お薦め名画「レイダース・失われたアーク」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
「レイダース・失われたアーク」です。
現在は、レイダース・失われたアーク
の前に、インディジョーンズが付き
インディジョーンズレイダース・失われたアーク
と、言う長いタイトルに2作目の
インディジョーンズ魔宮の伝説のヒット後に
変更された作品の、公開当時の様子も含めて書いてみたいと思います。
■2人の天才
1981年に、このレイダースのニュースが
世界に伝わりますが…
スターウォーズのジョージ・ルーカスと
当時はスティーヴン・スピルバーグは
未知との遭遇のスピルバーグと言う感じだったので
タイトルだけだとSF映画?かと思った
ファンも多く
ハン・ソロのハリソン・フォードが
主役と言う事からも、SFでしょ?的なニュアンスでしたが
考古学者が主役で、ハン・ソロの
ハリソン・フォードが、演じるとされ…
何故か?カウボーイズハットの
ハリソン・フォードの写真や絵が公開され
考古学者…???
考古学者のイメージが、化石や遺跡などを
調べる研究者のイメージなので困惑しました。
ポスターやチラシの初期は、絵の
かなりのヒゲ面のハリソン・フォードが
鞭を持って、女性と2人で立って居て
「巨大な面白さが襲いかかる」
と言う内容も解らない意味不明な
キャッチコピーで…
その横に、小さ~~~く
ジョーズのスティーヴン・スピルバーグ
スターウォーズのジョージ・ルーカスの
文字が記載され、よく解からない感じの
B級映画のような扱いでした。
ですが、アメリカで6月に公開されると
チラシやポスターが一変し
S・スピルバーグ、G・ルーカスが放つ
冒険スペクタクル巨編!
と言う、2人の名前を前面に押し出す方向に
宣伝材料が変ります。
変な絵のハリソン・フォードも(^^:
ハリソン・フォードの写真に変更
世界を駆けめぐる正義とロマン
冒険家インディジョーンズ
謎のアークを求めてスリルと興奮の連続!
と言う内容に沿った宣材が出回り
スピルバーグとルーカスが、タッグを
組む凄さと言うのを、やっと認識しはじめます。
ですが、まだこの頃の若手の2人の
天才は、それほど高く評価されてなく
日本は、アメリカから半年も後の
公開になってしまいます。
それは、次作インディジョーンズの
公開は、当時の字幕などの必要時間差
最短の2ヵ月差で公開された事からも
このレイダース前と、後での営業や
配給の扱いは、まったく変ったのが解ります。
■刀剣VS銃
インディジョーンズのシリーズは
コメディでは無いのですが、時に
すっとぼけたようなコミカルなシーンが
手に汗逃げるシーンの間に入ります。
それは、レイダースの中でインディが
刀剣を振り回す大男と対峙するシーンで明確になります。
このシーンは、スケジュールが厳しく
気温約54度のチュニジアで、6週間続く
撮影で、残りの滞在時間も迫り
主役のハリソン・フォードにも
その負担や重圧が掛かる中で
製作のフランク・マーシャルが
ランチの時に、スピルバーグ監督に
提案したのが、大乱闘になるアクション
シーンを、1発で終わらせると言う案で
これをスピルバーグが承諾、疲れていた
ハリソン・フォードは、1発で仕留め
すっとぼけた表情で、軸はアークに
ある事を表現した事から
劇場では笑いが産まれ、現場のスタッフ
には、2日分の余裕が産まれ
映画製作のピンチを、1つのアイディアが
乗り越えさせただけではなく
このシーンは、ファンや批評家にも
アイコニックなシーンだと絶賛され
後々のシリーズの中でも、少し
とぼけたインディが描かれる源になっています。
こういう小回りが利くのも、若い
監督のスピルバーグと、それを信頼する
友人であり若い製作総指揮を務める
ジョージ・ルーカスが、フランク・マーシャルや
スピルバーグを信頼しての関係があるからで
現場のピンチが、シリーズ化にも
なる種にしてしまったシーンです。
■早撮りスピルバーグ
レイダースの面白い重要なポイントは
なんと言っても、テンポです。
そのテンポに、ジョンウイリアムズの
音楽が重なれば、観客は…そのテンポに
嫌でも巻き込まれ、冒険の世界に引きずりこまれます。
そのテンポを産み出す要因の1つは
編集前のスピルバーグの早撮りにあります。
まだ若い監督と言う事や、SFなどの
斜めに見られがちな映画からの、限られた
予算の中で出来る手法が、早撮りである事を
