甘い殺人現場?
映画銀幕パークのジョージ・松田です。
今回は「甘い殺人現場?」です。
映画と言うのは、まだまだ「ニオイ」や
「香り」は、伝わらない事で少し
助かっている部分があります。
エキストラの方などが、例えば
刑事モノなどの殺人現場のエキストラで
入ってもらって、刑事が手袋をしながら
現場検証するなんて言うシーンで、時々
なに?なんか良い匂いしない?と
言う言葉を発して、謎のまま帰られる
事がありますけども
今回は、そのスイートな臭いが
大事なものでもあるので、現場目線
ですが、映画作りの工夫の1つとして
ご紹介したいと思います。
■本物は偽物
現場検証のシーンなどは、作品の中での
時間経過よりも、現場のリアルタイムの
方が短い場合が多く
犯人が殺した相手が倒れて、カットの
声が掛かると、倒れた俳優さんの形に
白いラインが引かれ、A.B.C.Dなどの
プレートが置かれると、直ぐに黄色い
テープの外に野次馬のエキストラさんに
入って貰います。
そうすると、時々、良いにおい?と言う
声が聞こえてきます。
その正体は実は「きなこ」です。
俳優さんが格闘(抵抗)したり、倒れ
込む場面の迫力を出す為に、砂ぼこりが
舞う中で倒れ込んだりします。
この砂ほこりや、格闘で舞うほこりも
きなこが微量でも使われています。
実際には俳優さんは、基本、殴りませんし
本当には蹴りません。
勿論、ナイフを刺したり、弾着も特殊効果です。
それら、嘘の格闘や倒れるのも安全に
カットやアングルで、工夫して危なく
ないように倒れますので、本物に見せる為に
偽物の「きなこ」を使います。
なぜ「きなこ」を使うかと言うと
格闘する俳優さんが吸い込んでも安全で
鑑識の方などは、地面をはいつくばって
小さな証拠を探すのに、吸いこんだら
よくない粉が、舞って居たり、落ちていると
鑑識の俳優さんの体にも、よくないからです。
戦国時代の合戦で、多くの頃された
武士が、カットかけ声で、生き返り?
立ち上がると、きなこが沢山舞って
良い臭いにつつまれる中、怪我のメイクをした
俳優さんたちが、笑いながら手を叩いて
監督のOKに応えていると、不思議な空間で
不思議な臭いです。
本物らしく見せるのに、偽物を使う…
と、言うのも、映画製作の面白いところです。
■恐怖のスローな甘いヤツ
刑事モノや、アクションで無くても
恋愛モノなどでも、よく使われる
シーンに、鉄骨が落ちて来ると言う
場面は、ドラマや映画で見た事が
無い人が居ないと言えるくらい
使われる手法です。
勿論、鉄骨はカポック(スチロール)で
当たっても怪我はしませんが、偽物なので
スローモーションで落ちて来たり
逆に、重いのだからと、倍速で
ドスンと落とす表現が使われます。
スローは、恋人が会う直前などに
子供を助けてなどで、落ちて来る
時間で、観客に、辞めて、とか
嘘でしょ~?と、思わせる事が演出の
目的で
倍速は、落ちて血まみれになった
相手を見て、後から悲鳴をあげるなど
見た人のリアクションなどを主に
している時などに使われます。
アクション映画などは、悪者が
意図的に上から落としたり、爆発の
効果の延長で落とす事もありますが
いずれも、造りモノの鉄骨が俳優と
絡む場合は、使われる事が大半なので
迫力や本物のように見てもらう為に
この「鉄骨」の上にも、きなこが
ふりかけられています。
なので、どこかで作り物だよね?と
観客は思いながらも、このきなこで
リアルに感じてしまいます。
でも、その鉄骨が落ちた現場での
俳優やカメラマンの、鼻には
きなこの香りが、ただよった中で
緊迫の場面や、女優さんの悲鳴を
あげる熱演を撮っています。
スローで落ちて来るカポックの
鉄骨よりも、カメラや服が、きなこ
まみれになる、別の恐怖が現場にはあります。
■バチバチな火花と甘い関係
格闘シーンを盛り上げるのは
俳優さんのアクションや、火薬
などは勿論ですけども、刀や金属が
接触する時には、スパークと言う
火花が散る効果を、特効さんが仕込みます。
廃工場や夜間の暗い時などは
けっこう、火花は綺麗だったりします。
SF映画などは、綺麗でもOKだったり
するのですが、歴史モノや荒野や
砂漠など、あまり綺麗すぎるとリアルに
見えない場面でも・・・
きなこが、使われます。
ライバル同士が、火花を散らし
もの凄い形相で、剣や武器を交差させ
睨み合うカットでも・・・
甘い、きなこの匂いが舞っていて
まったく、臭いはシーンにミスマッチ
なので、カットが掛かると笑って
しまう俳優さんもいます。
なれてしまうと、忘れているので
おもしろい?と聴くと
だって、なんか良い匂い。
と、言われて、アッ、そうだったと
再認識させられますが…
映画のリアルは、現場的には
まったくリアルでは、無いどころか
正反対だったりします。
■スタントマンはドロだらけ?
