お薦め名画「私をスキーに連れてって」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
私をスキーに連れてって
です。
1987年の11月21日に公開された
日本経済のバブルの波にのっかった
ホイチョイ・プロの戦略的な
プロデュースにより、大ヒットを記録した
商業映画の新しいケースであり
変った映画としても、映画史に残る名画を
当時の様子も交えて書いてみたいと思います。
■スキーファン・クルマファン
日本経済はバブルに入り、お金が溢れ
趣味に使う%も増えていく中で
1987年の冬にウインタースポーツを
仕掛ける動きで、スケートやスキー
などが、力を入れていく中で完全に
スキーのブームを巻き起こす柱になった
のが、この映画私をスキーに連れてってと
関連した広告・宣伝でした。
この映画の大ヒットで、スキー場への
道は大渋滞、リフト待ちが2時間を超える
嬉しい悲鳴で、神田のスポーツ用品店らが
スキー1色に染まる社会現象になります。
もう1つは、この映画に登場する若者が
乗るクルマに、四駆が必要な事から
当初は三菱自動車に打診しますが…
三菱は、コレを断ってしまいます。
次の候補のトヨタ自動車はWRCラリーでも
活躍したセリカGT-FOURを承諾。
映画の中でも、タイヤ交換すらカッコよく
見れると、魅力的に描かれた事で
映画としては不思議な事に、主演や
メインキャスト、監督や脚本家以外に
スキーファンと、クルマのファンが
見にいくと言う事態が起きます。
セリカGT-FOURは、スキーに行くなら
セリカと言う若者が増え、売れに売れ
セリカGT-FOURでスキーに誘えば
女子が、ついて来るのは確実とまで言われ
セリカGT-FOURに、わざわざスキー場や
スキーメーカーのステッカーを貼って
走ると言う、レースやラリーのスポンサー
以外のステッカーが貼られる変わった光景が見られました。
この年は、F1フルタイム参戦初の中嶋選手
が日本人としてホンダエンジンで活躍し
クルマ好きには、ホンダやトヨタを迷い
ながらも、両社のクルマの販売が伸びました。
翌年の1988年、日本の鈴鹿サーキットで
アイルトン・セナがワールドチャンピオンを
決めると、F1ブームが巻き起こり
スキーも、またブームをキープする事で
スキーもクルマも、バブル中で大きな収益をあげます。
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■4月のおいかけっこ
私をスキーに連れてっての撮影は
群馬県、万座温泉スキー場
長野県の志賀高原スキー場
奥志賀高原スキー場、焼額山スキー場
横手山スキー場、渋峠スキー場と
どんだけ使うんだと言うくらいの
スキー場で撮影しています。
これは、1987年3月にクランクイン
したものの、ややスキーシーズンと
しては遅い時期であったのと
主演の原田知世の角川春樹事務所との
契約の関係で4月からしか撮影が出来ない
事から、雪が少なく画的に解けた場所が多いと汚い為に
雪の残るスキー場をスタッフは探し廻り
交渉して、雪を追いかけてどんどん山奥へ
入って行き、標高の高い場所に移動した為です。
俳優もスタッフも、寒さと共に空気が
薄い標高との闘いで、バッテリーを維持し
カメラを回さないとならない過酷な撮影で
見た目の作品内容に反して、八甲田山や
南極物語のような現場だったと言われます。
それでも、この1987年のスキーシーズン前の
公開に間に合わす事が、バブルの波にのると
読んだ、ホイチョイ・プロの戦略はスタッフ
の疲労を吹き飛ばす大ヒットに繋がります。
■大ブーム
私をスキーに連れてっての1987年頃は
家庭にビデオデッキが普及し レンタルも
値段が落ち着きレンタルビデオ店が
各街に1~3軒は出来てきた事からも
若者の映画館離れが進み、映画館はバブルに反して下降線でした。
ですが、私をスキーに連れてってが若者を映画館に呼び戻します。
まず、主題歌を原田知世が歌う予定でした。
松任谷由実は原田知世の「時をかける少女」
の作詞・作曲を担当していましたので
原田知世の主題歌もと進める中で
原田知世が、そのままユーミンの声の方が
良いと提案し
松任谷由実の「サーフ天国、スキー天国」が
そのまま使われ、ヒットした上に
挿入歌の「恋人がサンタクロース」までが
大ヒットすると映画とのシンクロが起きます。
ドラマや漫画、雑誌なども、スキーブームと
この映画の内容を思わせる内容を展開し
ゲレンデでは、女の子が指鉄砲で
「バン!」と言うアクションをやる事や
縦に繋がって滑る、シーンを真似する若者が急増しました。
更に、この年の3月31日に国鉄が115年の
歴史に幕を下ろします。
国鉄なんて知らない世代もいるかもですが
逆に、この年は日本中が国鉄が無くなる
民営化で、どうなるのか?
が、見えずに少なからず不安な国民が多く
JRって、なんだよ?と言う人が多かった
年で、そのJRはスキーキャンペーンには
なんとなく匂わせるていどで、間に合いませんでしたが
2017年にJR東日本発足30周年と
私をスキーに連れてっての公開30周年
記念企画として主演の原田知世を起用しリベンジしています。
娯楽映画で当時の日本アカデミー賞には
無視されるような映画でしたが
日本アカデミー賞「話題賞」が原田知世に
贈られる程「バン!」は強烈な一撃で
映画の興行収入以外にも、あらゆる
メディアを巻き込んだ大ブームに発展しバブルを加速させました。
■まとめ
この年、あまり…今は聴きませんが?
「ゲレンデ美人」と言う言葉が雑誌や新聞他で流行し
原田知世の衣装のニット帽にゴーグル
スタイルの女性に使われ、○○スキー場の
ゲレンデ美人ベスト10などの特集が乱立しました。
ただ、良い意味でも使われましたが
後半は、ゲレンデにいるときは美しく見える
という意味にも使われ…あまり使われなくなって行きました(^^:
この後、ホイチョイ・プロは小学館の
ビッグコミックスピリッツと共に
『彼女が水着にきがえたら』
『波の数だけ抱きしめて』
と、言うホイチョイ・プロ3部作と呼ばれる作品を贈り出します。
その後も、映画でも
SMAPの草彅剛主演の「メッセンジャー」1999年
広末涼子主演の「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」2007年
などの作品を製作する事になります。
主にホイチョイ・プロは
まんが、書籍、テレビの企画の会社で
映画の製作会社と言う訳ではなく興行収入で
言えば、メッセンジャーなどの方が上ですが
ホイチョイ・プロと言えば
「私をスキーに連れてって」の
と、言われる程に、この映画の
インパクトと、大ブームは、収益を超えた
映画としての魅力が大きな作品だった証だと思います。
![]() 時間 1 時間 38 分 ASIN : B0000DJWIN 詳しく見る。 |
■作品データ
監督 馬場康夫
脚本 一色伸幸
製作 三ツ井康音楽 杉山卓夫
主題歌 松任谷由実「サーフ天国、スキー天国」
撮影 長谷川元吉
編集 冨田功
製作会社 フジテレビジョン、小学館配給 東宝
公開 日本 1987年11月21日
上映時間 98分製作国 日本
■キャスト
池上優 – 原田知世
矢野文男 – 三上博史
佐藤真理子 – 原田貴和子
小杉正明 – 沖田浩之
羽田ヒロコ – 高橋ひとみ
泉和彦 – 布施博
恭世 – 鳥越マリ
ゆり江 – 飛田ゆき乃
課長 – 小坂一也
所崎 – 竹中直人
田山雄一郎 – 田中邦衛
ロッジのオーナー -上田耕