お薦め名画「汚れた英雄」
映画銀幕パークのジョージ松田です。
今回の御薦め名画は
汚れた英雄
です。
1982年12月に公開された日本映画ですが
ポスターや作品自体のビジュアル的にも
洋画と勘違いするようなティストで
当時の邦画の日本臭さがまったく無い
本当に、タイトルのままの作品を当時の
様子を交えて書いて見ます。
■日本映画なのか?
1982年12月は、E.Tが公開され史上最大の
興行収入を記録する大ヒットする中で
もう1本、男性に多く見られた映画が汚れた英雄でした。
当時は、入替え制などは略無い時代なので
「リピーター」と言うような人は少なく
アニメなどに少し居たくらいでしたが
この映画は、何故か? もう1回見に
行こうかな。と、2回~3回見に行く男性
ファンが出て来る不思議な映画でした。
主人公北野晶夫を演じるのは、当時は
化粧品CMなどにも抜擢される草刈正雄で
良い意味で日本人らしくないカッコよさを見事に演じています。
カッコイイと言うのも、ガンダムで言うと
ガンダムを操縦するアムロのような方では
なくて、友人のガルマを落とし入れるような
したたかさのある、シャアのような
タイトルのように、汚れたヒーローのカッコよさです。
オープニングの暗~い画面に、座って居る
草刈正雄がレーシングスーツのジッパーを
上げて、外に出る見せ方やタイトルバックの
入れ方も、当時の日本映画には無い表現で
ローズマリー・バトラーの英語の主題歌が
流れ、当時珍しいメーター超しの車載映像に
主題歌が重なり見せる冒頭だけでも
これ・・・日本映画だよね?と
確認したくなるカッコよさがある映画でした。
当時見た人は、ローズマリー・バトラーの
主題歌のイントロだけでも、作品が蘇る程
インパクトが大きなシーンでした。
■ハードボイルド
原作は大藪春彦のハードボイルド小説で
1966年から1969年にかけてアサヒ芸能に
連載されていたモノを、80年代的にするのと
2時間弱の尺に収める必要があるので
脚本も、松田優作とのコンビで知られる
ハードボイルドに定評がある丸山昇一を起用しています。
丸山昇一的には5本目の劇場作品で
処刑遊戯(1979年)
野獣死すべし(1980年)
翔んだカップル(1980年)
ヨコハマBJブルース(1981年)
過去4本の3本が、松田優作の作品でした。
その事からも、映画ファンにはバイクには
興味が無くても、丸山さんのハードな
作品を見に足を運んだ映画ファンも居ました。
元々文庫化権は徳間文庫が、映画化権は
角川が保持していましたが、角川文庫から
原作を出すことで徳間書店に映画化権が渡っていました。
準備段階で3億円を投じますが資金繰りが悪化
してしまい、3年以内に映画化できなければ
角川事務所に映画化権が戻ることになって
いたので、1981年10月に角川で製作される事に成ります。
しかも東映の正月興行はセーラー服と機関銃が
東映創立以来の大ヒットを記録したことで
東映の岡田茂社長が、製作費3億5000万円を
東映が全額負担する事で実現した映画で
したたかな製作ベースが存在しています。
■YAMAHA対HONDA1982
当時バイクブームがあり、同年1982年8月に
公開された、大人気のたのきんトリオの
マッチこと近藤真彦主演の映画
ハイティーン・ブギでは、ホンダのCBX400F
が使われ、中高生~から若い層に人気のバイクになった事などもあり
汚れた英雄では、ライバルのヤマハのバイク
をメインにTZ500やYZR500を使用しています。
レースシーンのスタントに、当時国際A級500
スにステップアップしたばかりの若手ライダー
平忠彦が抜擢された事で、バイク好きと
レース好きの層も、映画にあまり興味が
無くても映画館に足を運んでいます。
ですが、一般公道用のバイクでは無いので
実際の販売には、ホンダのCBX400Fや
同年1982年から西部警察PART-IIに登場する
スズキカタナGSX1100S KATANA・カタナRの
方が、人気や印象が強く、当時世代には
今でも憧れのバイクになっています。
■まとめ
この映画は、映画化権の獲得から
セーラー服と機関銃の大ヒットからの
資金など、作品内容以外にも
したたかなハードな面がありますが
映画のラストで草刈演じる北野晶夫が
大群衆に囲まれるシーンのエキストラも
当時の大人気女優薬師丸ひろ子が
本作品の撮影現場に陣中見舞いに訪れる
情報を流して、エキストラとして使用する
と言うしたたかな場面があります。
1982年の映画なので、それなりに
今、見ると古いところもありますが
当時のカッコよさや、日本映画離れした
映像を、未見の方は是非見てみて下さい。
![]() 角川映画 ASIN : B07KK984MT 詳しく見る。 |
■作品データ
監督 角川春樹
脚本 丸山昇一
原作 大藪春彦『汚れた英雄』
製作 橋本新一 / 和田康作
製作総指揮 角川春樹音楽 小田裕一郎
主題歌 ローズマリー・バトラー
『汚れた英雄』原題:Riding High
撮影 仙元誠三
編集 西東清明
製作会社 角川春樹事務所/東映
配給 東映公開 日本 1982年12月18日
上映時間112分
製作国 日本
言語 日本語
配給収入 16億円
■キャスト
北野晶夫:草刈正雄
クリスティーン・アダムス:レベッカ・ホールデン斎藤京子:木の実ナナ
緒方あずさ:浅野温子
緒方宗行:奥田英二
緒方和巳:磯崎洋介
大木圭史:勝野洋
鹿島健:貞永敏
雨宮貴司:林ゆたか
御木本菜穂子:朝加真由美亀谷鉄也:草薙幸二郎
畑田:中田博久
島崎:清水昭博
テディ片岡:伊武雅刀
清水:望月太郎
大橋:辻萬長
河井和子:中島ゆたか
ピアニスト:世良譲
ウィリアムス:ジョセフ・グレース黒部進、津田ゆかり、団時朗、菅田俊、山下伸二、内田勝康 ほか
バイクスタント:平忠彦、木下恵司、上野真一、浅見貞夫、毛利良一、
江崎正、Hiro T.A Sheeneなど