激しいアクションは、俳優さんでは
無くて、プロのスタントマンが
演じてくれる事もあります。
特に、メインでは無く、ザコキャラが
続々と、リタイヤしていくような
短い尺だったり、ロングでの奥で
派手に転倒する事が、要求される時は
ド派手に土煙があがるように、乾いた
土を転倒場所に巻いて
スタントマンやバイクに・・・
きなこを撒いたり、仕込みます。
CG以後は、クルマやバイクには
あまり、花火や火薬を本当に仕込むのは
ガソリンがあるので、現場では
行わなくなっていますが・・・
現場で行わないと出来ない画面
効果が・・・きなこです。
略、プロのスタントマンの方は
1発で決めますけども、リプレイで
画面確認を撮影班は、ノイズとか
映りこみなどを、チェックしますが
スタントマンの方は、派手に出来たか?
を、チェックしたいので、死んだ設定
でも、置きあがって走って来て
撮影班や監督らの隙間から、画面を
見にきます。
そうすると、チェックOKが出ると
なんか、甘い空気がただよいます。
その上、良い感じに、きなこが
舞い上がり、ド派手に見えて監督が
よろこぶと、また別のヘルメットや
衣装に着替えて、別パターンの転倒を
する為に、走っていきます。
見学している方は、泥だらけで
スタントマンの人は、大変ね~!
と言ってたりしますけども・・・
その半分は、きなこです。
■怒りの必殺スイートキック
アクション映画では、決め技や
感情を込めた一撃などを
かなりのスローで、撮影する事が
あります。
アクション好きな方は、1度は
見た事がある場面だと思います。
その時も、舞ってますよね。
きなこが…
ただ普通のアクションと違って
感情的な表情だったり、台詞や
奇声を発して蹴る事などがあり
けっこう、クチにはいります。
蹴られる俳優さんや、スタントマン
の耳や鼻にも、入る事があるので
もの凄い感情をぶつけてるのに
現場は、あまい香りですけども
クチを濯ぎなら、俳優さんは
それで、きなこなんだ!?と
気ずく方も多く、怒りよりも
スタッフや、特殊効果さんに
感謝している場面を何度か見ています。
ストーリー上は、殺伐した場面
なのに、現場では感謝や工夫に
関心する空気が、甘い香りと共に
流れてたります。
■突入カメラマン
海外の刑事モノなどに、よくある
定番中のドアを蹴破り、中に進む
場面と言うのも、見た事があると
思いますが…
日本の警察は、殆どしないですが
海外の場合は、1つの見せ場なので
逆算して、ストーリーに入れると
どうしても、綺麗なホテルの白い
ドアよりも、郊外の小屋とか
隠れ家のような古いドアを、蹴破り
ますので・・・
きなこの出番と思うかもですが?
海外では、本当の土や化粧品を
使う事が多く
甘い香りは無く、蹴破ったカット
から、そのままカメラが入る事は
少なく、土煙が落ち着いてから
入って行くカットに繋げる為に
後から、内側からの入る俳優の
顔が解るカットを、間に入れています。
なので、日本の作品に土煙が舞う
中を、そのままカメラが着いていく
シーンは、けっこう驚くカメラマンが
います。
日本の食材だと言うと、関心したり
面白いと笑う人がいますけども
けっこう、きなこは凄い映画の立役者です。
■まとめ
映画やドラマを、楽しんでもらう
小さな工夫は、沢山ありますが
俳優さんや、スタッフ、機材の事も
考える工夫は、とても日本的で
効果的です。
作品を見る時は、作品のリアルと
して、楽しんで貰えたらと思いますが
大好きな俳優さんなどは、いろいろな
工夫で、スタッフが守っているので
とても危険なシーンに見えても
甘い場合も多いですので、安心して
ください。
勿論、ホントに凄いアクションに
挑む俳優さんや、スタントマンの方も
居ますので、それらは更に迫力が
UPするように、きなこも工夫の1つとして
なんとなく思いだして貰えたらと思います。
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