スピルバーグは知っています。
2流の監督は、ただ予算削減の為だけに
NGにしたいところを、OKにして撮り直しの
予算を削る事をしますが
スピルバーグは、編集で必要な部分が
OKだったり、編集で更にいいアイディアが
浮かべば、現場で即興的な演出を行って
現場でのテンポを優先、絵コンテをほとんど
確認せずに70を超えるカットでも、現場に
支持を出し、即興で撮り上げる神業を
なしとげて、トータルの撮影予定日数を大幅に
短縮し、不可能と言われた予算で完成させます。
その現場での撮影のテンポは、カメラワークや
アクションの見事なミックスにあります。
俳優の表情・アクション、リアクション
見せる対象物に、プラスしてカメラの
主観を入れ込む%や、照明との見せ方の
バランスが絶妙なテンポを産み出しています。
特に、スピルバーグの18番はカメラが
観客の見た目になる「主観」で、短い
主観のカットを使う事で、一期に観客の集中力を高めます。
例えば冒頭の黄金の像を取るシーンでも
インディが仕掛けを交わして近ずく間にも
壁の矢が出る仕掛けの穴を、ゆっくり動く
主観で見せて、階段の上に行くと
黄金の像にカメラが静かに寄る観客の
主観カットを入れます。
コレは、厳密にはインディの立ち位置とは
異なる、観客用の主観で、砂の重りと交換
する場面も、実際には後ろの男からは
見えて無いはずですが、男のリアクションを
入れて観客を引き込みます。
やや荒いと言う見方も出来ますし
カメラマン的に見ると・・・荒いです(^^:
でも、なんだかOKな荒さで、ズレで
逆に、エラーでは出せない荒さなのが
解かるので、心地よさすらも感じます。
この荒さが、現場のテンポでもあり
作品全体の流れ、テンポを産み出しています。
■まとめ
レイダースとは、争奪者と言う
ような意味で、簡単に言えば
取りあいっこですね。
名作洋画TOP10では、100回見たと
書いてありますが、実は200回は見ています(^^:
新作の公開時期は、半分ですが
当時は、入れ替え制などが無いので
1日中映画館に居ても、1回の料金で
4~5回見れましたし
持ち込みで、おにぎりとか
サンドイッチを食べても何も
言われない時代でした。
新作から2番館に時期的にズレると
間に別の作品が入ったりしても
1日2~3回は見に行きました。
なので、間のアメリカの女子プロの
映画とか、B級アクションなども
かなり見てるのですが…略覚えてません(^^:
冒頭の黄金の像を奪われた後に
複葉機で飛び立ち逃げるハワイの
ロケ地なども行ってしまうくらい
大好きな映画で、本当はスクリーンで
見て欲しい映画ですが、是非未見の方は
新作も準備中なので、最新のデジタル画像で見てみてください。
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■作品データ
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 ローレンス・カスダン原案
ジョージ・ルーカス
フィリップ・カウフマン製作 フランク・マーシャル
製作総指揮 ジョージ・ルーカス
ハワード・G・カザンジャン音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ダグラス・スローカム
編集 マイケル・カーン
製作会社 ルーカスフィルム配給
アメリカ合衆国 パラマウント映画
日本 パラマウント映画/CIC公開
アメリカ合衆国 1981年6月12日
日本 1981年12月5日上映時間 115分
製作国 アメリカ合衆国
製作費 $18,000,000
興行収入
世界の旗 $384,140,454
アメリカ合衆国 $242,374,454配給収入
日本 13億8000万円
■キャスト
インディアナ・ジョーンズ ハリソン・フォード
マリオン・レイヴンウッド カレン・アレン
ルネ・ベロック ポール・フリーマン
アーノルド・エルンスト・トート ロナルド・レイシー
サラー ジョン・リス=デイヴィス
ヘルマン・ディートリッヒ ヴォルフ・カーラー
マーカス・ブロディ デンホルム・エリオット
イートン ウィリアム・フットキンス
マスグローブ ドン・フェローズ
サティポ アルフレッド・モリーナ
バランカ ビック・タブリアン
サイモン・カタンガ ジョージ・ハリス
ゴブラー アンソニー・ヒギンズ
イラム トゥッテ・レムコフ
ファヤー スアド・メソウディ
大男 パット・ローチ