よーいスタートは、スタートじゃない?
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回は
「よーいスタートは、スタートじゃない?」
についてです。
メイキングなどで、1度は聴いた事が
あると思いますが、撮影の開始時に
「よーいスタート!」と言うかけ声が現場に響きます。
アマチュアの方が、動画を撮る時も
2人以上だと、発したりする言葉ですよね。
でも、これは実はプロは
スタートとしての合図とはしていません。
そんなバカな?と思うかもしれませんが本当です。(^^:
では、どこをスタートの合図にしているの?
事になりますので、それぞれの
「スタート」を部門事に解説してみます。
■技術部
●照明班
照明は、解かると思いますが
「よーいスタート!」の前に
とっくに点灯していますよね(^^:
なので、照明部には
「よーいスタート!」は、特にスタートではありません。
●録音部
音声など、録音部も、聞いて見ると
解かるのですが、昔ならテープに
「よーいスタート!」の声が入って居ます。
つまり「よーいスタート!」の前に
レコーダーをスタートさせているという事になります。
カチンコを使う場合も、その音を録る必要があります。
●撮影部
じゃ~大半の方が、カメラの合図でしょ?と
思うかもしれませんが・・・
「よーいスタート!」で、カメラを
廻すと遅すぎて、映画は出来ません(^^:
何故かと言うと、自転車のこぎ出し
を思いだしてもらうと解るかもですが
信号で止まって、再び動き出すのって
ちょとフラフラしたり、ペダルがスムースに回らないですよね?
映画もフィルム時代は特に
記録スピードに到達する時間が
必要なので「スタート!」の後では
正しいコマ(速度)で記録出来ません。
プロの特に1インチ(VHSの2倍の太さ)
VTRなどは、その速度までをカウントダウン
するのでタレントさんなどが、ギャグ?に使ってる
5秒前、4.3.2.1 みたいなカウントが
記録速度に達成して、1>スタートで
御願いしますと言う合図にしているくらいです。
*VTRのカウントは大半はVEさんがしますが
ADさんや、ディレクターがする事も
ありますけども、正確ではなくなります(^^:
では、いつカメラはスタートしてるの?
と、思うかもしれませね。
実は、逆なんです。
殆どは、助監督さんが本番行く前に
照明や録音部のOKを確認します。
声に出して「OK?」と聴く方も居れば
アイコンタクトや、指さしなど
様々ですが、まず確認します。
そこで、実はカメラが先にスタートします。
そのモーター音や、タリー(RECシグナル)を
見・聴きして、カメラが回ったな。と言うのを
確認して、少し間をとって
「よーいスタート!」と言うんです。
なので、カメラが回らなければ「よーいスタート!」の声は響きません。
つまり技術班は、「よーいスタート!」でスタートするセクションはありません。
じゃ~、俳優さんへの合図でしよ?と
思いますよね?
■俳優
●アクション
俳優さんの芝居には大きく分けると
アクション(動き)と、台詞があります。
では、そのアクションから見て行きましょう。
例えば、階段を走って上がって来て
ドアに入ると言うカットだとしたら
仮に3階だとしたら、俳優さんは
「よーいスタート!」の前から
逆算した位置から走りだして上がってきます。
バイクに乗って角を曲がって
現れるカットでも、「よーいスタート!」
の前から走行しています。
涙が溢れ出て頬をつたう。
と、言うカットだとしたら
「よーいスタート!」の後に
流さないとなので、ある意味
使わない時間(フィルム)の間を使い>涙を流します。
「スタート!」と同時に流す俳優さんは知りません(^^:
●台詞
台詞も、例えばカット頭に
「おはようございます!」と言う台詞があったとしても
「スタート」も声なので、~「ト」と
「お」が、少しでも重なると使えません。
なので、俳優さんで個人差や
シーン、感情でも違いますが「間」を取ります。
その後で、台詞です。
俳優さんは、そもそも
映像は、略順番に撮らないので
気持ちを繋げる準備が必要です。
役や場面(シーン)に入ると言う
意味でも、戦いでダメージを既に
受けているカット頭などは
相手や自分で、直前に体に打撃を
受けて、挑む俳優さんもいるくらい
スタート前には入っています。
最近ではCGのキャラを相手に
エイリアンや、ターミネーター
などに追われたり、しながら
カットごとにテンポUPしたり
緊張度をプラスしていくような
芝居を要求される事が、増えていますが
コレらも、CGのイラストや
前撮影分をモニターしたりして
スタート前に、充分つくりこんでいます。
■まとめ
つまり「よーいスタート!」は
目安ではありますが、どのセクションも
その言葉通リ「スタート」では
スタートはしない不思議な掛言葉です。
でも、無くてはならないモノでもあります。
ただ、この各セクションの前後の「間」が
実は、アマチュアの撮影との大きな
違いになるのが、編集を繰り返すと解るようになりますので
動画などで、レポートを撮ったり
ドラマを撮る時は意識してみてください。
また、映画を見る時にも
違うシーン・場所なのに気持ちが
繋がって居たり、移動撮影の速度や
テンポが繋がって居る部分を感じて
見れたら、更に映画を深く見る事が
出来ると思いますので、少し意識してみてください。
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