続上映になり
27万人が入った事で、今でもシネスイッチ銀座の
最多動員記録のタイトルになっています。
まだネットやSNSでは無く、クチコミや
雑誌、テレビ、ラジオなどの評判だけで
コレほど大きく知られた単館映画作品は無いと思います。
■劇場版と完全版の違いとは?
ニュー・シネマ・パラダイスは、元々の短い
作品や強引にカットされたバージョンなど
細かいモノを入れると多数ありますが
ザックリ映画好きが大別するのは劇場版と完全版
の2種が比較され話題になります。
2つの大きな違いは、初恋の相手エレナとの
別れと再会の部分をなどを思い切って完全に
切り取ってしまっているの違いです。
難しいのは、完全版を知らずに見た劇場版は
ちやんと感動できる作品で、個人的には
長さも124分と普通の映画サイズで楽に見れます。
完全版はと言うと、確かにカットされたんだと
解かる部分の繋がりが解り、初恋の相手との
エピソードが加わり、話に厚みが出るとも取れます。
ただ時間は2時間50分と長く、劇場版からすると
少年の映画に対する思いがシンプルに描かれた
映画なのに、恋愛要素が入りブレると言う見方も
される面があります。
なので、個人的には劇場版を見て…
それ以上が見たい方は、完全版を見るのが
ベストな気がします…内容よりも…
完全版は、長いと言うのが…やっぱり
見る方にはネックです(^^:
イタリア映画らしい感じは、完全版かと
思いますが、この差は好みですね。
■日本で大ブレイクした2人の
世界でヒットはしていますが、日本の人気は
異例な程で、クルマで言うとフィアット500
(2代目)や、ロータスヨーロッパの人気が
漫画やアニメの影響で凄いのと同じく
世界的には、謎なくらい日本では人気が高い作品です。
その原因を作った2人の日本人の1人が
配給会社のヘラルド・エースの吉田佳代さんで
入社6年目の若手社員だった吉田さんは
1989年のカンヌ国際映画祭のフィルムマーケットで
この無名の新人監督が撮った2本目の映画で
有名な俳優も出ていない作品だったので
その試写会の会場には、ヘラルド・エース
のメンバーしか居ないありさまでした。
吉田さんは、何故か気になり特に音楽を気に入り
即決で契約した事で、必然的にヘラルド・エースが
配給権を得て、同年12月に日本で公開される事
になります。
*カンヌはF1モナコGPの前通常5月近辺に開催されます。
そして、もう1人日本でのブレイクに拍車を
かけたのが、映画評論家の淀川長治さんです。
知らない方も、もう居るのかもですが?
当時知らない映画ファンも、一般の人も居ない
くらい、最も有名な日本の映画評論家で
「さいなら、さいなら、さいなら」の
フレーズで有名でした。
その映画好きの淀川長治さんが
「これはまさに、僕の映画」
だと、言った事で、メディアが注目します。
トトが、自分の子供の頃と重なると言う
事からの、通常の淀川長治さんのトーン
よりも、熱く語った感じから
あの淀川長治さんが、それだけ熱く語る
映画なんだから、面白いに違いないと
見る前から、メディアが取り上げた事から
後で、単館映画と知るメディアもあった
と思いますが、とにかく大きく取り上げ
られてしまい、日本では異例の大ヒットになりました。
■まとめ
ニュー・シネマ・パラダイスが
シネスイッチ銀座での単館上映
だった事から、単館映画での
上質な映画に注目され
ミニシアターブームに繋がって行きます。
メジャーなハリウッド映画の後に
ミニシアターの情報などが
当たり前のように、今は扱われる
キッカケになった映画でもあります。
当時のシネスイッチ銀座は
ミニと言えば、ミニですが?
今のミニシアターのような
オシャレで綺麗な感じでは無く
(不清潔では無い)
当時の感覚では、中規模の普通な
少し古い映画館でしたけども
ニュー・シネマ・パラダイスの
規模が大きかった為に、器としては
ミニシアターとして認識されてしまいます。
そういう意味からも、映画自体が
好きなファンには、30年以上前の
映画ですが、未見の方には見て置いて
損の無い映画ですし、完全版を
見て無い方も、新しい発見もあると
思うので見たら新たな感動があると思います。
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■作品データ
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
製作 フランコ・クリスタルディ
製作総指揮 ミーノ・バルベラ音楽 エンニオ・モリコーネ、アンドレア・モリコーネ
撮影 ブラスコ・ジュラート
編集 マリオ・モッラ
配給 日本 日本ヘラルド公開
イタリア 1988年11月17日
フランス 1989年5月19日(カンヌCIFF)
日本 1989年12月16日上映時間
155分(イタリア・フランス)
124分(国際版)
170分(ディレクターズカット版)124分(国際版)
170分(ディレクターズカット版・完全版)製作国
イタリア 、フランス
言語 イタリア語興行収入 $11,990,401
■キャスト
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(少年期) サルヴァトーレ・カシオ
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(青年期) マルコ・レオナルディ
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(中年期) ジャック・ペランアルフレード フィリップ・ノワレ
エレナ(若年期) アニェーゼ・ナーノ
エレナ(中年期)※DC版のみ ブリジット・フォッセー
マリア(中年期) アントネラ・アッティーリ
マリア(壮年期) プペラ・マッジオ
神父 レオポルド・トリエステスパッカフィーコ(パラダイス座支配人) エンツォ・カナヴェイル
イグナチオ(劇場の案内人) レオ・グロッタ
アンナおばさん イサ・ダニエリ
鍛冶屋 タノ・チマローサ
広場をうろつく男 ニコラ・ディ・ピント