製作とプロデューサーの違いとは?
映画銀幕パークのジョージ・松田です。
今回は「製作とプロデューサーの違いとは?」
についてです。
次のような質問頂きました。
監督の中に、製作とプロデューサーを
分けて記載していますが、違いはあるのでしょうか?
なるほど、確かに単語の直訳としては
製作とプロデューサーは、同じと訳されていたりもしますね。
この「訳」的な部分を先に回答すると
これは、単語本来の意味と、映画業界の
現実の仕事内容のズレです(^^:
例えば、普通の人も
「今日、携帯家に忘れてきちゃた。」
とか普通に使いますよね。
あるいは
「メールしといて!」
など
でも、単語的な意味だと
携帯を忘れて来るなんて、意味不明です。
コレは、携帯電話を「携帯」と略している
のを御互い理解しているから成立していて
訳的に、携帯と言っても英語圏の人には
何???て、ことですよね。(^^:
モバイルフォン=携帯 では無いですよね。
メールも、日本は電子メールを
メールと言い、紙の手紙を「手紙」と言いますが
英語では、手紙が=メールです。(^^:
このように、製作=プロデューサーに
「直訳的」に疑問を持つのは解ります。
原因としては、訳と約(業界的)のズレ(理解)です。
■3つの製作段階を理解しよう。
では、その業界的な意味を解説する
前提として、映画製作には、大きく分けて
3つの段階ある事を説明しておきます。
全ての解説の基礎なので以下の3つを理解してください。
其の1・プリ・プロダクション
企画から~台本・シナリオ、キャストなどの準備段階。
其の2・プロダクション
撮影準備から~撮影の終わりまで。
クランクインからクランクアウトですね。
○○プロダクションと言うのは、映像製作会社と言う事で
現実的には、企画や台本のセクションも在るプロも在りますが
ようするに、製作資金は映画会社や代理店、テレビ局が出して
上映(公開)や、放送も、映画会社(配給会社)や
テレビ局が行う、またはソフトの販売も販売する別会社が
すると言う意味で、○○プロダクションと言う会社名にしています。
其の3・ポストプロダクション
編集や音入れ、ダビングなどのクランクアウトから完成まで。
これも、2のプロダクションにセクションを持つとこも
無くは無いですが、予算的に言うと「其の3」は予算の
目安が着く段階で、其の1は有名脚本家や俳優で、予算は
大きく変わり、台本も国内が舞台なのと、海外ロケでは
予算は変わります。
其の2も、撮影日数やスタジオの大きさ・数
スタッフやカメラの数などで、大きく予算が動く段階で1.2と3は予算で異なります。
この3つの段階がある事を、まず覚えてください。
■プロダクションとプロデューサーの関係と役割は?
例外は沢山あるので、スタンダードな関係として
書きますと、プロダクション(会社)は
プロデューサーを、立てます(雇います)ので
上下関係で言えば、プロダクションは会社で
プロデューサーは部長です。
で、会社は、其の1と其の2は予算管理が必要なので
部長>プロデューサーに総予算○○円で、と伝えると
その調整を、其の1と2の段階で予算内に入れるようにするのが仕事です。
一般的には、俳優のキャストなどが仕事と思われて
監督より上みたいに思われますが、それは一部分・一面で
キャスティングは、映画の成功と共に予算を
大きく左右するので、そう思われがちですが
トータル的には、予算的に製作を管理するがメインです。
また、逆に其の3には、プロダクションや会社側は
日本の場合は、予算が大きく左右しないので
プロデューサーは、時々宣伝活動までお休の方も居ますが
殆どは、其の2で御役御免になり>別の映画の其の1に入ります。
プロダクションの場合は、これをラインプロデューサー
などと言う場合も在りますが、詳しくは次の種類にて書きます。
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■プロデューサーの種類
普通のプロデューサーの頭に何か付く
肩書も見た事や、聞いた事があると思います。
1.ゼネラルプロデューサー(GP)
2.アシスタントプロデューサー(AP)
3.エグゼクティブプロデューサー(EP)
4.ラインプロデューサー
1と3は、よく映画ファンなら見聞きすると思います。
●ゼネラルプロデューサー
これは、製作総指揮と同じでプロデューサー以上に
ある意味、全体に権力を持っていると言う感じです。
●アシスタントプロデューサー
これは、字のままでプロデューサーの
アシスタントですが、漢字だと製作進行と略同じです。
●エグゼクティブプロデューサー
これは、特撮だとか、CG、アクションなど
○○組の中でも、セクションが分かれるような
映画や作品での製作現場での権限を持ったプロデューサーです。
例えば、俳優や特撮監督、監督
スポンサーが、別々の意見を言う場合などが
多種セクションの映画には、発生するので
その時に、Aを採用、またはB、Cは却下などジャッジする立場です。
漢字だと「監修」が略同じ意味です。
例えば、ウオルトディズニーや
ウルトラマンでの円谷英二などが
YESと言えば、スタッフが反論せずに
この人が言うなら、そうしようと言うくらいの方です。
●ラインプロデューサー
これは、上の項目で書いたように
其の1と2の予算的なコントロールを任されたプロデューサーです。
=其の3には、事実上居ないプロデューサーですね。(^^:
■製作と製作主任、製作進行と製作総指揮
では、よく目にする似た「製作」の入った
ポジションは?と思う方も居ると思います。
日本の場合の「製作」は、製作担当と言われ
プロデューサーの下に位置します。
つまり、横文字ならAP(アシスタントプロデューサー)です。
なので助監督がチーフからセカンド、サードと
複数居るような大作映画では
このAPも多く居ます。
ですから、チーフを製作主任と言う場合が大半で
製作進行は、時間だったり、セクション事に配置されたAPさんです。
ですが、製作総指揮は、まったく別で
ゼネラルプロデューサーと同じく
作品の全てに置いての権限を持っている
監督や、プロデューサーよりも上と言う感じのポジションになります。
■ハリウッド映画のプロデューサーとは?
海外に多く、特にハリウッド映画では
監督と製作を両方1人が行う方が多いです。
これは、ハリウッドは監督に編集権利が無い!
此れにつきます。
日本は、監督・脚本は1人でと言う形が多く
編集は監督が、やる(指示する)のが
当たり前なので「監督、製作」と言う方は、あまり居ません。
ハリウッドの監督は、まんまディレクターで
本来の漢字表記のニュアンスは
「演出」なんです。
なので、自分で撮影した映像(フィルム)を
別の人(制作)が、編集してしまうのが
嫌な監督は「監督、製作」を選ぶ人が多いですが
新人では、なかなか難しいのが現状です。
■まとめ
以上のように、ハリウッドの場合少し仕事内容が
文字表記の意味では、日本とは異なります。
体制や予算が大きいので、製作システムとしては
ベストなのかもしれませんけども
監督=その作品、と言う意味では
日本映画のように編集権利まで在る事を
望むと言うのが、アーティスト心理なんだと思います。
一方で、商業映画は予算(時間)の管理も
重要な柱なので、欠かす事は出来ませから
その国(規模)に、合わせた管理体制から
クレジット表記が異なって存在しています。
日本の場合のプロダクション製作の場合は
プロデューサーは、其の1.2のラインプロデューサーです。
それ以外は、其の1~3の製作総指揮的な意味のプロデューサーです。
海外の場合は、大半が製作とは編集権利が主で
プロデューサーは、ラインプロデューサー率が高い内容です。
ただ、どちらも個人で違い、現場に1回も
来ないプロデューサーも居れば、毎日来て
クチを出すプロデューサーも居るので
その違いまでは、クレジットされません(^^: