お薦め名画「プロジェクトA」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
「プロジェクトA」です。
燃えよドラゴンが日本で公開された
1973年12月22日~1974年1月は
大ヒットしてブルース・リーが
ブームになりますが、既に公開時には
ブルース・リーは、他界してしまっていた
事から、ブルース・リーの過去の香港
映画作品が輸入され公開される中で
ゴールデン・ハーベストが推して
来た若いカンフー・スターが
ジャッキー・チェンでした。
その彼の代表作プロジェクトA公開時期に
ついて書いてみたいと思います。
■前後したジャッキー・チェンブーム
ジャッキー・チェンの初期のモンキーと
着けられた邦題の作品は、公開当時は
小さな劇場で公開時期も短く
名画座などで2~4本立てで見たと言う方も
居るかと思いますが、他の海外のアクション
映画や、日本のアクション映画と混ぜた
ような扱いで、まだジャッキー・チェンだけで
入るようなプログラムは少なく
アクションなのか?コメディなのか?
空手から離れたカンフーに、公開する
大人達も、観客層が出来て無い事から
戸惑いがあったと思います。
殆どの方が、ジャッキー・チェンを知るのは
テレビ放送で、しかも子供達に受けます。
それは、ブルース・リーのブームを
殆ど知らないくらい、1つ下の年齢層に
受けた為に、ジャッキー・チェンの生の声
よりも、テレビは吹き替えだった事から
ジャッキー・チェンの声は=石丸博也の
日本語として、今でもインプットされて
いる程に、ジャッキー・チェンは
ブルース・リーとは異なり、テレビから
支持され有名になった香港スターでした。
なので、ジャッキー・チェンの映画を
公開時にファンが劇場に見にいくように
なるのは、バトルクリーク・ブロー(1980)
や、ヤング・マスター(1981)からで
この2作も、香港の公開はヤング・マスター
が先で前後しています。
権利や吹き替えの要素もありますが
この辺りのジャッキー・チェンの作品は
毎作内容が異なり、モンキーシリーズの
続編的なモノが欲しい、今の日本の要望に
反してジャッキー・チェンの進化が加速していた時代でした。
プロジェクトAも、後々は代表作で
大ヒット作になるのですけども
内容も訓練で逆転するのでは無く
香港の昔の海兵隊の話で…、受けるのか判別しにくい内容でした。
その為に、プロジェクトAも香港公開と前後し
五福星が、香港では1983年7月7日
日本では1984年8月4日公開
プロジェクトAは香港が1983年12月22日
日本では1984年2月25日と
五福星は、香港ではプロジェクトAの前の
作品ですが、日本ではプロジェクトAの後で
邦画の「コータローまかりとおる!」と2本立てで
公開すると言う保険?が付いていました。
*コータローまかりとおる!、当時人気の漫画原作の映画化アクションコメディ。
■ゴールデン・トリオ
たらればですが、プロジェクトA公開時期には
サモ・ハン・キンポーは、日本ではデブゴンで
コメディ的な俳優と認識をされていただけで
五福星のような役を、知らずにプロジェクトA
で、日本は再会する事になります。
しかも、プロジェクトA公開で3人をメインに
ゴールデン・トリオとして、ジャッキー・チェン
サモ・ハン、ユン・ピョウを、プロモート
してきますが、日本人には、ユン・ピョウって
誰?と言う感じでしかなく
ユン・ピョウは、プロジェクトAで知られる
ようになります。
その為に、変な時差が産まれ・・・
プロジェクトAで、3人が有名で人気になると
五福星の頃に、3人で武道館コンサートが
開かれる大人気にまでなり
「コータローまかりとおる!」は
別に公開した方がよかったと言うくらい
やや古いジャッキーのイメージでもある
コメディアクションの内容だった事から
五福星の公開動員の回転にブレーキがかかってしまいました。
■時計台からの落下
ジャッキー・チェンのカンフーアクションは
踊りのようでもあり、その間に笑いが入るのが
味でしたけども、このプロジェクトAの時計台
からの落下シーンは、明らかにカラーが違う
スタントアクションでした。
このシーンは喜劇王ハロルド・ロイドの代表作
要心無用の有名な時計台のシーンをモチーフに
していますが、略知らずに見てると思いますし
とくにチェックしなくても問題無いです(^^:
ジャッキーが時計台の針に、ぶら下がることを6日間繰り返し
地面への落下は合計で3回実行され、2回が本編に
1回はNG集としてエンディングに使用されて
いるので3回全てを見る事が出来ます。
ただ、このNGの1回目は落下で、ジャッキーは
頸椎損傷の大怪我を負ってしまいます。
その大怪我の後に、また同じ落下をするのは
更に怖い事ですが、その後2回行っている緊迫感は
逆に、1回目の失敗があるので、優しい、楽しい
ジャッキーのイメージとは異なる、新たな
ジャッキー・チェンを、知る事になります。
結果論ですが、1回目の後に撮影分でなんとか
シーンを構成しようとして、本編用のアングルを
ジャッキーの親友スタントマンであるマースが
1テイクだけスタントし追加撮影しているので
使って無くても、スタント無しとは…あまり言わずに控えていました。
■ゴジラとプロジェクトA
このプロジェクトAのタイトルは
パイレーツ・パトロール
で、「陸上編」と「海上編」の二部構成で
3時間越えで4時間にも及ぶ超大作となる予定でした。
御存知の映画ファンも居るかと思いますが
香港映画には、日本映画やアメリカ映画の
ような「台本」と言う物がありません。
なぜかと言うと、ジャッキーのような有名な
スター作品や、大作ほど香港は内容が盗まれて
雑な作りで、先に公開されてしまうからです。
ま~、コピー商品のような物も普通に
売って居るくらいなので、警戒作です。
その為に、撮影順もスケジュールや、予算の
都合で、バラバラに撮る以外にストーリーが
解からないように、順番を崩して撮影し
アクションなどは台詞も少ないので、その場で
台詞を監督が教えたり、長い台詞でも
前日に知らされる撮影が、あたりまえの国でした。
日本でも、当時ジャンルとしても何だか解からない
作品なのに、大作でフィルムを膨大に使い
特に、撮影所の電源供給分配は、他の組との
争奪戦になるくらい、フィルム感度がよく無く
照明機器大きく電力を喰う時代に
G作品と仮のタイトルを着けた作品がありました。
後々世界的に有名になる「ゴジラ」です。
まだゴジラの前に怪獣映画などが無く、怪獣モノを
撮って居るなどと言っても、誰も理解出来ないの
ですが、とくにかく社運を賭ける大作である為に
極秘的な作品名として、つけられました。
同じく、今回のジャッキー・チェンの大作は
3~4時間の超長編を予定していたので
「パイレーツ・パトロール」は伏せられ
「A計劃」と撮影所で呼ばれていましたが
五福星が香港で大ヒットした事からも
100分程の作品で、海外にも
ゴールデン・トリオで売り込むスタイルに
変更した経緯から、そのまま
「A計劃」>「プロジェクトA」と言う
極秘の仮タイトルが、正式タイトルになってしまいました。
■まとめ
このプロジェクトAは、当時の日本で
ジャッキーの映画としては、少し大きな
劇場で上映され、前評判や宣伝にも力を
入れられた作品で、公開後も徐々に人気が出て
評判を呼び、映画館前に列が出来る程で
リピーターと言う現象は、今ほどは
無い時代ですけども、2回以上観たと言う
映画ファンが出て来るヒット作になりました。
当然、この映画の面白さから次回作?の
五福星は、更に宣伝活動が大きく行われ
武道館のイベントまでが、行われる
ジャッキー・チェンが、大きく認識された
時期で、この後の映画プロモートは
ジャッキー・チェンの○○○と言う
ように、ジャッキー・チェンを前面に
押し出すようになり、名画座でも他の
作品とのミックスでは無く
ジャッキー・チェン特集と言う名で
観客が呼べるように変っていきました。
ただ、ジャッキーの声のイメージは
石丸博也さんの声なのですが(^^:
まだ、CGの無い時代、若い
ジャッキー・チェンが、生で命がけで
挑んだ、手に汗握りながらも笑えて
爽快な香港のアクション大作なので
未見の方は、是非見てみてください。
![]() JAN:4988113744119 時間: 105 分 詳しく見る。 |
■作品データ
監督 ジャッキー・チェン
脚本 ジャッキー・チェン
エドワード・タン
製作 レナード・K・C・ホー
製作総指揮 レイモンド・チョウ音楽 マイケル・ライ
主題歌 ジャッキー・チェン
「東方的威風」
撮影 チャン・ユイジョウ
配給 香港 ゴールデン・ハーベスト
日本 東宝東和
公開香港 1983年12月22日 日本 1984年2月25日
上映時間 106分(インターナショナル版)
105分(日本公開版)
製作国 香港( イギリス領香港)
言語 広東語
興行収入 19,323,824香港ドル
配給収入 16億9000万円
■キャスト
ドラゴン ・ジャッキー・チェン
フェイ ・サモ・ハン・キンポー
ジャガー・ユン・ピョウサン ディック・ウェイ
パール イザベラ・ウォン
海上警察司令官 ラウ・ハクスンチー総監 クワン・ホイサン
ひょうきん タイ・ポー
大口 マース
チョウ ウォン・ウェイ
リー リー・ホイサン総督 役者名不明
クラブの店員 ジョン・チャン
チョウ ウォン・ウェイ
ワン・ファト
クワン・ユイムン
リー・ホイサン支配人 アルバート・ロー
ウー・マーチャン ハン・イーサン
ユン・キンチョウ陸上警察隊員
ポール・ウォン
トン・インチャン
ユー・タウワン海上警察隊員
ベニー・ライ
マン・キーワン酒場の給仕 トー・シウミン
あああ